レバノン爆発緊急支援募金報告

(2021.04.30)


レバノン爆発緊急支援募金へご協力いただき、心より感謝を申し上げます

ナバア地区での食糧配給の様子。最もぜい弱な環境にある家族に向けて支援を届けました
ナバア地区での食糧配給の様子。最もぜい弱な環境にある家族に向けて支援を届けました


いつも世界の子どもたちのために温かいご支援をいただき、ありがとうございます。
2020年8月4日、レバノンの首都ベイルートで発生した大爆発により甚大な被害を受けた人々のために、温かいご支援をいただき心より感謝を申し上げます。ワールド・ビジョン(WV)が発災直後から実施している緊急支援活動の成果をご報告します。



支援の背景:「過去最大級」の大規模爆発で壊滅的な状況に

この大爆発により220人以上が命を落とし、6,000人以上が負傷し、推定30万人が家を破壊されて住む場所を失いました。市内の最も大きい3つの病院を含む、複数の医療施設が広範囲に及ぶ破損のために閉鎖を余儀なくされ、爆風で重症を負った人も、新型コロナの患者等もなかなか治療を受けられない壊滅的な状態に陥りました。また、水道システムも損傷したため、人々が新型コロナの感染から自らを守ることが困難な状況になりました。

レバノンはこの大規模爆発以前から、周辺国での何百万人もの難民の発生、深刻な経済危機と新型コロナの感染拡大と度重なる危機に見舞われており、大規模爆発はすでに厳しい環境に立たされていた人々の生活に追い打ちをかけました。食料危機、失業率の上昇、給与削減等の影響で人々の生活は困窮を極め、推定100万人が貧困ライン以下の生活を強いられています。レバノンの通貨も暴落を続けており、その影響で物価が急騰し、貧困率が急上昇しています。


これまでの緊急支援実績(一部)

WVは大爆発発生の翌日から、戸別訪問をしながら被害状況の確認と支援ニーズの調査を実施し、被災者に温かい食事、フードボックス、衛生キット、消毒キット等の緊急支援物資を提供しました。

その後、家を失った子どもたちや人々が食料や避難所等に確実にアクセスできるよう、また被災した人々のぜい弱性を軽減することを目標として、約16万人(うち半数は子ども)を対象に緊急支援を実施。具体的には、食料を含む物資配布、シェルターの設置(倒壊した家の修復を含む)、水・衛生、子どもの保護・教育、生計支援を進めました。

被災した家族に衛生キットを配布するWVスタッフ
被災した家族に衛生キットを配布するWVスタッフ

新型コロナの感染防止への意識を向上させながら、ナバア地区等では、ぜい弱な立場にある人々を対象にフードボックス等の食糧支援を行い、ブルジュハムード地区等では、新型コロナの感染予防のための衛生用品キットを配給しました。レバノンでは、50パーセントの人々が十分な食料が手に入らないと不安に感じており、食料の確保が大きな課題です。多くの人々が貯蓄を使い果たし、食事の量を減らすことを余儀なくされています。また、30万人が家を失ったことから、緊急の避難所のニーズに対応することが重要な優先事項です。避難所への対応には、水タンクやパイプの整備、損傷した住宅等の修理を含む支援活動が実施されています。さらに、子どもたちのニーズに応えるため、レバノンの教育施設の修理・修繕作業も実施しています。

被災した家族に戸別訪問しフードボックスを届ける(アーシュラフィーフ地区)
被災した家族に戸別訪問しフードボックスを届ける(アーシュラフィーフ地区)

子どもへの心理的サポートを実施

レバノンの大規模爆発は、何千人もの人々に多大な心理的苦痛を引き起こし、特に女性、子ども、高齢者等、社会的に弱い立場に置かれた人々が最も影響を受けました。調査によると、子どもたちが心的外傷(トラウマ)、不安、眠ることが出来ない等、メンタルヘルスの問題を最大16カ月間は経験するであろうことが懸念されており、心理的サポートが必要であることが示されました。また子どもだけでなく、大人もショック、ストレス、その他の精神障害のための心のケアを必要としていることが報告されました。対処しなければ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安障害、うつ病、依存症など長期的なメンタルヘルスのリスクにつながる可能性が懸念されています。

このような状況をうけ、WVは子どもたちや家族が爆発のトラウマ、新型コロナのストレスを乗り越えるための心理社会的支援、子どもの保護支援を実施しました。今後もレバノン爆発の被災者に対する支援活動を2021年9月30日まで実施する予定です。また、新型コロナに対する支援活動の一環として、難民のコミュニティにおける、感染拡大防止のための支援活動等も進めていきます。

子どもたちの心のケアのための支援セッション。風船を使ったゲームを楽しむ子どもたち
子どもたちの心のケアのための支援セッション。風船を使ったゲームを楽しむ子どもたち

支援地からの声

支援の一環として、子どもたちの心のケア(セッション)を実施しました。爆発の後すぐは、電話で実施していましたが、WVのスタッフが子どものいる家庭に週に1-2回出向き実施しました。心のケアを受けたモハマド君(9歳)の母親、ザイナブさんは言います。「セッションを通じて自らのケアを大切にすることの重要性を学びました。子どもたちと遊んだり、エクササイズをしたり、音楽を聴いたりするように助言をもらい助かりました」モハマド君も、「ワールド・ビジョンのスタッフが爆発のことを恐れないよう、安心するように言ってくれました。セッションでは、一緒にゲームをしたり、絵を描いたり、音楽を聴いたりします。このセッションをとても楽しみにしています」と語ります。

ワールド・ビジョンの食料支援と心理社会的支援のセッションを受ける、ザイナブさんと息子のモハマド君(9歳)
ワールド・ビジョンの食料支援と心理社会的支援のセッションを受ける、ザイナブさんと息子のモハマド君(9歳)

ワールド・ビジョンはこれからも、最も弱い立場に置かれた子どもたちに支援を届けてまいります。

温かいご支援に、心より感謝申し上げます。



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