600万人以上の難民が1年以内に食料配給の削減に直面する可能性
―国際NGOワールド・ビジョンが警告―

(2021.12.10)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、12月9日から開催されている国連グローバル人道政策フォーラムに際して、飢えに苦しみながら絶望的な状態に置かれる600万人以上の難民と避難民は、即時の支援金増加がなければ、深刻な食料配給の削減に直面することになると厳しく警告します。
  • 多くの成人難民は、4歳児の1日に必要な摂取カロリーよりも低いカロリーの食料配給しか受けられていません。
  • ワールド・ビジョンが支援した659,000人の避難民は、2020年10月から2021年6月の間、食料配給を削減されていました。
国連の食糧支援機関、世界食糧計画(WFP)の最大のNGOパートナーであるワールド・ビジョンは、今般、5カ国(コンゴ民主共和国、ソマリア、南スーダン、タンザニア、ウガンダ)における受益者のレビューを行い、2020年10月から2021年6月の期間において、659,000人の受益者が、平均して36.34%の配給カットを経験したことを明らかにしました。これらの数値に基づいて、ワールド・ビジョンは、強制的に避難を余儀なくされた人びとを支援対象とするワールド・ビジョンの人道的食料安全保障プログラム全体で、さらに6,345,620人が今後1年以内に同様の食料配給削減に直面する可能性があると予測しています。

「新型コロナウイルス感染症の影響により、昨今、各国政府は、世界で最も貧しく、飢えに苦しむ人びとに対する食料援助への拠出金を削減しました。しかしそれと同時に、支援へのニーズは急激に高まっています。現在、4,500万人が飢きんの危機に瀕しており、この数は、今年の初めの4,200万人、2019年の2,700万人から増加しています。食料配布の削減によって、私たちは今、飢えに苦しむ人びとに食料を届けるために、お腹を空かせた人びとへの配布分から食料を融通して支援を行うことを強いられています。再び世界で最もぜい弱な立場にある人びとが、地球規模の危機の矢面に立たされています。紛争や気候変動のために頻繁に住まいを追われた家族は、今や生き残るために食料援助に依存しています。そして、その非常に基本的な食料援助は削減され、国際社会が以前の食料援助に対する約束を果たさない限り、支援の削減が続くことでしょう」と、ワールド・ビジョン・インターナショナルのグローバル人道支援ディレクター、ジャスティン・バイワースは述べます。

「昨日から何も食べていません」と話す女の子(7歳)。ウガンダの難民居住地で家族と暮らしていますが、食料を得られない日が多いといいます
「昨日から何も食べていません」と話す女の子(7歳)。ウガンダの難民居住地で家族と暮らしていますが、食料を得られない日が多いといいます
2021年6月、G7の首脳は「飢きん防止および人道危機に関するG7コンパクト」を承認し、最も危険にさらされている国で極めて緊急なニーズを満たすために85億米ドルを拠出することを約束しました。残念ながら、これらのコミットメントは、必死に支援を必要とし苦しむ人びとに届くよう実現されるには時間がかかっています。これは、WFPが、限られた資源を精一杯行き渡らすために、ある立場の弱い人びとのグループから別のぜい弱なグループ等に食料援助を向け直すなど、困難な決断を迫られていることを意味します。

「新型コロナウイルス感染症の影響は、健康への影響よりも私たちの世界そのものに大きな被害を与える可能性があります。パンデミックですべての人が甚大な被害を受けていますが、難民を含む世界で最も厳しい暮らしを強いられている人びとにとって、その影響は破壊的で、失業と収入の減少につながってしまいました。これは、新型コロナの影響が紛争や気候変動の影響と相まって、パーフェクトストーム(複数の危機が同時に起こり、破壊的な事態に至る状態)を生み出し、何世代にもわたる最悪の飢餓の危機をもたらす可能性を示唆しています。そして、難民を含む最もぜい弱な人びとが最大の危険にさらされています」と、バイワースは続けました。

「現在私たちは、数百万人もの子どもたちが飢餓に苦しんでいるアフガニスタンのような国々で、飢えの壊滅的な影響を目の当たりにしています。多くの人びとがやむを得ず自らの住まいを離れているのですが、彼らが避難を求めて行く先々において飢餓に直面する危険性があります。 世界にはすべての人が食べるのに十分な食べ物があります。最も弱い立場にある人びとを、深刻な飢餓やそれに関係する死から守るための支援金が拠出されない場合、私たちは計り知れない道徳的責任を負うことになります。さらなる600万人の絶望的な状況に置かれた人びとへの食料配給削減を許すことはできません。私たちは、国際社会に対し、この最も基本的な権利を優先し、維持することを求めます」

ワールド・ビジョンとは

キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。詳細はこちら

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広報担当:市山志保 【電話】03-5334-5356 【Email】shiho_ichiyama@worldvision.or.jp