SDGs目標1「貧困をなくそう」とは? | 現状や取り組みを解説

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、国連サミットで加盟国において掲げられている国際目標の1つです。2030年までを1つの区切りとし、実現すべき目標が複数記載されています。そのうちの1つが「貧困をなくそう」という目標です。

しかし「貧困をなくそう」と聞いても、「どこの」貧困を「どのようにして」なくすのか、イメージがわかない人も多いでしょう。また自分がどのように協力すれば目標が達成できるのか、分からない人も少なくないと思われます。

そこで本記事では、SDGsの目標である「貧困をなくそう」について詳しく解説します。目標達成に向けて具体的にどういったことが行われているのかを知り、自分にできる支援について考えてみましょう。

SDGs目標1が掲げる「貧困をなくそう」とは

「貧困をなくそう」という目標は、SDGsの中で1つ目に掲げられている目標である
「貧困をなくそう」という目標は、SDGsの中で1つ目に掲げられている目標である

まずはSDGsが掲げる「貧困をなくそう」について、詳しく見ていきましょう。

SDGsとは

SDGsとは、2001年に策定された「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」の内容を引き継ぐ国際目標です。MDGsは2000年9月の国連ミレニアム・サミットで潘基文国連事務総長が発した「国連ミレニアム宣言」を元にまとめられました(注1)(注2)

国連ミレニアム宣言とは、世界中で暮らす数十億の人々におけるより良い暮らしの実現を目標として掲げられた宣言です。これを元にしたMDGsは現在のSDGsと同様、貧困や環境、ジェンダーの問題を解決する旨が記載されています(注2)。

しかしMDGsは、2015年までの国際目標として掲げられたものでした。そのため、2015年以降は、2030年までの目標として新たにSDGsが策定されました。こうしてSDGsがMDGsのあとを引き継ぐ形となったのです。

なおMDGsは大きな目標が8項目であったのに対し、SDGsでは目標が17項目に増えています。人々や環境、そして地球そのものが長く持続できる(Sustainable)ように、より幅広く具体的な内容となりました。


「貧困をなくそう」はSDGs1つ目の目標

「貧困をなくそう」という目標は、SDGsの中で1つめに掲げられている目標です。SDGsの前身であるMDGsにおいても、「極度の貧困と飢餓の撲滅」といった目標が1つ目に掲げられていました(注2)。それだけ世界の貧困は重要な問題であるということです。

なお「貧困をなくそう」という目標には、以下の7つの具体的な達成目標が設けられています(注3)。

1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び、ぜい弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及びぜい弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びそのほかの形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層やぜい弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やそのほかの経済、社会、環境的ショックや災害の暴露やぜい弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

(※SDGsの目標とターゲット | 農林水産省外部リンク より引用)


具体的な数値が提示されている目標は、主に1.1と1.2です。2030年までに1日1.25米ドル(日本円で133.84円:2022年6月15日の通貨レート)未満で生活する人々をなくし、各国で「貧しい」とされる人を2015年時点の半分以下にすることが掲げられています。

目標を達成するためには、1.3以下の目標が重要です。例えば1.3では、各国で立場の弱い人々を守る社会的な仕組みづくりを行うことが目標とされています。

ほかにも貧困に苦しむ人々も平等に社会的なサービス・技術を使える体制づくりや、開発途上国の資金調達などが掲げられている点が特徴です。

「貧困をなくそう」に対する現状

SDGsの達成を願うニジェールの子どもたち
       SDGsの達成を願うニジェールの子どもたち

続いて、世界は現在どういった貧困問題に直面しているのか、見ていきましょう。日本も決して、貧困問題と無縁とはいえません。

世界の貧困率

国際的な貧困の定義として挙げられるのが、「国際貧困ライン」です。国際貧困ラインでは、1日の生活費が1.9米ドル(日本円で約254.296円:2022年6月15日の通貨レート)未満である場合は貧困と定義されます。国連児童基金(UNICEF)と世界銀行による分析によれば、貧困状態にある人は世界で約7億960万人(注4)。つまり、世界のおよそ10人に1人は貧困に苦しんでいるのです。

なお1990年には18億9,500万人だった貧困者も、2015年には7億3,400万人にまで減少しています(注5)。このように貧困者の割合は徐々に減っているものの、依然として約10%の人々は貧しい暮らしに耐えなければならない状況にあるのが現状です。

近年では新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、生活に大きな打撃を受けた人が多くいます。さらに貧困率は地域ごとの格差もあり、特にサハラ砂漠以南のアフリカではいまだに多くの人が貧困に苦しんでいる状況です。



6人に1人の子どもたちが貧困に苦しむ現状

UNICEFと世界銀行の分析によれば、貧困に直面する人の約半数にあたる3億5,600万人が子どもです(注6)。割合にすると、6人に1人の子どもが1日1.90米ドル未満で生活しています。

特に貧困で苦しむ子どもが多いのは、サハラ砂漠以南のアフリカです。3億5,600万人のうち、約3分の2以上がサハラ砂漠以南のアフリカに住む子どもたちだとされています(注6)。次に多いのが南アジアであり、地域によっても貧しさの格差があるのです。

貧困下にある子どもは、2013〜2017年の間に2,900万人減少しました(注6)。しかし大人の貧困率と比べると、そこまで顕著に減っているわけではありません。子どもは弱い立場であるため大人よりも貧困に陥る可能性が高く、経済的な打撃を受けやすい立場にあります。

そのため、いまだに貧しさで最低ラインの生活を維持できていない、または学校に行けなくなってしまったり、親から労働や早期の結婚を強いられたりする子どもが少なくないのです。



貧困に苦しむ国の7割が開発途上国

世界には日本を含め196カ国ありますが、そのうち開発途上国と定義される国は140カ国以上あります。つまり、世界の7割以上の国は開発途上国なのです。開発途上国とは、日本を含むOECD加盟国から援助を受けている国を指します。

中でも特に開発の遅れた47カ国は、「後発開発途上国」と定義されます。例えばアフガニスタンやカンボジア、ギニア、トーゴ、ウガンダなどの国です。

このように経済的に安定していない開発途上国には、貧困に苦しむ多くの人がいます。また開発途上国では、貧困者や立場の弱い人を守る制度が確立されていないケースも多数あります。日本のような生活保護や補助金といった社会保障を受けられず、苦しい生活を余儀なくされる人が少なくありません。



日本における貧困の現状

日本でも、貧困は決して他人ごとではありません。日本は先進国35カ国の中でも、7番目に貧困率が高いとされています(注7 p.24)。ここで指標となる貧困率は、相対的貧困率に基づく数値です。

相対的貧困率とは、その国の大多数と比べて貧しいとされる人々の割合を指します。相対的貧困率を考えるうえで基準となるのが、「貧困線」と呼ばれる一定の収入を下回る人々の割合です。

例えば2018年において、日本の貧困線は127万円でした。この年収を下回る人々の割合は15.4%とされています(注8 p.14)。つまり日本では6〜7人に1人が相対的貧困といえるのです。

貧困なくすためにできること

子どもたちと交流するワールド・ビジョンのスタッフ。政府や国際NGO、NPO法人などにより貧困をなくすため、積極的な活動が行われている
子どもたちと交流するワールド・ビジョンのスタッフ。政府や国際NGO、NPO法人などにより貧困をなくすため、積極的な活動が行われている

現在、政府や国際NGO、NPO法人などにより貧困をなくすためのさまざまな取り組みが行われています。そのような中で、私たちはどんなことができるでしょうか。具体的な取り組みについて、考えてみましょう。

日本政府の取り組み

日本政府はSGDsを受けて、まず目標達成に向けた組織づくりを行いました。2016年5月には総理大臣を本部長、官房長官と外務大臣を副本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置(注9)。

1年ごとに「SDGs アクションプラン」を作成し、政府だけでなく企業や教育機関、金融機関、NPO法人などさまざまなステークホルダーに対して目標達成に向けたはたらきかけをしています。

例えば2018年のアクションプランでは、子どもの貧困対策として以下の取り組みが策定され、実際に行われました(注10 p.4 p.5)。

取り組み概要 具体例
子どもの未来応援国民運動 ・保護者の生活支援
・子どもの生活支援
・子どもの就労支援
・支援する人員の確保
・保護者に対する就労の支援
・経済的支援 (生活費や進学等に必要な支出を支援)
・社会全体で子どもの貧困対策に取り組む環境を整備 など
次世代の教育振興 ・幼児教育の振興
・初等中等教育の充実
・高等教育の負担費軽減
・特別なニーズに対応した教育の推進 など
若者・子ども・女性に対する国際協力 ・途上国に対する経済的支援
・途上国における女性起業家の支援
・途上国の人材を日本に招き、技術・政策・開発経験・開発援助の経験などの教育を提供 など

このように日本では、国内外に対して貧困をなくすための取り組みを進めています。


国際NGO「ワールド・ビジョン」の取り組み

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、持続可能な開発目標(SDGs)の採択を受けて、国内外の協力団体などとともに、SDGsを着実に実行するための政策や実施体制を整えるよう、政府に働きかけてきました。

また、子どもたちのために実施する支援の現場において、SDGs達成につながる活動に一層力を入れています。

また国内の人々に対し、海外の貧困問題について発信する活動も実施。例えば2022年4月7日には、「いのちのバトンをつなぎたい 世界の子どもの3人に1人は栄養不良」という本を出版しました。

この本では、ワールド・ビジョンが世界各国で出会った子どもたちのリアルな生活を紹介しています。中学生以上を対象とした読みやすい文体で、WVJの親善大使の酒井美紀さんから推薦コメントをいただきました。多くの人が貧困問題について関心を持つための入門書となっています。

さらに小学生を対象としたオンラインのワールド・ビジョン・サマースクールや、小学校から大学へ向けたグローバル教育プログラムも展開。教育機関を通して、子どもたちが世界の貧困に目を向けられるような活動を積極的に行っています。



貧困をなくすため私たちにできること

「貧困をなくそう」という目標を達成するには、一人ひとりが問題意識を持って行動することが大切です。貧困の現状を知ることも、貧困をなくすための大きな第一歩といえます。また、その情報を周囲に発信することも、貧困をなくすために重要です。

貧困で苦しむ人々に直接的な支援をしたい場合は、国際NGOやNPOといった団体に寄付することによって活動に携わることができます。自分が寄付したお金がどのように使われたか、その団体の活動状況をホームページやSNSを通した発信や、報告書などで確認することも大切です。

自分が寄付したお金がどのように使われたか、その団体の活動状況をホームページやSNSを通した発信や、報告書などで確認することも大切です。ワールド・ビジョン・ジャパンでは支援活動の状況を公式ホームページや公式SNSで発信しているのに加え、年次報告書(年1回発行)やニュースレター(年2回発行)を寄付者の皆さまにお送りしています。

ワールド・ビジョンがご案内している毎月の寄付プログラム「チャイルド・スポンサーシップ」では、開発途上国の子どもたちを取り巻く環境の改善を目指して実施している支援活動に参加することができます。チャイルド・スポンサーシップは、月々4,500円、1日あたり150円の継続支援です。

チャイルド・スポンサーになっていただいた方には、支援地域に住む子ども"チャイルド"をご紹介します。年に一度お届けするチャイルドの写真つき成長報告や、お手紙のやりとりで心の繋がりを持ちながら成長を見守ることができます。

ぜひ募金という形での支援をお願いいたします。継続的な寄付以外にも、ワールド・ビジョンではさまざまな支援の形をご提案しております。

たとえば単発での寄付や、ワールド・ビジョン・ジャパンのSNSアカウントをフォローしたりハッシュタグで情報を広めたりすることも支援の1つです。こうした支援は簡単にできるため、気になる人はぜひ「広める・伝える」から詳細をご確認ください。

「貧困をなくそう」達成のため協力をお願いいたします

ワールド・ビジョンの活動にご関心を持っていただけた場合は、ぜひチャイルド・スポンサーシップへのご協力をお願いいたします
ワールド・ビジョンの活動にご関心を持っていただけた場合は、ぜひチャイルド・スポンサーシップへのご協力をお願いいたします

貧困は世界的な問題で規模が大きい分、「自分が何をすれば良いのかわからない」という人も多いでしょう。貧困はさまざまな問題や国の情勢がからみ合って発生しているケースが多いため、誰かが何かをしたからといってすぐに解決するものではありません。

しかしワールド・ビジョンでは創設当初から「"何もかも"はできなくとも"何か"はきっとできる」の精神を大切に、日々活動しています。貧困問題に対する正しい理解を持つ人や情報を発信する人、「どうにかしたい」と思う人が増えるだけでも、問題は少しずつ解決に向かっていくはずです。

ワールド・ビジョンの活動にご関心を持っていただけた場合は、ぜひチャイルド・スポンサーシップへのご協力をお願いいたします。

今あなたにできること、一日あたり150円で子どもたちに希望を。

支援の方法を詳しく知る

子どもたちの未来を取り戻す活動に、あなたも参加しませんか。

「世界の子どもたちのことを、1人でも多くの方に知ってほしい」という願いを込めてメールマガジン、LINEメッセージをお届けしています。知って、あなたにできる新しい"何か"を見つけてください。

資料請求をする

参考資料

関連ページ

世界の子どもたちの今を、お届けしています。