人身売買

世界では2,090万人が人身取引の被害にあっていると言われています

「人身売買」と「人身取引」

「人身売買」と「人身取引」という言葉の意味はどう異なるのでしょうか。

「人身売買」は、歴史的に、女性に対する暴力や性的搾取について使われる傾向があります。

「人身取引」は、国際組織犯罪防止条約人身取引議定書において国際組織犯罪として定義されている言葉で、日本政府やILOなどの専門機関により使用されています。また、同議定書において、性的搾取、強制労働、臓器売買などを幅広く含むと規定されています。

ワールド・ビジョンは、「人身売買」だけではなく、より広い範囲の「人道取引」に対する取組みに力を入れ、様々な専門機関と連携した活動を行っています。

人身取引:実態の見えにくい非人道的犯罪

人身取引は、危険な児童労働を含む強制労働、強制結婚、性的搾取、臓器摘出など様々な方法の搾取による非人道的行為で、被害者の権利と尊厳を奪い、肉体的・精神的に深刻なダメージを与えます。国際人権諸規約に反する人権侵害であり、国際社会から重要課題として認識されています。


世界でおよそ2,090万人が人身取引の犠牲となっていると推定されており、その約半分がアジア地域に集中していると言われます(2012年)。しかし、人身取引は水面下で行われることが多く、この数は氷山の一角と考えられています。

鉱山での労働に従事する子ども(コンゴ民主共和国) 女性、少女だけでなく、男性、少年も人身取引の被害者となっています
鉱山での危険な労働に従事する子ども(コンゴ民主共和国)。女性や少女だけでなく、男性や少年も人身取引の被害者となっています

人身取引される子どもたち

人身取引の犠牲者の約3割は、子どもと言われています。

国際的な法的枠組みとして2003年に発効した『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性および児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(通称:パレルモ議定書)』は、 子どもについて特別に保護する立場から、18歳未満の人物を搾取の目的で勧誘し移動させることは、何らかの強制的な手段を伴わない場合でも「人身取引」に該当すると定め、禁止しています。


子どもは特別な保護が与えられています
厳しい生活の中で、幼い頃から家族を助けるために働かざるをえない子どもたちがいます(カンボジア)

「人身売買報告書」にみる日本

日本は、人身取引の被害者が「送られる国」であり、被害者の「供給・通過国」であると人身売買報告書2016*で発表されています。

外国人労働者に対する不当な強制労働、児童ポルノの供給、JK(女子高生)ビジネスなどが指摘され、G7(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7つの先進国)の中で「唯一最低基準を満たしていない国」と低い評価を受けています

*人身売買報告書:米国務省が世界188カ国・地域を対象に、人身売買や強制労働などの実態を調べ、4段階にランク付けし毎年発行している報告書

秋葉原日本各地でJKビジネスが行われています

ワールド・ビジョンの活動

ワールド・ビジョンは、人身取引や性的虐待・搾取から子どもたちを守るために、予防・啓発、被害にあった人たちの保護とケアを行っています。
また、グローバル、地域、国家レベルで法律の策定・改正に向けて働きかけ、制度がより良く実施されるよう国際機関や政府と連携して活動を行っています。

ワールド・ビジョンは子どもたち自身が、問題とまたその解決のために何が必要かをもっともよく理解している、と信じています。 そのため、子どもたち自身が声をあげ、問題解決の担い手となれるよう支援しています。


ワールド・ビジョンが共催するユースフォーラムにて、メコン諸国のユースは人身取引に関する啓発・提言活動をしています
ワールド・ビジョンが共催するユースフォーラムにて、メコン諸国のユースは人身取引に関する啓発・提言活動をしています

ワールド・ビジョン・ジャパンの活動

ワールド・ビジョン・ジャパンは、日本政府や関係諸機関に対し、メコン拡大地域での人身取引対策事業の成果や具体的な事例を踏まえた政策提言を行っています。

日本は、メコン拡大地域と深い経済的なつながりをもつ国です。ワールド・ビジョン・ジャパンは、日本政府に対し、その経済的な支援額に見合った規模の人身取引対策支援や、被害者に寄り添ったきめこまやかな支援策、また人権に配慮した責任ある企業活動を可能にする法的枠組みなどを求めています。


人身取引は、どこか遠くの国の問題ではありません。人身取引によって工場や漁船での強制労働に従事している人々がアジアには数多くおり、その手で作られた製品を、私たちは消費者として手にしているかもしれないのです。

一人ひとりのアクションと、政策レベルでのアクションを通じて人身取引に終止符を打てるよう、これからも取り組みを続けていきます。


伊勢志摩サミット伊勢志摩サミットでも、ビジネスの現場が利益追求のあまり児童労働等の搾取を行わないよう提言しました