【開催報告】未来ドラフト2021グランプリアイデアをヨルダンで実施!

(2022.5.31)



日本の若い世代が難民問題に関心を持つことを願い、「アイデアの寄付」を募るアイデア・コンペティション、「未来ドラフト」。4回目を数える2021年、応募総数100件の中からグランプリdonedone賞に輝いたアイデアが、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)が教育支援を実施しているヨルダンの学校に届けられました。

今月6月20日世界難民の日を前に、アイデアがどのように実現されたのか、また、参加したシリア難民・ヨルダン人の子どもたちの声をご報告します。



未来ドラフト2021と背景

未来ドラフト2021の課題テーマは、「みんなが安心して学校に通い続けられるように、異なる境遇で育った子ども同士が互いに分かり合えるアイデア」。多くのシリア難民を受け入れるヨルダンでは、学校が過密状態になり教育の質の低下が問題になっています。今回、アイデアを実現した学校ではヨルダン人の子どもが午前中に学び、シリア人の子どもが午後に学ぶ2部制を導入しています。

シリア人は行き場を失って国を後にし、ヨルダン人は財政的に潤沢でなくとも、同胞であるシリア人を受け入れようという思いとともに暮らしていますが、その期間は想像をはるかに超えて10年以上におよんでいます。このような背景から、自分の生活が脅かされるという不安から難民を良く思わないヨルダン人、逆に受け入れ側コミュニティの対応から生きづらさを感じるシリア難民という構図が生まれる場合もあり、大人の影響を受ける子どもたちも、互いに非友好的な印象を抱えることも少なくありません。そのため、通学路で嫌がらせを受けてしまうなど、残念な出来事が起きています。

このような背景をふまえ、未来ドラフト2021では、学校が2部制で普段は接点の少ないシリア人とヨルダン人の子どもたちが、お互いを知ることによって安心して学校に通い、学びを続けられるアイデアを募集しました。

グループ毎に校内のチェックポイントを回る様子

「知識を分け合えトレジャーハント」

グランプリdonedone賞「知識を分け合えトレジャーハント」のアイデアが、2022年3月19日と26日にWVJが教育支援を実施するヨルダンの学校で実施されました。ヨルダン人・シリア人の児童でチームを作り、学校内の5つのチェックポイントでアクティビティに取り組みました。

  • お互いの国を知るクイズ
  • 国旗を描いてみよう
  • 身近なもので音楽を作ろう
  • 折り紙で動物園を作ろう
  • 体を動かすゲーム


イベントの開催にあたって、アイデア発案者のもえさんからの手紙をスタッフが代読、また、日本の女子中高生が制作した日本を紹介するビデオを通しても、日本の若い世代の難民支援に込める想いをヨルダンの子どもたちに届けることができました。

折り紙を通じて日本について知ることができました
折り紙を通じて日本について知ることができました

参加者の声

体を動かすゲームの様子
体を動かすゲームの様子
  • 今日の活動を通じて、協力することの大切さを学びました(参加した児童)
  • お互いの国について紹介する際、お互いの国の伝統料理を紹介しました。その際、シリア人生徒がヨルダン人生徒「家に食べにおいでよ」と招待していました(教師)
  • 一緒に遊んで仲良くなり、新しい友だちを作る機会なりました(シリア人の母親)


イベントの成果

イベントを通じて、シリア人とヨルダン人の生徒がお互いをどのように感じているかアンケートを行いました。緊急下の教育の専門家で、未来ドラフト2021に審査員としてもご参加いただいた上智大学小松太郎教授に協力いただき、質問項目の設定、分析を行いました。

全体的に「そう思う、とてもそう思う」が増加。本イベントを通じて異なる国籍の子どもたちと遊ぶこと、学校を共有することを好意的にとらえられるようになったこと、国籍が違っても平等の権利を有していることを理解できたことが伺えます。










若い世代と今後の難民問題

今回のイベントは、事業地の子どもたちに他者を知り、そして、他者と協力することの大切さを学ぶ機会を提供することがことができました。今後、地域でのコミュニケーションが活性化し、子どもたちがより安心して学校に通い、学べるようになることが期待されます。

また、日本の若い世代からは未来ドラフト2021を通じて初めて難民問題にふれた、考えるきっかけを得たという声が寄せられました。中には、友人同士誘い合わせて参加してくださる方もいらっしゃいました。

未来ドラフトは2021年をもって、いったん幕を閉じました。4回を重ねた未来ドラフトに参加した若者の皆さんが、これからも難民問題やグローバル課題について考え続けもらうことを願いつつ、ワールド・ビジョン・ジャパンでは今後も、難民の子どもたちへの支援事業とともに、日本の皆さまに知り、参加していただくための取り組みを続けてまいります。




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