南三陸町から嬉しいお客さまがいらっしゃいました!

(2023.09.28)

右からWVJ 望月、南三陸町 小林さん、WVJスタッフ 松本
左からWVJスタッフ 松本、小林さん、WVJ 支援事業第1部部長 望月

2023年7月、宮城県南三陸町ご出身の大学生、小林汐樹(こばやししおな)さんがワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の事務所を訪問くださいました。小林さんの訪問は、2011年の東日本大震災の緊急支援活動に携わっていたスタッフにとって大きな励みとなる嬉しい出来事でした。この記事では、その感動のストーリーをご紹介します!

「震災後、ワールド・ビジョンのスタッフにたくさん遊んでもらいました」

「青い服を着ているのが私です」と小林さん
「青い服を着ているのが私です」と小林さん(※)

小林さんは、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災。小学2年生だった小林さんが通っていた南三陸町立戸倉小学校は震災により校舎が全壊してしまったため、隣接する登米市内の、廃校により使われていない旧善王寺小学校の校舎に仮移転することになりました。

ワールド・ビジョンは南三陸町で緊急期の物資支援のほか、子ども支援にも力を入れて活動をしていました。小林さんが通う旧善王寺小学校では、子どもたちが放課後に安心して過ごせる場所としてチャイルド・フレンドリースペース(CFS)「ぜんいんしゅうごう!」を運営しており、小林さんもそこで遊んでいた一人でした。

「善王寺小学校は交通のアクセスも悪い場所なので、こんなところまできてくれる支援団体はなかったです。いくつかの支援団体からの訪問はありましたが、1回限りで、物資支援が中心でした。長い期間にわたって、放課後に子どもたちと遊んでくれた団体はワールド・ビジョンだけでした。ワールド・ビジョンには物資もたくさん支援してもらいましたが、それだけでなく、放課後にずっと子どもたちと一緒に遊んでくれました。オレンジのジャンパーを着ているスタッフの皆さんのこと、よく覚えています」

※WVJでは、南三陸町に残っている戸倉小・中学校の子どもたちも皆と同じ学校に通えるよう、南三陸町-登米市間のスクールバスも支援していました。当時の活動を記録した写真の1枚に、小林さんも写っていらっしゃいました。

当時のニュース記事

「震災後、世界中から支援を受けました。今度は私が恩返しをしたい」

ワールド・ビジョンについて、ルワンダでの活動について説明を受ける小林さん。右はWVJ事務局長 木内
ルワンダでの活動について説明を受ける小林さん。右はWVJ事務局長 木内

今回の事務所訪問に先立ち、小林さんがWVJに連絡をくださったのは、昨年12月のことでした。

「アフリカでボランティア活動をしたい!」という思いから「トビタテ!留学JAPAN」*の選考に応募していた小林さんは、ご自身がかつて南三陸町でワールド・ビジョンの支援を受けていたこと、その恩返しでアフリカでボランティアに携わりたいと思っていること、可能であればルワンダのワールド・ビジョンの支援地域での活動に参加できないか、とご相談くださったのです。

「私が人道支援に関心をもったきっかけがワールド・ビジョンなんです。震災を経験して、震災のようなときに助けてくれる人がいるんだなと知りました。人を助ける仕事がしたいと思うようになりました」と小林さん。

WVJ事務局長の木内真理子は、「こんなめぐりあわせがあるのか!」と大いに感動しました。
というのも、木内は2011年5月より東日本緊急復興支援部長を担当し、南三陸町にも特別な思い入れを持っていたからです。

通常、ワールド・ビジョンの支援地域では大学生ボランティアの受け入れをしていませんが、WVルワンダに連絡をして、特例として小林さんを受け入れてもらえまいかと打診しました。

WVルワンダの事務局長も小林さんのストーリーに感激。「そういうことなら、ポリシーを曲げてでも受け入れるよ!」と快諾を得られたのです。

*トビタテ!留学JAPAN:文部科学省が展開する、日本の若者の海外留学への気運を醸成する官民協働の留学促進キャンペーン。応募後の選考倍率は4倍ほど。

WVJ事務所にいたスタッフ一同で小林さんに歓迎の拍手を送りました
小林さんを紹介する事務局長の木内
CFSを担当し、小学生当時の小林さんを知る松本スタッフ。「え! よく覚えていますね!」と驚く小林さん

「教員になって、子どもたちにアフリカのことを伝えたい」

「南三陸町のことを覚えていてくださり、こんなに歓迎してくださって嬉しいです」と小林さん
「南三陸町を覚えていてくださり、こんなに歓迎してくださって嬉しいです」と小林さん

小林さんはその後「トビタテ!留学JAPAN」の選考を通過。今年10月から来年9月末までアフリカに渡航予定です。マラウイでの研修、別団体でのボランティア活動を経て、来年3月にWVルワンダの活動地域入りする計画です。

ルワンダでの詳しい活動内容は調整中ですが、教育、水衛生などにも関わりたいと語る小林さん。

「大学を卒業したら、英語の教員になって日本の子どもたちにアフリカのことを伝えたい。アフリカと日本をつなぐような活動がしたいです」と、目を輝かせながらお話しくださいました。


2011年の東日本大震災から12年。南三陸町で出会った小学校2年生の小林さんが、こうして今、夢に向かって歩みだしている姿を見ることができたこと、こうして皆さまにご紹介ができることを嬉しく感じています。

小林さんからの現地レポート、帰国後レポートもまたご紹介させいただだきたいとお伝えし、「もちろんです!」とご快諾いただくことができました。どうぞお楽しみに!

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