気候変動は何百万人もの人々を命の危機に追い込む可能性があります
~アースデイに国際NGOワールド・ビジョンが警告~

(2021.04.22)


世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、4月22日のアースデイに際して、世界の指導者たちに気候変動の危機に対応するよう呼びかけます。気候関連の災害は、何十年にもわたって実施してきた開発援助の進歩を消し去る可能性があります。2019年には、2,390万人が気候変動に起因する災害によって家を追われ、その数は、2050年までに1億4,000万人に達すると推定されています。さらに、2030年までに1億人が気候変動により極度の貧困に陥る可能性があります。
アースデイ2021


ワールド・ビジョン総裁/最高責任者のアンドリュー・モーリーは、こう述べます。「何百万人もの弱い立場にある子どもたちが気候変動によって家を追われ続けている現状に、胸が張り裂ける思いです。この危機の影響は、破壊的で無数の命を脅かしているばかりか、子どもたちが神から与えられている可能性を奪っています」

ワールド・ビジョンは、最も脆弱な人々に不釣り合いな影響を与えているこの世界的危機に際して、国際社会の反応が遅いことを危惧しています。各国政府や企業に対し、国連、パリ協定、仙台防災枠組が定めた国際的な約束の完全なる履行を後押しするよう訴えます。具体的には、地球規模の排出削減、減少した森林の回復、気候変動とそれに関連する災害からのコミュニティの回復力構築などです。

「気候変動、生態系の破壊、土地の劣化と汚染は、私たちを深刻な危険にさらしています」と語るのは、ワールド・ビジョンで気候変動対策のアドバイザーを務めるFMNR*の専門家、トニー・リナウドです。リナウドは、革新的でコスト効率に優れたFMNRの手法を26カ国以上で実施し、西アフリカだけで1,500万ヘクタール以上の農地を回復した実績があります。その結果、1ヘクタールあたり年間1~2トンの二酸化炭素排出を抑制しています。

「アースデイは、私たちに立ち止まって新たなスタートをきる機会を与えてくれます。私たちは失ったものを回復し、不毛な土地を再生し、干ばつに強い作物を育て、環境技術を活用することができます。研究によると、ニジェールでは、資源の利用可能性が改善されたため、紛争が70%減少しました。手遅れになる前に行動する必要があります。私たちが進めるFMNRは、2012年当時はほとんど知られていませんでしたが、今や多くの専門家に支持されており、関係者間では土地再生における最善の方法と言われています」

ワールド・ビジョンの活動では、コミュニティの力を強化するため、子どもたちの参画も重要視しています(写真:ソマリア)
ワールド・ビジョンの活動では、コミュニティの力を強化するため、子どもたちの参画も重要視しています(写真:ソマリア)


ワールド・ビジョンは、何百万人もの人々が命を脅かされる貧困状態に陥るのを食い止めるため、軽減、適応、そしてレジリエンス(回復力)構築に向けた世界規模の投資が直ちに必要であると警告します。ワールド・ビジョンは「UN Decade on Ecosystem Restoration (国連生態系回復の10年)」の実施パートナーに認定されており、今後も、気候変動の影響を受ける人々を支援し、FMNRを通じて気候変動の影響を逆手にとる取り組みを強化していきます。この革新的な森林再生イニシアチブを、世界100カ国で展開することを目標にしています。

「自然破壊から最も縁遠い人々が、最も高い代償を払っています。これは、国際社会の嘆かわしい失敗です。今こそ私たちは、排出量と森林破壊を削減するために行動し、コミュニティと力を合わせて気候変動の衝撃に対する回復力を高めなければなりません」とモーリーは訴えました。



* Farmer Managed Natural Regeneration (FMNR)とは

農家の手で管理される自然再生の方法。低コストで始められ、また貧困や飢餓に苦しむ農家自身が行うことでレジリエンス(回復力)を高められるとされる。伐採された木の切り株から芽を育てるなどして森を育み管理することで土壌の回復や生物多様性を促進し、農家は作物を収穫・販売できるようになる仕組み。詳しくはこちら(英語)外部リンク

丘が緑化されたことで洪水が減り、果物の収穫量が3倍になったと語る男性(写真:ケニア)
丘が緑化されたことで洪水が減り、果物の収穫量が3倍になったと語る男性(写真:ケニア)

ワールド・ビジョン・ジャパンとは

キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。※詳細はこちら  

本件に関する報道関係者からのお問合せ先

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
広報担当:市山志保 【電話】03-5334-5356 【Email】shiho_ichiyama@worldvision.or.jp


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