【エチオピア北部紛争】停戦宣言を歓迎、しかし命を救うには平和の維持が必要です

(2021.07.05)

エチオピア政府は、6月28日、同国北部ティグレ州における紛争について「人道的停戦」を宣言しました。ワールド・ビジョンはこの宣言を歓迎するととともに、紛争に関わるすべての当事者に対し、ティグレ州における平和と人道的アクセス(人道支援のために紛争地等に立ち入ること)を促進するよう要請します。

「現在、私たちのスタッフは、現場の状況の把握に努めています。子どもたちが切実に支援を必要としている同地域で、スタッフたちは、命を救うための活動に戻ることを熱望しています」と、ワールド・ビジョン・エチオピアの事務局長代行、カルメン・トラジコフ・ティルは言います。

ティグレ州は、何カ月にもわたる紛争と干ばつに悩まされてきました。何百万人もの人々が飢きんのような状況に直面し、一時的な避難場所での生活を余儀なくされ、緊急人道支援を必要としています。現在、多くの子どもを含む520万人が支援を必要としており、100万人が国内避難民となり、6万3,000人が隣国スーダンに逃れました。また、新型コロナウイルス感染症が人々の生活を脅かしており、何カ月も学校が閉鎖を余儀なくされ、多くの学校が避難所になっています。

避難生活を送る親子
紛争から逃れ学校に身を寄せる親子(ティグレ州)
トラジコフ・ティルは次のように述べます。「6月28日にエチオピア政府が発表した停戦は、平和を維持できれば、域内の人道的アクセスを拡大し、支援活動を迅速に展開する機会となります。私たちは、すべての当事者に対して、国際人道法、自由な人道的アクセスおよび民間人保護を尊重するよう求めます」

国連機関が発表した総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification: 略称IPC)では、エチオピアは、7~9月の間に40万1,000人もの人々が飢餓の大惨事(IPC5)に直面すると予測されています。IPC5は5段階評価のうち最も深刻なレベルであり、すでに180万人がIPC4に相当する飢餓の危機に瀕していることを考慮すると、早急に支援を届けることが必要不可欠です。そして、支援を必要とする人のほとんどがティグレ州にいるとも報告されています。

トラジコフ・ティルは続けます。「通信環境が不安定なため、ティグレ州にいるスタッフとのコミュニケーションが取りづらい状況ですが、彼らが、食糧支援、水衛生支援、子どもたちを様々な脅威から守る子どもの保護プログラムを速やかに再開させたいと願っていることは確かです」

ワールド・ビジョンは40年間にわたりティグレ州で活動しており、1万9,254人の子どもたちとその家族の生活を改善することを目的とした13の長期的な開発プロジェクトを通して、地域コミュニティと連携して支援を進めてきました。

現在は、ティグレ州の150万人を対象に5,000万ドル規模の支援活動を展開中で、これまでに、46万5,000人(うち子ども13万4,920人、女性25万6,000人)に水衛生プログラム、食料・栄養支援、生計向上、子どもの保護、教育、避難所提供等の支援を届けました。

ワールド・ビジョン総裁/最高責任者、アンドリュー・モーリーはこう述べます。「ティグレの子どもとその家族の命を守るため、緊急に支援を続行する必要があります。しかしそれは、平和が確保される場合のみ実行可能となります。この歴史的な飢餓の危機に瀕し、生きることすら危ぶまれる人々のために、遅滞することなく支援を届けることができるよう祈ります。ワールド・ビジョンやその他の人道支援機関が、攻撃の標的にされることなく、最も支援を必要としている人々を支える任務に戻ることが許可されなければなりません」



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気候変動による干ばつや新型コロナウイルスの影響等に加えて発生した紛争により、子どもたちや人々の生活は危機的状況にあります。皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。

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