シリア難民

シリアで起きていること

2011年にシリアの政府軍と反政府軍による武力衝突が本格化してから、シリア紛争が深刻化し、多くの住民が国内外での避難生活を強いられ、危機的な状況下で暮らしています。

これまでに推定22万人の命が奪われ、シリア国内で人道支援を必要としている人は1350万人に上り、630万人が国内避難しています。490万人(大半は女性と子どもたち)はヨルダン、レバノン、トルコなどの周辺国で避難生活を余儀なくされ、大勢の人が欧州を目指して危険に満ちた地中海をボートで渡っています。

現在、200万人以上ものシリア難民の子どもたちが、教育の機会を奪われており、多くの子どもたちが苦しい家計を支えるために働くことを余儀なくされています。また、学校に通えたとしても、継続して学習するための十分なサポートを受けられないことから、中退する子どもも少なくありません。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、2014年から、約65 万人のシリア難民を受け入れているヨルダンで、教育支援事業を実施しています。長期間、学校に通えなかった子どもたちが、ヨルダンの学校の授業に追いつけるよう補習授業を実施するとともに、レクリエーション活動を通して、紛争のトラウマや避難生活によるストレスを和らげる活動も行っています。

また、保護者が、経済的困窮を理由に、子どもに労働や早婚を強いることがないよう、教育の重要性を呼びかけています。教育の機会を奪われた、「失われた世代」を生じさせないために、これからも支援を続けていきます。

「恐怖と夢」 ~シリアと世界の子どもたち~

6年に及ぶ紛争は、シリアの子どもたちに消えない傷跡を残しました。難民の子どもたちの多くは、生活費を稼ぐために「子ども時代」を過ごすことなく働いています。紛争が6年目を迎えた今、ワールド・ビジョンは、シリアの子どもたちが抱えている恐怖と夢について調査しました。また、暴力にさらされることが、子どもの世界観にどのような影響を及ぼすかを探るため、比較的安全な国に住む子どもたちにも同じ質問をしました。そこから見えた、意外な結果とは?


世界中のすべての子どもたちが、恐怖と夢を抱いています。それが現実のものとなるかどうかは、私たち次第なのです。回答の統計結果、そして子どもたちが、それぞれの夢と希望について語る動画をぜひご覧ください。


リンク 「恐怖と夢 シリアと世界の子どもたち」の詳細はこちら

南スーダン難民

南スーダンで起きていること


南スーダンは、1956年にイギリス・エジプトから独立する際、北部と分離・独立を求める内戦が南部で勃発し、以来2011年の南スーダン独立まで、約半世紀にわたる長い紛争が続きました。長い内戦を経てようやく独立した後も、キール大統領派とマシャール前副大統領派の対立が、大規模でより複雑化した紛争に発展し、2013年12月、首都ジュバでの武装衝突がきっかけとなり、紛争が再発。2016年7月の衝突で、再び全土に紛争が拡大しています。

これまでに、南スーダン国外に逃げた難民が約150万人、自分の住む家を失った国内避難民は約190万人に上ります。
長期に渡る内戦で「開発から取り残された」状態が、「新たな紛争」で、より悪化し、南スーダン人道危機が深刻化しています。

また、2017年2月20日、南スーダン旧ユニティ州の一部で飢饉が宣言されました。人口の約40%に当たる490万人あまりが緊急援助を必要とする状況に陥っており、急性栄養失調に陥っている子どもは100万人に上ります。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、独立前の2002年より南部スーダン(西エクアトリア州)にて活動を始めました。現在は、教育システムが整備されていない難民キャンプにおける中等教育支援として、学校施設の整備およびクラブ活動、PTA、女子進学支援を行っています。また、これまで複数年で支援を継続してきたクレ難民キャンプにおける衛生環境整備(トイレ建設、ごみ処理場整備、衛生啓発活動等)にも取り組んでいます。

これからも「命をつなぐための緊急支援」、「回復強化のための復興支援」を軸に、教育と保健・医療の両分野で、南スーダンに残る子どもたち、難民として国外に逃れた子どもたちへの支援を続けています。



リンク3分で分かる南スーダン~南スーダンって、どんな国?~

"A Brighter Future" プロジェクト~平和を求める子どものアート~

<2013年12月以来、およそ90万人もの南スーダン難民が、世界の中でも最も革新的な難民政策をとっている国、ウガンダに逃れています。ヴィオラちゃんは、16歳にして、妻であり母親です。南スーダンの紛争により両親を亡くし、残された家族を養うためには、結婚するしか選択肢がありませんでした。


多くの南スーダン難民が厳しい環境下で生活する中、彼らに少しでも希望を持ってもらおうと、ワールド・ビジョンとアパーシャル(Apartial)というアーティスト集団が、彼らが歩んできたストーリーや未来への想いをアートを通して表現するというプロジェクトを立ち上げました。ヴィオラちゃんは、どのような絵を描きあげたのでしょうか。 平和を切に求める子どもたちのストーリーとアート作品をぜひご覧ください。

リンク A Brighter Futureプロジェクトの詳細はこちら

その他の国で起きている難民危機

イラク国内避難民

2014年から激化しているイラクでの紛争により、多くの一般市民が巻き込まれ、犠牲となっています。国内の紛争に加えて、5年以上に渡って続いているシリア内戦による難民も受け入れているイラクの人道危機は、深刻さを増しています。

現在、330万人が国内避難民としての生活を余儀なくされており、イラクの人口の約3600万人のうち1000万人が何らかの支援を必要としています。また、約25万人のシリア難民がクルド地域に避難していることが、限られた資源しかない受入れコミュニティにとって負担となっています。

ワールド・ビジョンは、2014年8月より、イラクの人道危機に対して支援を開始し、クルド人自治区で暮らす約100万人に支援を届けました。
今後も、国連組織等、他の人道支援組織と連携しつつ、引き続きイラクの状況を注視し、必要な支援を続けます。

ドイツへ逃れることを決めたイラク国内避難民の家族

ミャンマー難民

2017年8月の武力衝突によりミャンマー・ラカイン州北部からバングラデシュ側へ避難した人々(大部分は少数民族ロヒンギャ)の数は60万人を超えています。

11月23日、ミャンマー、バングラデシュ両国は避難民の帰還を進める合意書に署名しましたが、帰還の具体的手続きや期限などで合意には至っておらず、協議が続けられています。その間にもミャンマーから避難する人々の数は増え続けており、将来の展望が見えない中、避難する住民の生活環境の悪化が避けられない状況です。

バングラデシュでは12月~2月は夜間の気温が10度近くまで下がることがあり、仮設のテント住宅で暖房器具もない中で暮らす住民には体調を崩す人も少なくありません。

この危機に対し、ワールド・ビジョン・ジャパンは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と、皆さまからの募金により、バングラデシュ・コックス・バザール県ウキヤ郡でミャンマーから避難した人々を対象に、支援活動を行っています。

避難した住民のうち、1,920世帯(約9,600人)に対して、毛布、調理器具および衣料の提供を行うことを通して、子どもたちを含む住民が健康と尊厳を確保し、冬季を迎えた同地で生活を維持し、疾病り患のリスクを軽減することを目指しています。

ミャンマーから7日間歩いてバングラデシュへ逃れた家族

世界の問題と子どもたち

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