相対的貧困とは?絶対的貧困との違いや相対的貧困率についても学ぼう

「相対的貧困」「絶対的貧困」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。貧困状態を示す代表的なこのふたつの考え方について、どのような違いがあるのか定義を紹介し、なかでも日本で問題となっている相対的貧困率について解説します。

エルサルバドルの家族

相対的貧困とは?

まずは相対的貧困と絶対的貧困の、それぞれの定義をみてみましょう。

先進国の子ども

相対的貧困の定義

相対的貧困とは、その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態のことを指しています。所得でみると、世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことを言います。(注6)。

開発途上国だけではなく先進国でも相対的貧困は問題視されています。日本でも調査が行われており、基準となる貧困線は、総務省の全国消費実態調査では 135 万円(2009 年)、厚生労働省による国民生活基礎調査では 122 万円(2012 年)とされています。(注2)

日本の相対的貧困世帯の特徴は、次のように分析されています。

相対的貧困世帯の特徴

・世帯主年齢別では、高齢者が多い(全国消費実態調査では 60 歳以上、国民生活基礎調査では 70 歳以上)
・世帯類型別では、両調査とも、単身世帯と一人親世帯が多く、夫婦のみ世帯、夫婦と子どものみ世帯が少ない
・国民生活基礎調査において、郡部・町村居住者が多い。

(内閣府・総務省・厚生労働省:「相対的貧困率等に関する調査分析結果について」、P98より)


相対的貧困はそれぞれの国や地域の状況を反映するものなので、日本の調査分析結果を他国にあてはめることはできません。社会経済的環境や生活水準、人口構造などを考慮したうえで、貧困線のもつ意味を分析する必要があります。(注2)


絶対的貧困の定義

絶対的貧困とは、国・地域の生活レベルとは無関係に、生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態を示します。私たちが一般に「貧困」と聞いてイメージするのはこちらでしょう。

現在では世界銀行の定めた国際貧困ラインを基準に、衣食住など、最低限必要とされる生活物資を購入できる所得または支出水準に達していない人々のことを絶対的貧困者と呼んでいます。(注1)

世界銀行は2015年に、1日1.90ドルを国際貧困ラインに改定しました。ただしこの貧困ラインの妥当性について、世界銀行では以下のとおり指摘しています。

[貧困ラインの引き上げ]:世界が豊かになり極貧が局地的現象になることに伴って、世界中のすべての国々の貧困層の定義として1日当たり1.9ドルという基準は果たして妥当か、という疑問が出てくる。世界の半数以上の国において極貧人口の割合は3%かそれ以下の水準であるが、これらの国で極貧との闘いが終わったことを必ずしも意味しない。現在、世界銀行は低から高中所得国の実情を考慮し、従来の1日あたり1.9ドルの貧困ラインを補完する形で、1日あたり3.2ドル及び5.5ドルの貧困ラインとした報告も実施している。この整理によれば、2015年、世界人口の4分の1が1日あたり3.2ドル、半分近くが1日あたり5.5ドル以下で生活している。

国際農研:世界銀行2018「2018年版 貧困と繁栄の共有:貧困のパズルを解く[Poverty and Shared Prosperity 2018: Piecing Together the Poverty Puzzle]」概要」より(注5)


絶対的貧困は、南アジア地域とサブサハラ・アフリカ地域などの途上国に集中しています。こうした地域では、低い教育水準の低さや高い乳幼児死亡率などが常態化しているため、国際社会として対応すべき課題となっています。(注3,注4)

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相対的貧困率について

相対的貧困はあまり表面に表れてこないため、絶対的貧困より可視化されにく状況にあります。しかしながら日本をはじめ先進国と呼ばれる国にも存在している深刻な問題です。そうした相対的貧困という地域社会内の格差を測る指標として、「相対的貧困率」について解説します。

アメリカの家族

相対的貧困率の算出方法

相対的貧困率の算出方法について、厚生労働省は次のように述べています。

国民生活基礎調査における相対的貧困率は、一定基準(貧困線)を下回る等価可処分所得しか得ていない者の割合をいいます。 貧困線とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得(収入から税金・社会 保険料等を除いたいわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整 した所得)の中央値の半分の額をいいます。 これらの算出方法は、OECD(経済協力開発機構)の作成基準に基づきます。

厚生労働省:国民生活基礎調査(貧困率)「よくあるご質問」より(注6 )


つまり相対的貧困率とは、世帯所得が全世帯の中央値の半分未満である人の比率を示しています。

2015年の調査によると日本の相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は13.9%という結果でした。そして一人親家庭の相対的貧困率は50.8%と、とても深刻な状態であることが明らかになりました(注8)。

イスラエルの子どもたち

相対的貧困率の国際比較

2030年までにあらゆる形態の貧困を無くし、全ての人々が豊かで平和に暮らすことができるよう、持続可能な開発目標(SDGs)が設定されました。世界の国々や援助機関などが目標を達成するために努力を重ねていることで、国際貧困ラインを下回る絶対的貧困層の数は年々減少しています。

絶対的貧困層の多くはサブサハラ・アフリカや南アジアに集中しています。しかし、中進国や先進国などの経済が発展している国々も貧困と無縁ではありません。国内に相対的貧困が存在しているからです。

OECDは先進国の相対的貧困率を算出し、国際比較をしています。2017年の発表によると、日本の相対的貧困率は先進国35カ国中7番目に高いということが明らかとなりました。相対的貧困率が一番高いのはイスラエル、次いでアメリカ、トルコ、チリ、メキシコ、エストニア、日本、という順番です。相対的貧困率が一番低いのはアイスランドで、その次にデンマーク、チェコと続きます(注9 P22)。

相対的貧困率が高ければ、国内の格差が大きいことを示しています。日本は2000年代中頃から相対的貧困率のOECD平均値を上回っており、格差が大きい状態が続いているのです(注10 P104)。

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相対的貧困に対するワールド・ビジョンのアプローチ

相対的貧困にある人々に対して、ワールド・ビジョンはどのような支援を行っているのでしょうか。ワールド・ビジョンの活動について解説します。

ワールド・ビジョンのスタッフと子ども

チャイルド・スポンサーシップ

子どもは貧困の影響を直に受けてしまい、相対的貧困に陥りやすいというリスクがあります。ワールド・ビジョンは、相対的貧困状態にある子どもを対象にチャイルド・スポンサーシップを通した支援活動を実施しています。

チャイルド・スポンサーシップは、子どもたちが健やかに成長できる持続可能な環境を整えることを目指しています。支援地域の人々とともに水衛生保健、栄養教育、生計向上等に取り組み、子どもを含む地域全体が貧困から抜け出せるよう手助けをします。

また、チャイルド・スポンサーシップを通して開発援助活動を実施し、活動の成果を地域の人々自身が将来にわたって維持し、発展させるために人材や住民組織の育成にも力を入れています。

リンクチャイルド・スポンサーシップを詳しく知る

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難民支援

難民は絶対的貧困だけではなく、相対的貧困の状態でもあります。ワールド・ビジョンは難民支援を積極的に行い、未来に希望を持てるように支援をしています。

ワールド・ビジョンの活動の大きな柱のひとつに緊急人道支援があります。紛争により住む場所を追われた人々は、貧困と命の危機に直面しています。緊急援助活動は人々の命を守るために、文字通り時間との戦いとなるのです。緊急人道支援募金を常時受け付けており、いつ起こるとも知れない突発的な紛争に備えています。

難民支援には長期的な支援も必要です。難民キャンプで何年も暮らす人々のために教育・職業訓練の支援や、将来的には紛争地の復興支援や難民再定住などのプログラムも実施していかなくてはなりません。

ワールド・ビジョンは、難民のなかでも特に子どもにフォーカスしたキャンペーンTake Back Future ~難民の子どもの明日を取り戻そう~」 を、2018年から4年間の計画で展開しています。教育を通して、紛争や貧困により移動を強いられる子どもたちに対する暴力を撤廃し、暴力が繰り返されない未来を築くことを目指しています。

難民支援活動は、皆さまからの募金によって成り立っています。「難民支援募金」へのご協力をお待ちしています。

今すぐ募金


関係機関との連携

ワールド・ビジョンは、日本政府(外務省)や国際協力機構(JICA)、国連機関などとも連携し、相対的貧困に直面している世界の子どもたちのために支援活動をしています。

リンク政府・国連等との連携事業

日本政府や国連機関と連携等による資金の活用にあたっては、事業総費用の一部をNGO側も拠出する必要があります。ワールド・ビジョンは皆さまの募金と日本政府や国連機関等による資金を合わせて、様々な事業を実施し、大きな効果を上げています。

皆さまの募金は、政府や国連機関等との連携事業を通して、子どもたちのために様々な方法で役立てられています。難民支援のため危機にある子どもたちのため緊急人道支援のためなど、困難に直面している貧困層の子どもたちに希望を届ける支援活動を行うことができます。


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※このコンテンツは、2020年3月の情報をもとに作成しています。

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参考資料

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