国際協力の仕事に就くには?転職先の候補と応募方法を解説

この記事をご覧になっている方は国際協力に関心があったり、ご自身の人生の変化に伴い働き方や仕事で行いたいことを再考されたりしていらっしゃるのではないでしょうか。キャリアアップ、キャリアチェンジのために国際協力の業界に関心をお寄せいただいている方もいるかもしれません。

「国際協力の仕事」と聞くと、国際連合(国連)や国際協力機構(JICA)で働くこと、開発途上国に赴任することを思い浮かべる方も少なくないと思います。しかし、国際協力に仕事で携わる方法はほかにもあり、民間企業などで働いた実務経験を活かすポジション(働き方)も多くあります。この記事では国際協力に関わるキャリアに興味がある人に向けて、就職先の候補となる組織を紹介するとともに、どのように応募するかについて解説します。「国際協力の仕事をしてみたい」と思う方の背中を押すことができたら幸いです。

国際協力の仕事とは

コロンビアに逃れてきたベネズエラの少女とワールド・ビジョンのスタッフ
コロンビアに逃れてきたベネズエラの少女とワールド・ビジョンのスタッフ

国際協力の仕事は多種多様です。組織の形態、仕事内容、勤務地などがそれぞれ異なります。まず、組織の種類を紹介します。採用の際に問われる能力や条件は組織やポジションによりますが、一例として国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンの例をご紹介します。

国際協力の仕事の種類

国際協力の仕事、と一言で言っても様々な仕事の種類、組織、関わり方があります。
事業の計画、立案、管理などを行う「プログラム・オフィサー(PO)」のような仕事をイメージされる方が多いかもしれませんが、一般の企業と同じように、マーケティング部門や総務・人事・財務・経理などのセクションがあることも、ぜひ知っておいてください。

最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)がどの業種・業界でも必要だと言われていますが、国際協力の世界でもITを活用して仕事を進めることが必須となっています。そうしたスキルや経験を国際協力の仕事に活かすことができる求人もあります。


組織と求人の種類

国際協力で働く組織の種類は、大きく分けると5つあります。それは、国際機関、政府系機関(外務省、JICA、JBIC)、国際協力NGO、企業(開発コンサルタント、CSV部門)、アカデミア(大学や研究所)です。求人の種類には、正規の職員・社員、有期雇用の契約職員、嘱託職員などがあります(注1)

詳細は「国際協力の仕事の内容や種類を知ろう」の記事でご紹介していますが、各組織の概要をご紹介します。

国際機関
国際機関とは、難民問題や環境問題などのグローバルな課題を解決するためにつくられた機関です。国際連合(UN)が代表例でニューヨーク、ジュネーヴにある本部や世界各地の事務所で日本人が活躍しています(注2)。

<その他の国際機関(一部抜粋)>

  • 世界食糧計画(WFP)
  • 世界保健機関(WHO)
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
  • 国連児童基金(UNICEF)
  • 経済協力開発機構(OECD)
  • 世界銀行(WB)
  • アジア開発銀行(ADB)
  • 欧州復興開発銀行(EBRD)
  • 国際金融公社(IFC) など



政府系機関(外務省、JICA、JBIC)
国際協力に携わる日本の政府系機関としては、開発協力の担当省庁である外務省や、実施機関であるJICA、国際協力銀行(JBIC)が挙げられます。これらの機関では公的資金である政府開発援助(ODA)によって、平和構築やガバナンス、基本的人権の推進、人道支援などといった開発途上国の「開発」を主たる目的とした資金(贈与・貸付等)や技術提供を行っています(注3)。JICAには「海外協力隊」というボランティア派遣制度もあります(注4)

国際協力NGO
NGO(Non-Governmental Organizaton (非政府組織))も、国際協力に欠かせない組織のひとつです。国際協力に取り組むNGOは、日本国内に400以上あると言われます。世界各地で貧困や紛争、環境破壊などの課題解決に取り組んでいます。私たちワールド・ビジョンも、国際協力NGOに該当します。

企業(開発コンサルタント、CSV部門)
国際協力関係の活動に取り組む企業と開発コンサルタントも、民間企業として国際協力に関わる方法に挙げられます。近年、国際協力は政府系の機関など以外に企業でも取り組まれるようになっています。社会問題をビジネスで解決するソーシャルビジネスを行う企業もあります(注5)。

アカデミア(大学や研究所)
大学院で博士号を取得後に、研究者として大学や研究所等で専門分野の調査・研究、それらの知見を基にして事業を協働したり、政策提言を行うという道もあります。例えば、ワールド・ビジョンではヨルダン国内にいるシリア難民の支援活動を実施するのにあたり、緊急時の教育の専門家である教授の協力を得て評価調査を実施しました。国際協力の支援現場では、様々な場面で専門家からのアドバイスを求めることがあります。こうした専門家を目指すことによって国際協力に携わる方法もあります。

国際協力で求められる能力

国際協力で働くために求められる能力、スキルについて説明します。各組織、募集ポストによって、求められる経験やスキルは異なりますが、応募ポストの関連分野で修士号以上の学位を有していること、関連分野の勤務経験があること、英語に加えて支援地で用いられる言語での高いコミュニケーション能力があると評価される傾向にあります。

JICAでは「英語で高いコミュニケーション能力が求められる仕事」の目安としてTOEIC730点以上、「業務上、充分なコミュニケーション能力が求められる仕事」はTOEIC640点以上が必要としています。

組織の種類やポジションにより必要なスキルが必要となる例として、私たち国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンでの過去の求人例と応募資格をご紹介します(スキル関連の応募資格を抜粋)。

支援事業部 ネパール駐在 プロジェクトマネージャー

  • 開発・人道支援分野で4年以上の就業経験があること
  • 開発・防災等、本ポスト関連分野の修士号を取得していること
  • 母語レベルの日本語力、TOEFLiBT94点程度以上の英語力があること


財務・経理課 グランド・ファイナンス・オフィサー

  • 企業・法人での3年以上のフルタイム勤務経験があること
  • 母語レベルの日本語力、TOEFL iBT80点程度以上の英語力があること


マーケティング部 ファンドレイザー

  • 企業・法人での2年以上のフルタイム勤務経験があること
  • 母語レベルの日本語力があること
  • ビジネス文書の理解・英文メール作成がスムーズにできる英語力(TOEIC740点程度以上)


マーケティング部 コンテンツ企画・作成

  • 企業・法人での2年以上のフルタイム勤務経験があること
  • 情報受け手であるご支援者の方々の想いやニーズを理解し、伝えるべき情報を適切な日本語で表現できること
  • ビジネス文書の理解・英文メール作成がスムーズにできる英語力(TOEIC740点程度以上)


ワールド・ビジョンの理念に共感し、国際協力に携わりたいという人、国際子ども支援を行いたいという人を、ワールド・ビジョン・ジャパンでは不定期に募集しています。詳しくは採用情報ページをご覧ください。
 
有給スタッフの他、学生インターンボランティアという形で関わることもできます。ワールド・ビジョン・ジャパンが活動を展開する中で、学生インターンやボランティアはとても大切な存在です。こちらも、募集がある際はワールド・ビジョン・ジャパンの公式ホームページでご案内しています。


国際協力の仕事に転職するには

南スーダン難民の少年とワールド・ビジョンのスタッフ
南スーダン難民の少年とワールド・ビジョンのスタッフ

国際協力の仕事に就くには、人材を求めている組織や企業に応募する必要があります。
また、国際協力と一言で言っても様々な分野があります。どの分野の社会課題の解決に貢献したいか、自分のどのような経験、スキルを活かすことができるか一度見直すと、求人探しや自分の強みを活かしたポジション獲得に役立ちます。
求人を探す方法をいくつかご紹介します。

国際協力に特化したサイトを活用

JICAが運営するPARTNER(パートナー)という「国際キャリア総合情報サイト」など、いくつかのサイトで国際協力の求人を紹介しています。例えばPARTNER ではJICAに加えて、国際機関、開発コンサルティング企業、国際協力NGO、政府機関、地方自治体など、さまざまな組織の国際協力に関連する情報を発信しています(注6)。


それぞれの公式ホームページに加え、SNSやメールでも有用な情報が発信されていることが多いので、フォローやメルマガ登録をしておくのもお勧めです。



転職エージェントに登録する

人材紹介や転職の斡旋を行う転職エージェントに登録する方法もあります。NGOはあまり転職エージェントを利用していないので、民間企業のCSV部門などを検討する場合に有効と言えます。

NGOや国際協力の求人に直接応募する

NGO、国際協力機関の求人が出たら、直接応募することができます。職員が退職した場合や、新たにポジションが作られる場合に利用することができます。

求人が出た際、各組織の公式ホームページで案内がある場合が多くあります。関心がある団体の求人情報を定期的に確認すると機会を逃すことを防ぐことができます。

国連の空席情報には、応募に必要な能力や経歴などの情報が掲載されています。所定の応募書式は各機関のホームページから入手できます。また、外務省 国際機関人事センターのメール配信サービスも利用可能です(注7)。

ワールド・ビジョンを通して国際協力に携わる

ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフ
ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフ

ワールド・ビジョンを通じて気軽に国際協力を始められます。業務に従事する以外にもメールマガジンに登録して支援地の情報を受け取るなど、国際協力に携わる方法があります。

メールマガジンではワールド・ビジョン・ジャパンに関する最新の情報をご案内しています。

ワールド・ビジョンでは、開発途上国の課題解決のための支援の一つとして、チャイルド・スポンサーシップという継続寄付プログラムを展開しています。ワールド・ビジョンの資金の5割はチャイルド・スポンサーシップの寄付によるもので、49,381人の方がチャイルド・スポンサーとして継続的に寄付をお寄せくださいました(2020年実績)

チャイルド・スポンサーシップのプログラムは、各地域で子どもが健やかに成長できるように必要な環境整備を支援します。

チャイルド・スポンサーシップにご参加いただくと、年に1度、子どもの成長がわかる写真や支援活動の報告書をお送りします。また、チャイルドと手紙で交流することができます。

なお皆さまからワールド・ビジョン・ジャパンへの支援金は寄付金控除の対象です。チャイルド・スポンサーシップを通じて国際協力の活動にご参加いただける方もお待ちしております。

公式ホームページにてチャイルド・スポンサーシップ参加のお手続きを承っています。支援内容についての詳細や個人情報等を入力するだけで、簡単に申し込みいただけます。

ワールド・ビジョンの活動にご関心を持っていただけた方は、ぜひメールマガジンにご登録ください。月に1回、お届けします。

メルマガ登録をする

※このコンテンツは、2022年1月の情報をもとに作成しています。

参考資料

注1 JICA:国際キャリアQ&A外部リンク
注2 外務省 国際機関人事センター:国際機関の職員とは外部リンク
注3 外務省:ODA(政府開発援助)外部リンク
注4 JICA:JICAボランティア事業の概要外部リンク
注5 (一社)海外コンサルタンツ協会:開発コンサルタントとは?外部リンク
注6 PARTNER:PARTNERについて外部リンク
注7 外務省 国際機関人事センター:空席公募とは外部リンク

関連ページ

1日あたり150円の支援で、子どもたちの未来が変わります。