「寄付を通じて社会貢献したい。でも、どの団体に寄付すればよいか分からない」
こういった悩みをお持ちではないですか?寄付は自分のお金を誰かに託す行為です。寄付を通じて自分の思いを社会を変える力にするためには、私たちが信頼できる団体をしっかりと見極める力を身につける必要があります。
この記事では、信頼できる寄付先の選び方について解説します。
まず日本における寄付の現状と、寄付金にまつわる制度について紹介します。
日本は、欧米に比べて寄付文化が根付いていないことがよく指摘されます。しか億し、近年その状況は変わってきています。
2019年(令和元年)に内閣府が行った「市民の社会貢献に関する実態調査」によると、2018年の1年間における寄付経験の有無について、41.3%の人が「寄付をしたことがある」と回答しています。また、同じく2018年に寄付した個人の寄付金額の平均は14,700円でした(注1 p.15,16)。
つまり、日本では約4割が1年に最低1回、年間で1万円以上寄付していると見ることができます。寄付文化が根強い欧米に比べると、人数の割合も金額も小さいですが、それでも思ったより多い人数と金額だったと感じた人が多かったのではないでしょうか。
日本でこのように寄付文化が醸造され始めたきっかけとなったのが、2011年の東日本大震災でした。この未曽有の大災害に対して、2011年の個人寄付は1兆186億円となり、前年の2倍以上の金額に跳ね上がりました(注2)。
このことから、2011年は日本の「寄付元年」と言われています(注3)。
また、2019年12月に中国から始まった「新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)」でも、あらゆる形で多くの寄付が行われました(注4)。
寄付する人が増えた要因の一つには、制度の改正も影響していると考えられます。
2011年6月に施行された税制の改正により、個人が認定NPO法人等に寄付した場合、所得税の控除について「税額控除」と「所得控除」から有利な方を選択できるようになりました。「税額控除」を選択することにより、多くの個人の寄付者が、より大きな金額の所得税の還付が受けられることとなります。
「税額控除」(寄付金特別控除)
「(寄付金合計額-2,000円)×40%」が税額から控除できます。
ただし、年間所得の40%の寄付が控除の限度です。所得税額の25%を限度として控除が認められます。
「所得控除」(寄付金控除)
「寄付金合計額-2,000円」が所得から控除できます。
ただし、年間所得の40%が限度です。
さらに、お住まいの地方自治体によって、住民税も控除の対象になる場合があります。以下に税額控除方式で寄付金から控除される金額の例を示します。
●年間1万円寄付した場合
所得税控除による還付額:(1万円ー2,000円)×0.4=3,200円
住民税控除による還付額:(1万円ー2,000円)×0.1=800円
還付額合計=3,200円+800円=4,000円
この例の場合は、寄付額のおよそ半額が還付されることになります。(還付額は申告者の所得やその他の控除申請の有無などによって異なります)
ただし、この控除を受けられる寄付先は、認定NPO法人、公益社団法人、公益財団法人など、特定の条件を満たす法人に限定されるので注意が必要です。また、控除額には上限があり、住民税の控除割合についても各自治体によって異なるため、詳しくは所轄税務署や国税庁のホームページ等にてご確認ください(注5)。
実際に信頼できる寄付先を選ぶための3つの条件を紹介します。もしあなたが寄付をする団体を選ぶのに迷っている場合、以下の3つの条件に当てはめて団体を選んでみてください。
信頼できる寄付先を選ぶ条件の1つ目が、寄付の使途です。ここでは、寄付の使途の「内容」と「透明性」に注目してみましょう。
まず、寄付の使途の内容についてです。ここでは、あなたがどのような社会問題に関心があるか、または解決したいと思っているかを明確にすることが重要です。例えば、「途上国の子どもの貧困」という社会問題に関心がある場合、それに関する活動を行っている団体を探しましょう。
近年、SDGsを意識した取り組みが個人・企業ともに浸透しつつあります。SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」で、世界が抱えるさまざまな問題(貧困・飢餓・気候変動など)の解決を目指し、17のゴールと169のターゲットで構成されたものです。明確に使途が見つからない場合は、SDGsの内容を意識して検討するのもよいかもしれません(注6)。
次に、寄付の使途の透明性については、寄付で集めたお金が具体的に何に使われているかが明記されているかに注目しましょう。これを確認する方法は3つあります。
1. 団体HP内の寄付のページに明記されているか確認する
2. 活動報告書などを確認する
3. 直接問い合わせる
1に関しては、多くの団体がHP内に寄付ページを設けています。そのページを見て使途をはっきり明記しているかどうかを確認しましょう。
2の活動報告書は、年次報告書や寄付使途報告書などと呼ばれることもありますが、これも多くの団体が最低でも1年に1回はHP内等で公表しているはずです。
3の直接問い合わせるは、直接メールなどで問い合わせるほか、活動報告会や街頭募金などを行っている場合にスタッフに確認してみるのもよいかもしれません。
ただし、ここで知っておいて欲しいことは、「寄付金の使途には人件費も含まれる場合がある」ということです。よくNPOのスタッフは社会貢献のためにボランティアで活動していると思い込んでいて、寄付金の使途に人件費が含まれていることに疑問を投げかける方がいらっしゃいます。
しかし、社会のために活動することも労働であり、その対価として報酬を与えることは当たり前のことです。多くの団体でそのように運営しており、むしろそうでなければ持続的な活動はできません。もちろん、対価には到底見合わない高額な報酬を得ることはいけませんが、寄付金の使途を調べる際はぜひその点も心に留めておいてください。
2つ目の条件が団体のこれまでの実績です。実績については、HP内の活動内容や沿革を確認することである程度推測することができます。
しかし、そのような時間がないという場合は、最も簡単に見分ける方法が「認定NPO法人」または「公益社団法人」かどうかを確認することです。
NPO法人という法人格を取得するだけでも、事業報告や財産目録などの報告書を定期的に提出することが義務付けられています。「認定NPO法人」となると、条件はさらに厳しくなります。
まず、NPO法人が「認定NPO法人」になるためには、様々な認定基準を満たす必要がありますが、その一つにパブリック・サポート・テスト(PST)に適合することがあります。
PSTとは、広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するための基準であり、中でも以下の2年間の判定期間の間で2つの条件のいずれかを満たし続けることが求められます(注7)。
どちらの基準も多くの人から継続的に寄付金を受け取っていることを証明する基準となります。
そして、認定を受けた後もこれらの条件を満たさなければ改善命令が出され、それに従わなければはく奪・解散させられてしまうという厳しい制度です。公益社団法人や公益財団法人も条件はやや異なりますが、同等の厳しい条件のもと認可されるものです。
したがって、あなたが寄付しようとしている団体が、認定NPO法人という法人格を取得していれば、社会的に信用されていてかつ実績のある団体と考えてよいでしょう。
3つ目の条件が、団体の発信力です。
従来の手紙や郵便物に加え、昨今はHPやSNS、メルマガなど、様々なメディア媒体を通じて活動報告を発信している団体が増えています。なぜなら、団体の情報発信の種類や頻度は、その団体の透明性と評価されるようになってきているからです。
実際にあなたが寄付した後のことを想像してみてください。寄付したお金がどのように使われているかというのは、実際のところ現地に行って確認したりすることもできないため、分かりません。
しかし、上記のようなメディア媒体を通じて、どのような活動が行われたか、寄付したお金がどのように使われたかを知ることで、寄付をしてよかったと心から実感することができます。
あまり情報発信に力を入れていない団体はホームページのクオリティや更新頻度ですぐに分かります。ぜひその団体が扱っているメディア媒体の種類や数、それらの更新頻度をチェックしてみてください。
ワールド・ビジョンは1950 年に設立され、70年以上もの間、世界の子どもたちを支援する活動を続けている団体です。
2019年までにワールド・ビジョンの支援を通して生活が変わった子どもの数は2億人以上にものぼります。(「ワールド・ビジョンが世界最大級NGOのわけ」より)
アメリカ人宣教師で創設者であるボブ・ピアスの「すべての人々に" 何もかも" はできなくとも、だれかに"何か"はきっとできる」という思いは、世界中の人々の共感を呼び、世界最大級の国際NGOへと成長しました。
ワールド・ビジョンは、子どもたちの「健やかな成長(Child Well-being)」のために、チャイルド・スポンサーシップによる地域開発プログラムを核として、水衛生、教育、保健、栄養、生計向上の分野で開発援助事業を実施しています。
これらの活動を行う上でワールド・ビジョンは以下のことを大切にしています。
ワールド・ビジョンの日本支部であるワールド・ビジョン・ジャパンは、2002年5月に国税庁より「認定NPO法人」として認定され、その後のNPO法の改正を受け、2014年8月に東京都により改めて認定されています。
ワールド・ビジョンは、これまで寄付金を通じて、多くの国・地域に支援してきました。
以下その実績(2022年9月末の時点)の一部です。
ワールド・ビジョンでは、2021年10月までに7,200万人以上の人々に新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)関連の支援も行ってきました。
ワールド・ビジョンについてもっと知りたい方は、公式HP、Facebook、Instagram、twitter、LINE、ブログ等、様々なメディアにおいて最新情報を発信していますので、ぜひご覧ください。(各メディアには、公式HP上部のアイコンからアクセスできます)
子どもと支援者の絆を大切にした地域開発支援として発展してきたワールド・ビジョンを代表する取り組みの一つです。
例えば、子どもたちの家族がより安定して収入を得られるように、畜産・農業支援、職業訓練、貯蓄グループ・生産者グループの活動支援に使われたり、安全に水が使えるように井戸や貯水タンクが設置されるほか、トイレの整備などにも寄付は使われます。
ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーに参加するには、専用ページから申し込みができます。支援内容についての詳細や個人情報等を入力していただくだけで、簡単に申し込むことができます。
また、ワールド・ビジョンでは、世界のさまざまな問題やそれに対する取り組みをまとめた資料をお配りしています。皆さま一人ひとりが世界の問題や現状を「知るため」のきっかけとして、ご活用いただけます。詳しくは、「伝える・広める」をご覧ください。
ワールド・ビジョンでは皆さまのご支援・ご協力をお待ちしています。
そんな私たちの活動を支えるのは、
「チャイルド・スポンサーシップ」というプログラムです。
チャイルド・スポンサーシップは、
月々4,500円、1日あたり150円の皆さまからの継続支援です。
貧困、紛争、災害。世界の問題に苦しむ子どもとともに歩み、
子どもたちの未来を取り戻す活動に、
あなたも参加しませんか。
今あなたにできること、
一日あたり150円で子どもたちに希望を。
注1 内閣府:「令和元年度 市民の社会貢献に関する実態調査 報告書」
注2 日本ファンドレイジング協会:「寄付白書2021」
注3 日本ファンドレイジング協会:「東日本大震災から10年、日本の寄付の現在地」
注4 内閣府NPOホームページ:「新型コロナウイルス感染拡大への対応を支える各種団体の寄附・基金情報」
注5 国税庁:ホームページ
注6 外務省:「持続可能な開発目標(SDGs)達成に 向けて日本が果たす役割」
注7 内閣府NPOホームページ:「パブリック・サポート・テスト(PST)に関する基準」