飢餓の解決策は?飢餓の現状と原因を知ろう

2018年時点で、世界では9人に1人、約8億もの人々が飢餓に苦しんでいます(注1)。日本では食品ロスが問題になっているのに、世界では4人に1人が深刻な栄養不足状態なのです(注2)。一体なぜ、このような事態になっているのでしょうか。飢餓の原因と解決策について解説します。

食糧不足の子どもたち

飢餓の現状

「飢餓」とは、どのような状態のことを指すのでしょうか。国連世界食糧計画(WFP)は、飢餓を次のように定義づけています。

飢餓とは、身長に対して妥当とされる最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なエネルギー(カロリー数)を摂取できていない状態を指します。必要なカロリー数は、年齢や性別、体の大きさ、活動量等によって変わります(注3)。


国連が2019年7月に発表した「世界の食料安全保障と栄養の現状」の報告書によると、2018年は推計8億2,000万人が飢餓状態にあることが明らかとなりました。3年連続で増加しているという深刻な事態なのです(注4)。

世界の食料安全保障と栄養の現状
2018年の世界の飢餓人口:8億2,160万人(9人に1人)
- アジア:5億1,390万人
- アフリカ:2億5,610万人
- ラテンアメリカ・カリブ海地域:4,250万人


世界では、すべての人が食べるのに十分な食料が生産されています。それにもかかわらず、世界には飢餓人口が存在しているのです(注5)。WFPが作成しているハンガーマップ(注6)を見ると、開発途上国とされている国々に飢餓状態の人々が多いことがわかります。飢餓に苦しむ約75%の人々は、開発途上国の農村部に住む貧しい農民なのです(注3)。

アフリカの飢餓

アフリカの飢餓蔓延率は世界で最も高い状態です。2018年度のアフリカの飢餓人口は2億5,610万人で、その数はゆっくりと上昇している状態です。東アフリカの国々は特に深刻で、人口の3割が栄養不足に苦しんでいるのです(注4)。

アフリカで暮らす母と子ども

アフリカでは厳しい気候や長引く紛争、経済の低迷、景気の悪化といった要因が絡み合い、飢餓人口が増え続けています。1990年は1億8,210万人だった飢餓人口が、2014~2016年の平均推定では2億3,250万人に増加しました。サハラ以南では4人に1人が栄養不足の状態と言われています(注7)。

アジアの飢餓

アジアでは5億人を超える人が飢餓に苦しんでおり、世界で最も飢餓人口の多い地域として知られています。(注4)。飢餓人口の多くは南アジアに住んでおり、サハラ以南アフリカと南アジアでは、3人に1人の子どもが栄養不足による発育阻害という状況なのです(注8)。

栄養の偏りは肥満の原因にもなります。不健康な食生活による肥満はアジアでも多く、問題になっています。

飢餓の原因

なぜ飢餓が起きるのでしょうか。その原因について、自然災害・紛争・貧困の3つの視点から解説します。

自然災害による飢餓

地震、津波、洪水、干ばつなど、自然災害は飢餓の原因になります。農作物や田畑が被害を受け、家や仕事などの生活基盤も失われるからです。経済的にも物理的にも食糧を手に入れることができなくなり、人々の栄養状態が悪化してしまうのです。世界中で食糧不足に苦しむ8割以上の人々は、自然災害が発生しやすい場所で生活していることが分かっています(注9)。

飢餓に苦しむ母と子ども

災害は短期的にも長期的にも、人々の栄養状態に大きな影響を及ぼすことは皆さまもご存知の通りでしょう。WFPは自然災害と栄養事情との関係について、次のようにまとめています。

災害と栄養事情より

  • 開発途上国における身長のばらつきは、その20%以上が環境要因(特に干ばつ)によるもの。干ばつが起きると、人々が口にする食品の品目が大幅に減り、総消費量も減少する。
  • ザンビアでは、干ばつ時に生まれた子どもたちは、そうでないときに生まれた子どもたちと比べて、身長と体重が平均を下回る確率が最大12%高い。
  • ニジェールでは、干ばつ時に生まれた子どもたちの1~2歳の栄養不良の確率は、そうでない時の2倍以上になる。
  • バングラデシュでは、洪水後に未就学児の間で衰弱や発育阻害の割合が増える。食糧が手に入りづらくなること、適切なケアの提供が難しくなること、汚染物質にさらされる確率が高くなること、などが原因。
  • フィリピンでは過去20年間に、台風の襲来時に亡くなった子どもの数よりも、台風発生後24カ月以内に亡くなった子どもの数の方が15倍多く、そのほとんどは女児である。
赤ちゃんを抱く途上国の母親

紛争による飢餓

紛争地域の飢餓もまた、深刻な問題です。2018年にWFPとFAOが国連安全保障理事会に報告した「紛争地域の飢餓」によると、国境をまたぐチャド湖周辺地域と、次の16カ国の飢餓状況が悪化している状況です(注10)。

アフガニスタン、ブルンジ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、 ギニア・ビサウ、ハイチ、イラク、レバノンのシリア難民、リベリア、 マリ、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、ウクライナ、イエメン


総合的食料安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification、略称IPC)による測定の結果、人口の4分の1以上が飢餓の「危機」段階と「緊急」段階に達しているのは次の地域です(注10)。

深刻化する紛争地域の飢餓より
人口の4分の1以上が
緊急の飢餓状況にある国
人口に対する
飢餓状況にある人の割合
緊急の飢餓状況にある人数
イエメン 60% 1,700万人
南スーダン 45% 480万人
シリア 33% 650万人
レバノン 33% 190万人
中央アフリカ共和国 30% 110万人
ウクライナ 26% 120万人
アフガニスタン 25% 760万人
ソマリア 25% 310万人


国連が発表した「世界の食料安全保障と栄養の現状2017」によると、10年以上減少傾向にあった飢餓人口が増加に転じたのは、紛争が主な原因である、と報告されています。

2016年の飢餓人口は8億1,500万人で、そのうち4億8,900万人が紛争のある地域で生活しているという状態なのです(注10)。

紛争が起きると、家や農地など全て捨てて避難しなければなりません。避難せずに残ったとしても、危険なので農作業や仕事をすることができなくなります。いずれにしても、食糧の確保が困難になり、飢餓状態に陥ってしまうのです(注11 P1)。

飢餓状態の難民の子ども

慢性的貧困による飢餓

貧困には「一時的貧困」と「慢性的貧困」があるのをご存知でしょうか。短期的な経済変動などによって生じるものが「一時的貧困」で、長期的な社会経済構造の問題に由来するものが「慢性的貧困」です(注12)。

慢性的貧困によって飢餓が生じます。例えば、貧しい農民は農業を行うための土地や水、種などを確保する資金が無いために自給自足が困難で、貧困や飢餓から抜け出すことができません。子どもに教育を受けさせられないために、貧困の連鎖を断ち切ることができないという問題があります(注11 P1)。

慢性的貧困に苦しんでいる小規模農家の生活と能力を向上させ、土地や技術、市場へのアクセスを平等に与えるなど、持続可能な農業規範の推進が急務となっています(注13)。

飢餓の解決策

飢餓にはどのような解決策があるのでしょうか。持続可能な開発目標(SDGs)とワールド・ビジョンによる取り組みを見てみましょう。

SDGsによる飢餓への取り組み

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されています(注14)。

17のゴールの中では、2番目に「飢餓をゼロに」という目標が挙げられています。2030年までに飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進するという内容です。子どもや社会的弱者をはじめとするすべての人が、栄養のある食料を毎日十分に得られるようになることが狙いです(注13)。

途上国だけではなく、先進国も含めた全ての国が飢餓を無くす行動を起こし、飢餓をゼロにするという目標を達成するよう努めています。

ワールド・ビジョンによる飢餓への取り組み

ワールド・ビジョンは、あらゆる角度から飢餓への取り組みを実施しています。

2017年2月20日に南スーダンの一部で飢饉が発生したとの宣言を受け、ワールド・ビジョンは直ちに緊急食糧支援を実施しました。

ワールド・ビジョンは、南スーダンが独立する前から人々のニーズに寄り添い、栄養・食料支援水衛生教育支援、農具や漁網の配布による生計向上などの支援を幅広く行っていました。2016年度には、WFPと連携して60万人以上に支援を届けました。

例年11月ごろからは、栄養不良の子どもの命を守り将来の食糧を届ける、クリスマス募金(水と食糧のための募金)のご案内をしています。水と食糧のための募金は通年でご案内しています。ご協力くださった皆さまには、毎年3月頃にお届けする年次報告書の中で、募金により行われた活動をご報告します。

また、飢餓問題の解決や栄養改善のためにチャイルド・スポンサーシップを通した支援活動も実施しています。

チャイルド・スポンサーシップは、子どもたちが健やかに成長できる持続可能な環境を整えることを目指しています。子どもが教育を受ける権利や、安全に暮らす権利が守られるように、支援地域の人々とともに水衛生、保健、栄養、教育、生計向上等に取り組んでいます。

また、活動の成果を地域の人々自身が将来にわたって維持し、発展させるために人材や住民組織の育成にも力を入れています。

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参考資料

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