フィリピン入りした木内スタッフからの報告

2013.12.27

フィリピンの支援地域の状況について、現地を訪問した木内スタッフからの報告をお伝えします

チャイルド・スポンサーとして、日頃より尊いご支援をいただいている皆さまに心より感謝申し上げます。

12月15日~19日の4日間、ワールド・ビジョン・ジャパンの木内真理子スタッフフィリピンのレイテ、サマール両地域を訪問しました。日本のチャイルド・スポンサーの皆さまにご支援をいただいている地域の台風30号による被害状況を確認するとともに、被災前に立てていたチャイルド・スポンサーシップを通しての支援活動計画を抜本的に見直すため、現地スタッフと話し合いを行ってきました。

チャイルド・スポンサーの皆さまへ、メッセージ動画を撮影しました。ぜひご覧ください。



ご支援いただいておりますチャイルドの安否についてご報告をした際、チャイルドの家が全壊もしくは部分的に損壊していることをお伝えした方も多くいらっしゃいます。そのような中で、チャイルドがどのような生活をしているのか、現地はどのような状況なのか、木内スタッフが確認してまいりましたので、以下にご報告させていただきます。

タクロバン市沿岸部
タクロバン市沿岸部
高潮でタクロバン市中心街に打ち上げられたままの船
高潮でタクロバン市中心街に打ち上げられたままの船

「子どもたちは本当に元気で、逆に私を励ましてくれました」

レイテ地域の子どもたちから歓迎を受ける木内スタッフ(中央)
レイテ地域の子どもたちから歓迎を受ける木内スタッフ(中央)

12月16日の夕方、レイテ島タクロバン市に到着した木内が最初に案内されたのは、地域のコミュニティセンターでした。そこには数十人の子どもたちと母親、地域のリーダーが木内スタッフの到着を待っていてくれました。停電が続いている暗い部屋の中、子どもたちの元気な姿に出会いました。

「こんなに辛い、大変な災害があったにもかかわらず、みんな本当に笑顔で、元気で、逆に私を励ましてくれました」

レイテ島のタクロバンは、建物や住居が密集する地域ですが、特に沿岸部は高潮による被害の爪痕が、今もなお生々しく残っている状況です。チャイルド・スポンサーシップを通して支援をしている地域は、沿岸からは多少の距離があったものの、高潮の影響による川の水量の急激な増水と猛烈な風とにより、家や家財道具などすべてが流され、ゼロからのスタートになっている家庭が少なくありません。




「フィリピンの人々はたくましいな、と驚きました」

補修した家に住むチャイルドを訪問した木内スタッフ
補修した家に住むチャイルドを訪問した木内スタッフ

驚くことに、近隣の避難所にはもう誰もおらず、親戚などを頼って一時的に避難した一部の方々を除き、ほとんどの家族が壊れた家を自分たちの手で補修して暮らし続けています。廃材の木片やビニールシートなど、手に入る資材を使って雨・風がしのげるように工夫がされています。

皆さまのご支援によって、緊急支援物資は届き、日々の生活は成り立っていますが、もともと貧困が大きな問題であったこの地域での暮らしは、さらに厳しいものになっています。



「はじめは笑顔で迎えてくれるものの、少し話をすると、涙ぐんでしまう方もいます」

チャイルドと母親から話を聞きました
チャイルドと母親から話を聞きました

「今、一番必要なものは何ですか?」との質問に対し、地域のリーダーからは「電気と仕事」との答えが返ってきました。

訪問したチャイルドの家庭では、市内の職場が停電で営業を停止している状況が続き、仕事がなく収入が途絶えてしまっている不安な気持ちを、シングルマザーの母親が話してくれました。

レイテ地域にある学校は、校舎の屋根が飛ぶなどの被害が出ているため、まだ再開の目途が立っていません。
「将来は学校の先生になりたい」と話してくれたチャイルドの夢が叶えられるよう、一刻も早く学校が再開し勉強が続けられるよう、支援をしていく必要があります。



サマール地域でも、多くの家族が補修した家に住んでいます

サマール地域のチャイルドの家。屋根や窓は自分たちで補修したそうです
サマール地域のチャイルドの家。屋根や窓は自分たちで補修したそうです

17日には、サマール島のサンタ リタ市を訪問しました。レイテ島タクロバンと違い、一面に農村が広がるこの地域での台風の影響は、主に強風によるものが中心でした。屋根が飛ぶなどの被害を受けた世帯も多く、手に入る資材で補修をした家に住み続けています。

農業を営むこの地域の多くの世帯が、これから栽培予定だった作物の苗や種子を台風で失いました。農業再開のために高利で種子を購入し、収穫物で返済しなければならないなど、経済的に不安定な状況になっている世帯が多い状況であることが分かりました。



授業を再開している小学校がありました!


屋根の一部が飛んでしまったために修理は必要だったものの、サマールで訪問した小学校での授業はすでに再開していました。
「Welcome!(ようこそ)」との歓迎の言葉を、花の飾りを付けた横断幕を準備して、子どもたちが笑顔で迎えてくれました。

吹き飛んだ屋根を修復した小学校
吹き飛んだ屋根を修復した小学校
笑顔で歓迎を受けました
笑顔で歓迎を受けました


中長期の計画を作り、支援を続けていきます

サマール地域のチャイルドと家族
サマール地域のチャイルドと家族

もともと貧しかったレイテ、サマール両支援地域は、台風の被害を受けたことによってさらに厳しい状況になっています。チャイルド・スポンサーシップを通してこの地域でどのような活動をしていくべきか、被災状況をふまえた新しい支援計画を策定し、全力でこの地域を支えてまいります。

その活動のためには、皆さまからの継続的なご支援が大きな力となります。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

スポンサーからの手紙を見せてくれたチャイルド
スポンサーからの手紙を見せてくれたチャイルド
スポンサーの写真を見せてくれたチャイルド
スポンサーの写真を見せてくれたチャイルド

クリスマスカードのお届けについて

通常、現地事務所では10月からクリスマスカードの準備を進めています。フィリピンのチャイルドをご支援いただいているスポンサーの方は日本に約700名いらっしゃいますが、大きな被害が出る可能性があると報じられた巨大な台風の接近に伴い、急きょ現地スタッフが台風上陸前にチャイルドの家庭を訪問して集めることができた約450通のクリスマスカードを現地事務所で保管していたことが分かりました。

これら約450通のクリスマスカードは、木内スタッフがフィリピンから日本に持ち帰りましたので、チャイルド・スポンサーの皆さまにお送りいたします。

台風上陸前に集めることができなかったチャイルドのクリスマスカードにつきましては、来年、チャイルド・スポンサーの方にお届けできるよう調整を進めています。

なお、チャイルドへのお手紙は、まだお届けできない状況です。お手紙をお送りいただける状況になりました際は、あらためてEメールもしくは郵送にてご連絡をさせていただく予定です。

また、誠に勝手ながら、2013年12月28日(土)~2014年1月5日(日)の期間を年末年始休業とさせていただきます。
お問い合わせをいただきました場合、お返事が1月6日(月)以降になりますことをご了承願います。

引き続き、皆さまからの温かいご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。