G8首脳陣は、途上国のHIV/エイズ対策に取り組む歴史的な機会を逸したことを非難されるべきです

2007.06.09

ワールド・ビジョンは、G8首脳陣がHIV/エイズによる世界的な危機、そしてHIV感染の影響によって苦しんでいる、子どもたちも含む何百万人もの人々にとって何の慰めにもならない回答しか示さなかったことを非難します。

今回のサミットで、G8首脳陣2005年のグレンイーグルス・サミットで公約したHIV/エイズに対するコミットメントを再確認したことは最低限評価できるものの、世界的脅威に対してこのように生ぬるい姿勢しか示さなかったことを非難します。G8首脳陣からの慰めにもならない回答に、HIV罹患率が高い国々は期待を大きく裏切られました。

「G8諸国は、HIV/エイズ治療への普遍的アクセスを実現するために必要とされる資金を減額し、また、資金のコミットメントを実行するための具体的な計画を明らかにしませんでした。具体的な戦略を示すことができないで、どうやって、グレンイーグルス・サミットの声明文や、ミレニアム開発目標でうたわれている2010年、そして2015年までの目標を達成することができるでしょう?」とワールド・ビジョンのHIV/エイズ専門家、マーウィン・メイヤーは言います。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によれば、HIV/エイズ対策資金として2010年までに毎年230億ドル必要です。このうち、160億ドルはG8諸国が拠出すべきだとワールド・ビジョンは期待していました。しかし、このたびG8諸国によって表明された、600億ドルは拠出する期間が明らかにされておらず、しかも、HIV/エイズ対策だけではなく、結核、マラリア、そして、多額の費用を資金とするアフリカの保健システム強化のためにも使われるものです。もし、600億ドルが5年間にわたって拠出されると、年額平均は120億ドルとなり、HIV/エイズ対策のためにも、保健システム強化のためにもまったく足りない金額です。

小さな希望は、今回の声明にHIVの母子感染予防と、感染した子どもの治療について具体的な数字が盛り込まれたことです。
「HIV陽性の母親のもとに生まれる途上国の子ども達のうち、34%がHIVに感染します。母親が、母子感染を防ぐために必要な薬や情報を手に入れることができないからです。もし、今回表明された資金が、実際に、きちんと、戦略的に使われれば、途上国の母子感染率を先進国並の2%近くまで減らすことも夢ではないかもしれません。」とメイヤーは語ります。

声明文では、G8が今年中にHVI/エイズ対策の進捗状況を見直すことが表明されています。「この見直し作業では、これまでのG8による公約を遵守するため、各国政府が毎年何を行うか、という具体的な計画が明らかにされる必要があります。」とメイヤーはコメントします。

G8サミットは、来年日本で開催されます。しかし、G8諸国が公約遵守の努力に励まなければ、世界の多くの子どもたちはそれまで生き残っていることができないのです。


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