世界中の子どもたちが、愛情をもって名前を呼んでもらえるその日まで

投稿日|2019年11月13日
執筆者:德永 美能里
  • 事務局
  • #ケニア

赤道直下のケニア。空は抜けるように青く、照りつける太陽がじりじりと肌を焦がす。
企業様との連携により新たに始める事業の記念式典が、賑々しく開催されようとするその朝、会場となった小学校の校庭には多くの児童・生徒が集まっていた。

“What is your name?”(お名前は?)
小学校低学年のくらいの子どもたちが、口々に聞いてくれる。学校で習ったのだろうな。

私:「ミノリ」
子どもたち:“MINORI?”
私:「ミノリ! そうそう」
子どもたち:“MINORI SO SO?!”
さざ波のように広がる、「あのヒト”MINORI SOSO”だって」情報。
※ 英語の “so so” は、「そこそこ」という意味

「そこそこなミノリさん」でも、その響きはとってもあたたかくて、私も子どもたちと一緒に笑いがとまらなかった。

ケニアの子どもたちと筆者

名前を呼ぶ時、名前を呼ばれる時。そこには関係性が現れる。
愛情をこめて呼ばれた自分の名前が、まるで宝石のように輝きを放っているかのように感じられた経験は、皆さまにもおありではないでしょうか。(「もう何年もないわー」なんて、仰らないでくださいね、笑)
名前をどう扱っているかが、「呼ぶ人」にとっての「呼ばれる人」の価値を象徴的に表している、とも言えるかもしれません。

* * *

あらためまして、皆さま、こんにちは。
マーケティング第1部の法人・特別ドナー課の谷村美能里(たにむらみのり)と申します。
私の所属課では、企業連携、そして、多くの子どもたちをご支援くださっているチャイルド・スポンサーの皆さま、特別プロジェクトや人生のマイルストーンに大きな寄付を託してくださる皆さま、また、チャイルド・スポンサーの皆さまのツアー個人訪問を担当させていただいています。

安心して名前を呼べるように

さて、「名前」に話を戻しましょう。
大切な存在の名前は、その存在と等しく大切な愛しいもの。
実は、私は友人のお子さんのお名前を、そのお子さんの目の前で間違えてしまい、友人の表情を凍らせてしまったことがあります。その苦い経験から、お子さんをお持ちの友人と会う前には、お子さんの名前と年齢を、確認するようにしています。
そして、それと同じことを、チャイルド・スポンサーの皆さまにお会いする前にも、心がけるようになりました。

以前は
「いつもケニアのチャイルドをご支援くださり有難うございます」
カンボジアのチャイルドの成長報告がお手元に届いた頃かと存じます。如何でしたか?」
このように、お話をさせていただいていました。

しかし、多くのチャイルド・スポンサーの皆さまが、ご自分の支援チャイルドを、お名前で呼び、お話をしてくださるのです。

「●●ちゃんの夢がまた変わったみたいなのよ」
「ボクのチャイルドの●●くん、最近すっかり少年からオトコの顔つきになってさ」
「サイクロンの被害があったようですが、●●ちゃんとご家族は無事ですか?」

チャイルドを複数ご支援くださっている方の中にも、そのように、一人ひとりのチャイルドを愛と慈しみをこめて話してくださるご支援者の方は実に多くいらっしゃいます。親が、子どもが何人いても、我が子の名前を間違わないように。

私には娘がいます。娘の名前は、生まれたばかりの娘を腕に初めてそっと口にした13年前も、少し難しい時期に入った今も、そしてきっとこれからも、私とっては世界で最も甘美なフレーズです。
苦しい時にも、自分の愚かさに絶望しそうな時にも、娘の名を口にすると、力がわいてきます。

これまでに仕事で、私用で、幾つかの国を訪れ、その土地土地のご家族に出会ってきました。
子どもという存在の価値、親子の関係というのは、社会・文化によって様々ですが、洋の東西を問わず、親にとって「大切な」存在でありましょう。

しかし、世界に目を転じると、戸籍や法律など子どもの存在と権利を保障する制度が未整備だったりぜい弱であったりする国や地域も多く残っています。さらには、国が、社会が、生活環境が、家族の関係が、慈しみをもって子どもの名前を呼べる状況となっていない現実にあふれています。平和でなくて、偏見と差別にさらされて、貧困と欠乏の中で、繰り返される災害にぜい弱で、暴力と不和の中で、親やまわりに大人たちが、豊かな愛情をもって安心のうちに、子どもの名前を呼べるでしょうか。

親が子を安心して慈しみ、安心してその名前を呼べること。
そのような世界が広がってほしいと、私は今日も、我が子と私の支援チャイルドの名をそっと口にしながら、そして、これまで出会ったチャイルドやお母さんたちのお顔を思い浮かべて、できる最善を尽くしたいと願っています。

「今日はうちに泊まっていきなさい」と、コミュニティのお母さんから強めのお誘い

「僕は、●●さんのチャイルドなんだ」

時を巻き戻して、ケニアでのMINORI SO SO”から数時間後。
支援地域内で、名前を口にしながら、一人の少年が笑顔で近づいてくる。
いつものように自分の名前を教えてくれたのかな、と、オウム返しでその名前を口にしてから、それが日本人の名前であることに気づく。そばにいる現地スタッフが「彼のチャイルド・スポンサーの名前だよ」と。訪問してくださったスポンサーの方のお名前をチャイルドはしっかり覚えていて、スポンサーに僕と会ったと伝えてほしい、と、私に教えてくれたのだ。

「僕は、●●さんのチャイルドなんだ」と、とても誇らしそうな表情で。

チャイルド・スポンサーの皆さまが、チャイルドの名前を、慈愛をもって呼んでくださるように、チャイルドやチャイルドの家族が、チャイルド・スポンサーの方のお名前を、敬愛と感謝をこめて呼んでいる。
相互に大切に呼び交わされている名前を耳にさせていただけるのは、関係性をつなぐ支援活動にたずさわる者として、かけがえのない経験でした。

雄大な太陽がどこまでも続く地平線に傾くころ、事業地を後にしました。
何人かの子どもが、“MINORI SO SO~!”と手を振って追いかけて来てくれました。
自分なんて本当に So Soで、そこそこ。でも、有難いなあと目がうるみました。勇気をもらいました。

世界のすべての子どもたちが、愛情をもって名前を呼んでもらえるようになるその日まで“そこそこなミノリさん”というお気に入りの隠れニックネームを胸に秘めて、進んでまいりたいと思います。

マーケティング第1部 法人・特別ドナー課
谷村 美能里

11月1日、WVJ内部の決起イベントで有志スタッフがHakaで気合を入れました!
「子どもたちに支援を届けたい!」との想いを込め、センターでHakaをリードしたのが本ブログの著者、谷村です。「スタッフの本気」をお伝えしたいとFacebookで紹介したこの動画は、16,000回以上閲覧されています。 

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ケニア駐在員のマジでピーな話

ケニア駐在員の遠藤スタッフによるブログです。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は2023年から外務省日本NGO連携無償資金協力の助成や皆さまからの寄付を受け、2026年8月までの予定でケニア西部ビクトリア湖沿いのホマベイ郡で水・衛生改善事業を行っています。詳細はこちらから。

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​ケニアは東アフリカの国で、首都はナイロビです。​主に農業が盛んですが、農村部では食料確保、水衛生、教育面で課題があります。​

この記事を書いた人
マーケティング第1部 コミュニケーション課 課長 德永 美能里
マーケティング第1部 コミュニケーション課 課長 德永 美能里
大学卒業後、民間財団法人にて関連の米国法人の設立、日・米での助成金事業ならびにフィランソロピーにかかる調査等の自主事業に従事。2002年ワールド・ビジョン・ジャパンに入団、新規支援者募集、アドボカシー(政策提言)を担当。海外在住を経て2014年にWVJに再入団、企業連携および個人大口支援者担当を経て、2021年5月より現職。「まずは知っていただく」ことから世界の子どもたちへの関心・支援の輪が広がることを願い、チームとともに、広報・グローバル教育活動に従事している。