【ウクライナ危機】戦禍を逃れた17歳の少年　－教育の機会を奪われる子どもたち

(2022.04.01)

お父さんと離ればなれになることは、お父さんの代わりに弟たちのリーダーにならなければならないというプレッシャーを感じている17歳のオレクサンドル君にとって、特に困難なものでした。「お父さんは僕に、家族を守りなさいと言いました。今、僕は大きくなったのですから、弟たちとお母さんを守らなければならないのです。僕にはその責任があるのです」

紛争は家族を引き離しただけでなく、オレクサンドル君の将来の夢を壊してしまいました。家を離れるという決断は、オレクサンドル君の最終試験日のわずか数週間前に決まりました。彼は、獣医になるために大学に行くという、ずっと温めてきた夢を叶えるための最終ステップに立っていました。

「僕は国家試験に合格し、獣医になるためにオデッサの農業大学に入学する予定でした。小さい頃から獣医になりたくて、ずっと獣医になることを夢見て来ました。しかし残念ながら、すべての計画が壊されてしまいました」と彼は言います。

オレクサンドル君たちは、ルーマニアのヤシにある一時避難施設に避難の場所を見つけました。オレクサンドル君は、ソーシャルメディアを使用して、日々爆撃に直面するウクライナに残る友人たちと連絡を取っています。また彼はお父さんに連絡し、いま何が起こっているのか等の近況を聞くことができています。「僕の家はまだ破壊されていません。今朝お父さんと連絡を取りましたが、すべてが無事です。神様に感謝します」 とオレクサンドル君は言います。

ワールド・ビジョンはルーマニアで活動しており、ウクライナの紛争から逃れた人々に食糧と避難所の提供を行うことで、オレクサンドル君やオルガさんのような難民の方々を支援しています。ワールド・ビジョンはまた、ボランティアとも協力して、子どもの保護のためのトレーニングを提供し、光熱費やその他の費用を負担する支援を実施しています。

「このような支援を受けたのは初めてです。今まで、このように他人を助ける人たちに会ったことがありません。彼らは、私たちを家族のように、きょうだいのように接してくれます。このような人が世界にもっと増えて欲しいです」と、オルガさんは言いました。