武田薬品工業×WVJ  地域ヘルスワーカーの能力強化を通じた母子保健プログラム

ピア・エデュケーターとして活躍する女性たち(ネパール)

武田薬品工業が展開するグローバルCSRプログラムにより、「地域ヘルスワーカーの能力強化を通じた母子保健プログラム」を実施しています。アフガニスタン、バングラデシュ、インド、ネパールの4カ国において、5年間で1,400人の地域医療従事者の能力強化、約50万人に保健医療に関する知識とサービス提供に取り組み、母子の「予防可能な死」を削減します。


アフガニスタン ~世界でも最低水準の5歳未満児死亡率・妊産婦死亡率を改善するために~

プロジェクト概要

  • 事業地:アフガニスタン・イスラム共和国ヘラート州の5地区
  • 対象人口:75,000人
  • 事業期間:2016年10月~2021年9月(5年間)
移動診療を待つ母親と子どもたち

プロジェクトの背景

アフガニスタンでは慢性的な貧困、継続する治安の課題、そして深刻な干ばつが地方開発の大きな障壁となり、人々の基礎的保健医療サービスへのアクセスを妨げています。ヘラート州の農村部人口の約60%は、母子保健のサービスにアクセスできません。医療技術を要する専門技能者の介助がない環境での出産が、妊婦または新生児の出産時におけるリスクを高め、死亡率を高める要因となっています。



プロジェクトの目的と主な活動

ヘラート州内で選定されたプロジェクト対象地域において、コミュニティ助産師を養成し、建設するファミリー・ヘルス・ハウスにて妊産婦および子どもに対する基礎的保健医療サービスの提供を行います。また、ファミリー・ヘルス・ハウスの運営を監督、サポートすることを通じて、養成されたコミュニティ助産師の能力向上と保健・医療サービスの質の向上に取り組みます。

●コミュニティ助産師の育成
プロジェクト対象地域から選定した候補者に対し、2年間のコミュニティ助産師養成プログラムを実施しています。養成プログラムでは座学のほか、ヘラート市内のクリニックなどでの実技研修も行っています。卒業後は出身地域にコミュニティ助産師として派遣され、本プロジェクトで建設するファミリー・ヘルス・ハウスで、妊産婦および子どもに対する基礎的保健・医療サービスの提供に従事します。

●地域住民の啓発・人材育成
対象地域ごとに約10名の女性からなるファミリー・ヘルス・アクション・グループを設立し、地域住民に対する啓発活動、世帯訪問を行っています。世帯訪問では、妊産婦の健康状態や産後ケア、新生児の健康状態などを確認し、難産や病気のケースは近隣のクリニックにリファーするなど緊急事態にも対応し、母子保健の向上に貢献しています。

アドボカシー
プロジェクトで整備したファミリー・ヘルス・ハウスは、プロジェクト終了後にアフガニスタン政府機関に移譲します。ファミリー・ヘルス・ハウスの運営費およびコミュニティ助産師の人件費が公的予算に組み込まれ、プロジェクト終了後も適切に管理・運営されるよう、アフガニスタン政府に働きかけています。

実技研修を受けるコミュニティ助産師候補生

ファミリー・ヘルス・アクション・グループ
への研修
アフガニスタンでの活動紹介



バングラデシュ ~地域に根差したコミュニティ・クリニックの機能改善にむけて~

プロジェクト概要

  • 事業地:バングラデシュ人民共和国ロンプール管区ディナスプール県ビロル郡の5ユニオン、同県ビルゴンジ郡の6ユニオン
  • 対象人口:200,000人
  • 事業期間:2016年10月~2021年9月(5年間)
事業地の風景

プロジェクトの背景

ビロル郡とビルゴンジ郡に暮らす人々のほとんどが貧困層、または"ウルトラ・プアー"と呼ばれる最貧困層です。母子保健分野においてもディナスプール県全体で医療機関が不足し、コミュニティレベルで提供されている保健医療サービスの質の低さや、医療機関を運営する地域住民グループの知識・能力不足、行政機関による指導・監督が不十分であるなど、多くの課題があります。特に、遠隔地に住む貧困層・最貧困層の母子保健についての知識や、保健医療サービスへのアクセスが限られています。



プロジェクトの目的と主な活動

ワールド・ビジョンは、本プロジェクトの対象地でビロル地域開発プログラム(2007~2026年)、ビルゴンジ地域開発プログラム(2010~2025年)を実施しており、母子保健を含む複数の分野で幅広く、長期的に地域の課題に取り組んできました。本プロジェクトでは、これまでの活動で培った知見・経験や、コミュニティや行政機関等との信頼関係を活用、発展させながら、地域全体の母子保健に関わるキャパシティの底上げに取り組んでいます。

●保健ボランティアの育成
地域レベルで母子保健に関わる活動を行う、保健ボランティアを育成しています。保健ボランティアは、各自が担当する地域住民への啓発活動や、妊産婦・5歳未満児のいる世帯への世帯訪問を実施しています。世帯訪問では妊娠時期のケアや育児についてのカウンセリング、妊産婦や子どもの健康状態を確認し、状況によってはクリニックでの診察をサポートする等、妊産婦と子どもに寄り添い支えています。

●保健医療従事者へのトレーニング
対象地の中でも特に遠隔の地域では、人々の新生児ケアに関する知識が非常に乏しく、出産時のリスクを高めています。そのため地域住民に対する啓発活動に力を入れつつ、ユニオンおよびコミュニティ・クリニックに配属されている保健医療従事者に対し、新生児ケアのトレーニングを実施しています。

アドボカシー
地域住民にとって最も身近な医療機関であるコミュニティ・クリニックでのサービスが改善されるよう、地域住民が主体となって現状の課題を洗い出し、改善に向けたアクションプランを作成・行政機関と共有、アクションプランの実行状況をモニタリングしています。あわせて、トイレの建設や基本的な医療用機材を整備し、環境を改善しています。

世帯訪問時、妊婦の鉄剤の服用状況を確認する
保健ボランティア(右)
保健ボランティアのサポートを得て、
郡病院で出産した女性とその赤ちゃん
栄養価の高い食事の作り方を学ぶ女性たち



インド ~地域の連帯体制を整え、誰もが保健サービスを受けられるように~

プロジェクト概要

  • 事業地:インド共和国マディヤ・プラデーシュ州サーガル県サーガル郡クライ地区
  • 対象人口:189,000人
  • 事業期間:2016年10月~2021年9月(5年間)
クライ地区中心部近くの風景。衛生環境は良くありません

プロジェクトの背景

マディヤ・プラデーシュ州は近年目覚しい経済成長を遂げていますが、州の貧困率は高く、クライ地区も住民の75%が最貧層であり、住民に占める指定カースト・指定部族の割合が高いのが特徴です。母子保健分野に関する各種指標も多くの項目においてインド平均を下回っており、背景にはコミュニティレベルの保健医療施設が適切に機能していないこと、地域保健ワーカーのスキルや指導・助言体制が構築されていないこと、安全な妊娠・出産や新生児ケアについての知識不足など、多くの課題が山積しています。



プロジェクトの目的と主な活動

ワールド・ビジョンは、2008~2016年にかけて本プロジェクト対象地の一部でサーガル地域開発プログラムを実施し、教育、保健、生計向上の分野で活動してきました。本プロジェクトでは、これまでの活動で培った知見・経験、コミュニティや行政機関等との信頼関係を活用、発展させながら、地域の課題により即した活動を実施し、地域全体の母子保健に関わるキャパシティの底上げに取り組んでいます。

●保健医療従事者へのトレーニング
地域で働く保健ワーカーに対し、継続的なトレーニングを実施しています。トレーニングはインド政府が策定した指導要綱にそって行い、母子保健に関わるトピック(例.産前産後検診、妊娠中のケア、家族計画、予防接種等)について学ぶだけでなく、実際の状況に応じたロールプレイを行うなど、実践的な内容になるよう工夫しています。

●ピア・エデュケーターの育成
妊産婦・2歳未満児のいる世帯への世帯訪問を行う、各村のピア・エデュケーターを育成しています。所定の時期に世帯を訪問し、親や子どもの状況に応じたカウンセリングや健康・栄養状態の確認を行い、状態によっては近隣のヘルスセンターに情報を提供し、適切な治療やサポートを受けられるよう支援しています。プロジェクト対象地では保健ワーカーが不足し、十分なサービスや情報を得られない世帯も多いため、ピア・エデュケーターの働きが"取り残された人々"に届いています。

●地域住民の啓発、アドボカシー
インドでは、地域住民によって構成される住民委員会が各村で保健衛生や栄養改善に関わる活動を実施することになっており、活動資金も行政機関から支給されます。しかし、対象地ではほとんどの村でこの住民委員会が機能していませんでした。本プロジェクトでは住民委員会メンバーに対し研修を実施し、コミュニティへのアカウンタビリティを強化しています。

保健ワーカーへのトレーニング
妊婦へのカウンセリングを行う
ピア・エデュケーター(右)
母子保健の啓発メッセージが書かれた壁画



ネパール ~環境の厳しい丘陵地帯で施設・サービスへのアクセスを改善するために~

プロジェクト概要

  • 事業地:ネパール連邦民主共和国スドゥパシュチム・プラデーシュ州ドティ郡ディパエルーシルガディ市、アダーシャ、サヤルの8区
  • 対象人口:約31,000人
  • 事業期間:2016年10月~2021年9月(5年間)
急峻な山々に囲まれた事業地

プロジェクトの背景

本プロジェクトの対象地があるスドゥパシュチム・プラデーシュ州ドティ郡はネパール極西部の急峻な丘陵地帯に位置し、ネパール国内でも特に貧しい地域の一つです。住民の多くが深刻な貧困に喘いでおり、母子保健に関する各種指標もほとんどがネパール国全体の平均を下回ります。背景には、慢性的な食料不足や重労働、知識不足による妊産婦・子どもの栄養不良、コミュニティレベルでの保健医療施設の数と提供されるサービスの量・質ともに不十分であること等、多くの課題が横たわっています。



プロジェクトの目的と主な活動

ワールド・ビジョンは、本プロジェクトの対象地でドティ地域開発プログラム(2009~2026年)を実施しており、母子保健を含む複数の分野で幅広く、長期的に地域の課題に取り組んできました。本プロジェクトでは、これまでの活動で培った知見・経験や、コミュニティや行政機関等との信頼関係を活用、発展させながら、地域全体の母子保健に関わるキャパシティの底上げに取り組んでいます。

●人材育成
村レベルの医療機関の指導・監督のもと、地域の妊産婦や5歳未満児への啓発、カウンセリング等を行う女性保健ボランティアに対し、母子保健の基礎知識やカウンセリングスキル等のトレーニングを実施しています。また、地域に住む女性たちから育成したピア・エデュケーターが、トレーニングで学んだ保健や栄養に関する知識を他の女性に伝えるだけでなく、女性保健ボランティアの活動を積極的にサポートするなど、活躍しています。

●保健医療施設の整備
特にアクセスの厳しい地域で基礎的保健サービスが提供されるよう、新しい施設を建設するとともに、既存施設の機能強化を行っています。特に、ネパール全体でも比較的新しい取り組みであるコミュニティ・ヘルス・ユニットを整備したことで、それまで最寄りの医療施設まで数時間かかっていた地域にも医療スタッフが常駐し、基礎的な保健サービスが提供されるようになりました。

●地域住民の啓発、アドボカシー
ネパールでは各村の住民や有識者で構成される住民委員会が、郡の保健局の監督・指導のもと、各村に設置された公的保健医療施設の管理を行うことになっています。しかし、対象地の多くの村でこの住民委員会が機能しておらず、適切な保健医療サービスが提供されていませんでした。本プロジェクトでは住民委員会メンバーへの能力強化に取り組むとともに、定期的に保健医療施設の運営状況をモニタリングし、必要な人材が配属されるよう行政機関に働きかけています。

集まった母親たちに話をするピア・エデュケーター
の女性(左から2番目)
新しく建設された、
基礎的保健サービスを提供するための施設
手洗いの啓発イベントに参加する子どもたち