国際NGOへの就職を考えるあなたへ:事務局長、常務執行役員から

国際NGOワールド・ビジョンの事務局長および常務執行役員が、就職・転職を考えているあなたに、NGOの役割、NGOに向いている人、求められる能力などに対する考え方のヒントをご紹介します。

事務局長 木内 真理子

なぜNGOで働くのか?

ひと言でいうと、社会を変えてさまざまな課題を解決することに役立ちたい、という「思い」があるからだと思います。

今、私たちの周りには貧困や環境、人権の問題など、多くの課題があります。NGOで働きたいという人は、そういった世の中の不条理に、「何かおかしいぞ」と問題意識を持っている人です。そしてNGOには、その問題が起きている現場で課題と向き合いながら、解決に向けて社会を変えていきたい、という「思い」を持つ人が集まります。「思い」は、その人がこれまでどういう経験をし、その中で何を見て感じたのか、が結晶してできるものです。そういう意味では、その人のそれまでの「生き様」のようなものが働くことのモチベーションになる仕事だと思います。

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)には、80名の、実に個性豊かな人が集まっていますが(笑)、唯一の共通点ともいえるのが、今の社会を、「世界のすべての子どもたちが豊かな人生を歩むことができる社会に変えていきたい」という「思い」です。

この「思い」を実現するためにWVJのスタッフとしてどう貢献するか、には、実は多様な関わり方があります。途上国に行ってよいプロジェクトを実施して成果を出すこともひとつです。そのために必要な資金を得られるよう、途上国の現状を伝えて支援を募ることも、日本を拠点とするNGOだからこそ必要な大切な貢献です。また、団体として信頼が得られるよう、組織を強くし人材を育てる、という縁の下の力持ち的な働きも、団体がしっかり力を発揮するためには不可欠です。

これからのNGOの役割

WVJが設立して間もなく30年になります。この間、阪神淡路大震災、東日本大震災などの辛く大変な出来事がありました。災害時は多くのNGOやNPOが、いち早く現場に駆け付け、支援を必要としている人に寄り添って支援をしてきました。一方で、社会から忘れ去られたような途上国の地方で、生まれたときから貧困の中にいる子どもたちや人々とともに歩き支援する月日もありました。そうしているうちに、NGOやNPOの存在が徐々に知られてきて、いつの間にか社会の課題解決に重要なプレーヤーの一員として認められるようになってきたように思います。

開発援助の世界でよく聞かれ、共感を得ている言葉に"Cool Head but Warm Heart"(マーシャルのことば)というのがあります。開発援助に携わる者に求める資質のようなものをよく表している言葉です。途上国の人々が貧困や困難から脱却できるよう、熱い思い(warm heart)を秘めながら、同時に何をすべきかを冷静に見極め、知恵を絞り的確に支援を行う力(cool head)もとても大切だ、という趣旨です。日本のNGOには、これまで以上にこの資質が期待されているように感じます。社会を変えたいという「熱い思い」は不可欠です。けれどそれだけではなく、必要なことをしっかり、時にクリエイティブに行うことも同様に重要なのです。WVJの場合は、途上国や国内で行う支援の成果を出すこと、それをしっかり説明して社会の理解を得ていくことです。やったことの結果が求められる、という意味では民間企業と変わらないかもしれません。NGOだからこそ、「思い」は外せませんが、それだけではダメ。社会の責任ある一員として、きっちり「仕事」ができるプロフェッショナリズムも必要とされるのです。



WVJへ入団した理由

率直に言って、「良いプロジェクト(事業)をしている団体」と思ったからです。長年開発援助の仕事をしていましたが、WVのプロジェクトは案件形成の段階から良い知恵が詰まっていて、かつ適切に実施・モニタリングがなされ、しっかりした成果を出しているものが多いと感じていました。しかも、子どもを中心とするコミュニティ支援ですから、コミュニティに住む人々の顔が近くに見えます。子どもや人々の生活がどう変わるかを間近で見ることで、自分が携わったプロジェクトの手応えが直接感じられる-こんなにやりがいのある仕事はないな、と思いました。


WVJに向いている人

多様な人が集まり、多様性がオモシロサをつくりだしている組織なので、正直なところ「こういう人が向いている」「こういう能力・スキルのある人求む」と一言で言うのは非常に難しいのですが、敢えて言うならば・・・。



1. 正解がないことを楽しめる人

社会の課題はすべてが複雑で、解決のための正解は簡単には見つかりません。むしろ正解がない場合がほとんどでしょう。WVJが立ち向かう子どもを取り巻く問題も同じです。ですから、たとえ自分は一生懸命仕事をしているつもりでも、うまくいかないことの方が多いかもしれません。それでも、現場に行ってコミュニティの人や子どもたちに話を聞いて、必死に考えたり、何かよい方策はないかと調べて勉強したり、あれこれ試行錯誤したり同僚や上司と議論したりして、少しずつでも物事をよくしていく―そういうチャレンジを楽しめる人にお勧めの職場です。

2. 問題の根本要因(root cause)は何かを掘り下げていくのが好きな人

途上国では小学校の就学率の低さがよく指摘されますが、対策を考えるには原因を明らかにする必要があります。原因のひとつは近くに学校がないことかもしれませんが、ではなぜ学校がないのか。政府の予算の問題なのか、そもそも教育の必要性が理解されていないのか、建てても教師がいないのか-など、広く深く掘り下げて根本的な要因を突き詰めていかないと、そのコミュニティで必要な支援はできないし、成果は上がらず子どもは学校に行けないままです。社会の課題はたくさんありますが、それを自分で掘り下げ、調べて類推し、検証してまた掘り下げていくことが好きな人、またそれをやるガッツのある人なら、きっとやりがいを感じる仕事だと思います。

3.仲間と仕事をすることが好きな人

複雑で多様な社会の課題を解決することは、当然、ひとりではできません。それぞれの強みと弱みを補完し合いながら、互いに切磋琢磨し、チームとして最大限の力を発揮することが大切です。職場の同僚や上司はもちろん、WVJの外の団体や政府企業、WVの海外のオフィス、そして支援するコミュニティや子どもたちなど多様なパートナーと、ともに仲間として働くことに魅力を感じる人には、とても向いている仕事だと思います。

4. 成長したい人

WVは世界約100か国にオフィスを持つ国際NGOです。全世界で働く同僚は4万人。この中には様々な専門家がいます。途上国の教育水・衛生保健・栄養、農業、子どもの権利に関する専門家はもちろん、ファンドレイジングやマーケティング、財務・会計、人事の分野でワールドクラスの専門家も多くいます。ほとんどの人が、WVに来るまでは、国連などの国際機関やグローバル企業、コンサルタント、民間銀行などの第一線で活躍してきた人です。WVJで仕事をすると、多かれ少なかれこういった専門家と一緒に、ときにサポートしてもらいながら、またときに議論を戦わせながら、活動の質を上げていくことが求められます。英語での仕事になるので少々キツイこともありますが、経験、知識、コミュニケーション力、交渉力など、さまざまな面で自分を成長させることができます。

WVJで働きたいと考えている方へ

WVJはキリスト教精神に基づいた団体です。私は、それは「人を、一人ひとり価値あるものとして大切にする」というところに最も表れていると思っています。世界の子どもたちもスタッフも同じです。

子どもたちのより豊かな明日のために、社会の課題をひき起こすroot causeは何かを探り、仲間とともに成長しながら、正解はないけれど手応えが感じられる仕事をしてみたい、と思う方、ぜひ、WVJのドアをノックしてください。

WVJ事務局長木内 真理子のブログはこちらリンク 

関連リンク:「N女」の謎に迫る。高学歴をもってなぜ、NPO業界の道へリンク

常務執行役員(前事務局長) 片山 信彦 

世界を変える、日本の市民社会を変える。ワールド・ビジョンの役割

NGOで働くということは、世界・社会に対する貢献の一つの形です。

開発途上国で市民レベルでの活動を提供するというNGOの働きは、国際協力の中でも大きな役割を担っています。日本においては、従来公的機関や企業が担ってきた役割が、それだけではまかないきれなくなってきています。
市民一人ひとりが声をあげ、その声を集め社会を良いものに変えていく、そのプロセスの中においてNGOの役割はますます重要になっていくでしょう。

ワールド・ビジョン(WV)は民間のNGOとして、世界の課題、地域の課題を解決するために活動しています。

WVで働くうえで求められる4つの能力

1. 課題解決力
何が課題か、それをどう解決するか、また解決のため実際に行動できる力

2. 思考能力
課題解決のため、必要なことを自分で考え、計画し、行動するための力

3. 自己管理能力
自ら成長を求め、学び続けるとともに心身の健康を管理できる力

4. 関係構築能力
ほかの人と協力して働くために、他を巻き込み、そのために自分から必要な情報を発信する。
そして相手の言うことを理解し、また自分のことを理解してもらうために働きかけ、協力関係を築くコミュニケーション力



一人ひとりが価値ある存在

WVはキリスト教精神に基づき活動しているNGOです。途上国に住む人、先進国に住む人、どこにいても等しく一人ひとり同じ価値があり、愛されている存在です。

もの・お金・能力があるから困っている人を助けてあげる、というのではなく、援助する側、援助を受ける側がともに変わっていくために活動する、というのが私たちの根本にあるキリスト教精神です。

私たちの働きは、実際に成果として目にすることができます。途上国の子ども、家族、そしてコミュニティが変わっていくところを見ることができる。それを目の当たりにすることで、自分自身も豊かになるという経験ができる仕事だと思っています。

私たちの理念をよく理解したうえで実践し、貢献したいという思いを思ってくださる方が働きに加わってくれることを願っています。


WVJ常務執行役員片山 信彦のブログはこちらリンク 採用情報に戻るリンク