【ウクライナ危機から間もなく1年】ワールド・ビジョンは子どもたちの未来を守るため、寄り添い支援を続けています

(2023.02.13)

平穏な日常を奪われた子どもたちが直面する様々なリスク

冬用のコートを難民の子どもたちに贈る様子(モルドバ)
冬用のコートを難民の子どもたちに贈る様子(モルドバ)

2022年2月24日にウクライナ紛争が勃発してから、間もなく1年を迎えようとしています。ウクライナで暮らす750万人の子どもたちが、命や健康が危険にさらされるなどの影響を受け、約500万人の子どもたちが住まいを追われ、ウクライナの国内外で先の見えない避難生活を送っています。子どもたちは、身体的危害、精神的苦痛、住み慣れた家からの避難など、過酷な現実に直面し、あるいは隣り合わせで、生きています。避難を強いられた子どもたちの多くは、家族や保護者から引き離されています。子どもたちを守るための包括的な取り組みが実施されなければ、人身取引や搾取、虐待を受けるリスクが高まります。障害のある子どもたちの場合、支援の手はより行き届きにくく、養護施設でケアも不十分なまま放置されるなど深刻なリスクを抱えています。

子どもたちは紛争によって身体的リスクにさらされ、傷つき、命を落としています。ユニセフ(国連児童基金)の推定によると、ウクライナでは毎日平均 2人の子どもが紛争によって死亡しています。子どもたちは、身体的な負傷を受けただけではなく、心理的な傷を負っています。ワールド・ビジョンは、報告書『No Peace of Mind (平安のない心)』外部リンクで、150万人の子どもたちが、メンタルヘルスの問題を抱えるリスクに直面していることを警告しています。

さらに、施設で暮らす子どもたちはいっそう深刻なリスクに直面しています。ウクライナは、保護を受けなければならない状況にあるぜい弱な子どもの数が、ヨーロッパでも最大です。紛争が発生する前から90,000人以上が児童養護施設などで生活していました。その半数近くが障害を持った子どもたちです。ウクライナの公的な子どもの保護システムは、多くのケア従事者が安全を求めて国外へ逃れたため、この重大な危機に対応することが出来ず、機能不全におちいっています。それに加えて、避難民家族や子どもたちの新たな必要に、ソーシャルワーカーや心理学者が対応できる状況が整っておらず、子どもの保護システムに大きな負担がかかっています。

ワールド・ビジョンは危機発生直後から子どもたちに寄り添い、支援を届けています

「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」で楽しいひと時を、お友だちやWVのCFSファシリテーター兼心理学者のブランデューシャと一緒に過ごす6歳のマトビくん(ルーマニア)
「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」で楽しいひと時を、お友だちやWVのCFSファシリテーター兼心理学者のブランデューシャと一緒に過ごす6歳のマトビくん(ルーマニア)

ワールド・ビジョンは、危機発生直後から隣国ルーマニアを拠点に緊急人道支援を開始し、現在はルーマニアをはじめモルドバ、ジョージア、ウクライナ国内で支援を提供し、2022年12月末までに子ども232,249人を含む613,393人に支援を届けました。支援の一例として、先に述べた国々で合計344,299人に食料支援を行い、94,817人に現金・バウチャーを配給し、27,991人の子どもたちに教育支援を実施しました。精神的ケアを必要としている子どもたちのためには、子どもたちが安心して過ごすことができる「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」を設置し、ケースワーカーが心理社会的サポートを実施しています。

ウクライナの国内に関しては、ワールド・ビジョンは、2022年3月から国内での活動を開始し、キーウ、リヴィウ、ドニプロ、チェルニウツィーの事務所から、ウクライナ全土の紛争被災者を支援するために活動を行っています。教育支援をはじめ、児童保護プログラム、食料・救援物資の提供、水衛生改善のための支援、現金またはバウチャー支援を通じて、支援開始時から2022年12月末までの間に、393,957人のウクライナ国内の人びとに支援を届けました。

ワールド・ビジョンは、国内および国際的人道支援パートナーと連携し、ウクライナ紛争の影響を受ける国内で暮らす人びとへの支援活動を実施しています。

こちら動画で、ルーマニアのブカレストでの支援活動の様子をご覧いただけます。

避難生活を強いられる子どもたちに教育を通して希望のひかりを届けます

ソフィアさん
ソフィアちゃん

写真は、ウクライナ最大の都市の1つであるハルキウ出身の11歳の少女、ソフィアちゃん。彼女は、教育が中断されたウクライナの 530万人の子どもの1人であり、そのうち360万人の子どもたちは、紛争が悪化し続ける中、学校閉鎖の影響を受けています。ソフィアちゃんと家族は祖国を逃れ、ルーマニアに避難しました。ソフィアちゃんは、現在、避難先のルーマニアの学校に通っています。

「ここで爆弾を恐れずに勉強できることに感謝しています。学校に行くのは大切です。紛争で勉強できる時間がなくなってしまいました。ここでその時間を取り戻したいのです」

故郷から遠く離れて、言葉も通じない国の学校に通うことにソフィアちゃんは不安を抱きました。そうした問題を解決するために、ワールド・ビジョンは、ウクライナから避難する子どもたちにルーマニア語を学ぶ機会を提供したり、タブレットや本などの学びに必要な物資を提供したり、親や保護者を対象にワークショップを開催して、子どもたちが避難先でいち早く新たな環境になじみ、安心して学べるように支援しています。

ワールド・ビジョンは、支援開始時から2022年12月末までの期間において、ルーマニアに避難した1,800人の子どもとその家族に、健やかな成長を支え、安心して過ごせる環境を提供するため、メンタルヘルス支援、教育支援を含む、子どもの保護プログラムの活動を提供しました。ワールド・ビジョンは、子どもたちのオンライン学習のために、貧困で苦しむ家庭の子どもたちを対象に110台のノートパソコンを提供しました。また、ネット上のいじめから、子どもたちを守るためのワークショップも行いました。ウクライナ、モルドバ、ジョージアでも同様の教育支援等を行い、ウクライナの子どもたちが厳しい状況にあっても、希望とともに学び続けることができるように活動しています。

子どもたちの日常を取り戻し、未来を守るために、募金にご協力ください

ウクライナ紛争が長期化する中、ワールド・ビジョンは様々な人道支援機関とのパートナーシップを強化し、ウクライナの最もぜい弱な子どもたちの日常を取り戻し、未来を守るために支援活動を続けます。


「ウクライナ緊急支援募金」を受け付けています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
今すぐ募金