【新型コロナ】シリアはさらなる災害の瀬戸際に
-支援開始100日間の報告書発表に際し、国際NGOが警告-

(2020.07.31)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応開始から100日間に焦点を当てた報告書『100 Days On -COVI-19 Emergency Response』を発表しました。世界での事例・考察をまとめた本報告書の発表に際し、特にシリアの現状について、何千人もの人々が大きなリスクにさらされていることを警告します。

シリアの現状

  • COVID-19の感染事例は過去3カ月で20倍に増加している
  • 病院はCOVID-19の患者の受け入れを中止するよう指示されている
  • 検査を増やし、保健システムの機能を強化するための資金が不足している

ワールド・ビジョン総裁/最高責任者、アンドリュー・モーリーは、次のように語ります。

「10年近くの紛争で既に疲弊していた子どもたちとその家族にとって、COVID-19は壊滅的な打撃です。検査体制が不十分な点を考慮すると、報告されている数字は氷山の一角かもしれません。キャンプで暮らす人々にとって、ソーシャル・ディスタンシングや清潔な水で手を洗うことは不可能です」

この3カ月でCOVID-19の感染事例が29件から608件と、20倍に増加したとする報告について、シリア担当ディレクターのヨハン・モーイはこのように述べます。
「増加のペースが病院のキャパシティを圧倒している状況です。保健省は、首都ダマスカスとその近郊の病院に対して、患者の受け入れを中止するよう指示しています」

ヨルダンのシリア難民キャンプで暮らす少女(10歳)
ヨルダンのシリア難民キャンプで暮らす少女(10歳)
ワールド・ビジョンは、紛争のために家を追われた何千もの人々が暮らす避難民キャンプの状況を非常に懸念しています。シリア北西部のキャンプでは、限られた場所に、これ以上入りきれないほどの人々が暮らしています。現地の専門家によると、これまでに30人の感染が確認されているものの、今後急速に増える可能性があります。また、医師や看護師もCOVID-19に感染していると報告されています。

「世界中にCOVID-19が蔓延する中、最もぜい弱な地域では感染はまだピークには達していません。シリアでは、避難民キャンプで生活している人々の状況が深刻です。インフラは破壊され、保健サービスは機能不全となっています。状況が悪化すれば、今かろうじて機能している保健システムはすぐに崩壊するでしょう」と、モーイは続けました。

報告書『100 Days On -COVI-19 Emergency Response』では、ワールド・ビジョンが遠隔地支援にどのように対応したのか、またコミュニティ、医療従事者、宗教リーダーたちとの連携をどのように拡大したのか、難民・避難民キャンプでどのような感染防止策をとったのか等をまとめています。これらの施策により、これまでに世界で4,400万人の人々(半数は子どもたち)に必要な支援を届けることができました。

※報告書全文はこちら(英語)pdfアイコン

報告書 表紙
      報告書 表紙
ワールド・ビジョン総裁/最高責任者、アンドリュー・モーリーは訴えます。
「私たちが世界で最もぜい弱な場所でCOVID-19と闘えているのは、ドナーや支援者の方々のおかげです。本当に感謝しています。ワールド・ビジョンをはじめとする援助機関は、COVID-19とその二次的な影響を受ける子どもたちやその家族を引き続き支援していきますが、これは私たちだけで完遂することはできません。私たちにできることは何でもし続けるとともに、世界の指導者に対して、このパンデミックと二次的影響から子どもを守ることを優先した政策をとるよう求めます」


ワールド・ビジョンのCOVID-19対応

2020年1月にアジア地域での緊急支援を開始し、3月には活動国を拡大してCOVID-19の世界的な感染拡大に対応。従前より実施していた開発プログラム(チャイルド・スポンサーシップ等)の支援地域でCOVID-19対策を行うことに加えて、医療体制がぜい弱な国や難民・避難民が多い等を中心に対策を強化しています。最もぜい弱な環境にある子どもたちとその家族に支援を届けるため、2020年9月までに、3億5,000万米ドル(約375億円)の活動資金を必要としています。詳しくはこちら

ワールド・ビジョンとは

キリスト教精神に基づいて、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録されています。詳しくはこちら

本件に関する報道関係者からのお問合せは

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 広報担当:市山志保
【電話/FAX】 03-5334-5356/5359  【Eメール】 shiho_ichiyama@worldvision.or.jp


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