過去数十年で最悪の干ばつに襲われる東アフリカ 子どもを含む約800万人が深刻な飢餓の危機に直面

(2022.04.06)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、東アフリカで飢えに苦しむ数百万人の子どもたちが、必要な食料支援を早急に受けられなければ、長期的な健康被害に直面するか命を落とすことになると警告します。

紛争、新型コロナウイルス感染症、気候変動等の複合的な要因により、東アフリカ7カ国で、ぜい弱な環境にある子どもを含む約800万人が深刻な飢餓の危機に陥っています。これらに加えて、ウクライナ危機による小麦不足と価格高騰によって、状況はさらに悪化しています。

ワールド・ビジョンが東アフリカで多国間にまたがる飢餓への支援活動を開始して1年が経過しましたが、事態は悪化の一途をたどっています。危機が迫っているという早期警告は十分には聞かれず、現在、地域全体で2,800万人近くの人々が様々なレベルの食料不安のために人道支援を必要としています。50万人以上が壊滅的な飢きんのような状況で生活しており、深刻な急性栄養不良、飢餓、極度の貧困、餓死が確認されています。約740万人は、その一歩手前の状態にあります。そして重大な懸念として、550万人の子どもたちが深刻な栄養不良に陥っています。

ワールド・ビジョンの総裁/最高責任者、アンドリュー・モーリーは、東アフリカ地域の干ばつの影響は、子どもたちとその家族にとって壊滅的なものであるとの見解を示し、次のように述べます。

深刻な栄養不良と診断された11カ月の赤ちゃん(南スーダン)
「私は、夜中に生後6カ月の娘の脈をとり、生きていることを確認しなくてはならないお母さん、メアリーさんに会いました。家畜は死んでいき、親は学費を払えなくなり子どもたちを退学させています。ケニアのマルサビットという地域で会った16歳の学生、ハンナさん(仮名)は、家計が苦しいため結婚を強要されるのではないかと心配していました。生活の糧である家畜の命を守るため、わずかな食料を家畜に与えているという親御さんにも会いました」

アンドリューは続けます。
「ワールド・ビジョンのスタッフたちは、水や食料の支援をはじめ現金給付等も行い、現地に希望をもたらしています。しかし、干ばつは深刻さを増し、国際的な支援活動は大幅な資金不足に見舞われています。子どもたちが未来を奪われることなく、神様から与えられた可能性を人生で発揮できるよう、私たちは早急に行動しなければなりません」

紛争は、依然として世界最大の飢餓の要因です。東アフリカのすべての国は、自国で紛争を抱えているか、紛争国の隣に位置しているかのどちらかです。この地域はまた、40年間で最悪の干ばつを経験しています。頻発する干ばつや鉄砲水は、その都度、作物や家畜の死に対処しなければならない家族の力を弱体化させています。この地域での紛争、新型コロナウイルス感染症の経済的影響、作物を食べつくすイナゴの侵入、ウクライナでの紛争の余波による小麦と食料価格への影響が、飢餓を、かつて経験したことがないほど危機的なレベルにまで押し上げています。これらの要因はすべて、子どもたちが栄養のある食べ物を手に入れることに深刻な影響をおよぼし、子どもたちの命を危険にさらしているのです。

また、貧困が一層深刻になる中で、子どもたちが危害を加えられたり虐待されたりするリスクが非常に高くなっています。十分な栄養を摂取できていない幼い子どもたちは、発育に悪影響がおよぶ可能性も高まります。空腹の子どもたちは効率的に勉強することができず、学校を退学し、働かざるを得なくなります。しばしば、ジェンダーにもとづく暴力に直面したり、現金や食べ物のために性的虐待を受けたり、早婚を強要されたりもしています。

ワールド・ビジョンは、子どもたちの命を救うため、健康、栄養、水衛生、社会的保護等の介入を行うための資金を増やすよう呼びかけています。
「人道的資金に対する世界的な要求がかつてないほど高まっている中で、東アフリカ危機に対する国際社会の注目は、相対的に弱まっています。ソマリアは、必要な15億ドルの資金のうち4%しか得ることができていません。もう時間がありません。もし今行動をおこさなければ、数百万人もの子どもたちが犠牲になり、数十万人が命を落とす可能性があります」と、ワールド・ビジョンの東アフリカ地域リーダー、リリアン・ドッゾは言います。

「私たちは、国内外の機関や支援者に、資金の増額を訴えます。私たちは、子どもたちや人々の命を救い、気候変動の影響等に対応するために活動することができます」

ワールド・ビジョンの東アフリカ地域における飢餓の緊急支援は、エチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダを対象にしています。340万人の子どもを含む約710万人に支援を届けることを目指しており、この支援を拡大するためにさらに7,700万ドルを必要としています。
飢餓の危機を警告しているのは、この地域だけではありません。世界では、4,500万人以上が飢餓の危機にさらされるか、飢餓または飢餓に似た状態に陥りやすい状況にあるのです。


ワールド・ビジョンとは

キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。
東アフリカ地域においては、40年以上にわたり、ブルンジ、エチオピア、ケニア、ルワンダ、ソマリア、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダの9カ国でコミュニティと協力して活動してきました。

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