カンボジア~地域の保健センターが救う小さな命~

2013.07.30

保健センターによって、安全な出産が可能に

健やかに成長するラリン君
健やかに成長するラリン君

カンボジアのラリン君(9カ月)。
保健センターにある体重計の上でご機嫌です。

ラリン君、チャクリャちゃん(3歳)、カリャンちゃん(5歳)の母、モルさん(24歳)は、ワールド・ビジョンの支援により15年前に建設された自宅から1キロのところにある保健センターで、3人の子どもたちを無事に出産することができました。

妊娠中、モルさんは定期的な健診や、妊産婦の健康管理についてのカウンセリングを受けるため、近くにある保健センターに通うことができました。「重労働を行わず、きちんと休息をとることや、栄養を取ることの重要性を、保健スタッフや村の保健ボランティアさんが、アドバイスしてくれました」と、語るモルさんは、彼女自身の健康を維持できれば、元気な子どもが生まれ、健やかに成長することを確信しました。

予防接種や離乳食指導も、保健センターで

元気なラリン君を抱くモルさん
元気なラリン君を抱くモルさん

「出産後、保健センターに通うと、保健スタッフが、子どもが健やかに育つために、色々なアドバイスをしてくれました。

子どもがきちんと予防接種を受けなければならないこと、半年間は母乳で育てることの大切さも学びました。そして、離乳食についても、適切な食事を与えるよう心がけています」とモルさん。

ラリン君が6カ月になってから、モルさんは、"ボーボー"というカボチャなどの野菜や豚肉、魚、卵が入ったお粥を食べさせています。カリャンちゃんとチャクリャちゃんは、ご飯や野菜、魚を中心とした食事をとっています。

保健スタッフ、ボランティアの力

出産が不安だったと語るクロッチェさん(右)
出産が不安だったと語るクロッチェさん(右)

以前、ラリン君のおばあちゃんのクロッチェさん(55歳)が出産したとき、保健センターは自宅から50キロ離れたところにあり、健診や出産のために保健センターに行くことはできませんでした。

「出産するためにあったものは伝統的な信仰や習慣だけでした。1番心配だったのは、助産師による自宅出産で何かあったとき、どこにも行けないことでした」と、3人の子どもを自宅出産したクロッチェさんは語ります。

クロッチェさんからモルさんへとお母さんの世代が替わる間に、ワールド・ビジョンは、保健センターの建設と医療機器の提供だけではなく、保健スタッフの育成を通じて、地域の妊産婦が保健センターで産前産後ケアを受けられる環境を整えてきました。

また、地域の人々と日ごろから直接関わる村の保健ボランティアに対する研修も行っています。ワールド・ビジョンによるこれらの支援の結果、モルさんのような母親が、保健の知識をつけ、安全な出産や健やかな子どもを育てることができています。

5歳未満で命を落とす子どもたちのうち約4割は、生後1カ月を生き抜けません

保健センターで健康診断を受けるラリン君
保健センターで健康診断を受けるラリン君

世界では年間690万人の子どもが5歳未満で命を落としています。そのうちの約4割は、生後28日以内に亡くなっています。この背景には、早産や分娩に関連した合併症により、命を落とす子どもが多いことがあります。

保健センターや病院などで健診や安全な出産が可能になれば、多くの子どもの命は救われます。この実現のためには、ワールド・ビジョンのようなNGOの支援活動とともに、国連機関や、各国政府の資金拠出を伴う行動が必要です。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、5歳未満で命を落としている子どもたちを救うために「命の木プロジェクト」を実施しています。ぜひご協力をお願いします。

2013年の命の木プロジェクトは終了いたしました。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。