「般若、井戸を掘る」~カンボジア水支援の現場で井戸がくみあげたもの

投稿日|2026年5月25日
執筆者:德永 美能里
  • アジア
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  • #カンボジア
  • #チャイルド・スポンサーシップ
小学校の子どもたち、般若さん(後列左)とSHINGO★西成さん(右)。井戸と給水塔の前で押したての手形アートとともに

「この目でちゃんと確かめて学びに来たかった。だから来ました。」
カメラを前に、般若さんが最初に発した言葉は、こうでした。
満席の武道館を熱狂させる方が、カンボジアの小さな村の一家を前に、居住まいを正すように、ゆっくりと。
その真剣な眼差しを通訳者として傍らから見つめながら、噛みしめるようにゆっくりと訳したことを覚えています。

書籍「般若、井戸を掘る」


日本を代表するラッパーで、ワールド・ビジョン・ジャパンのチャイルド・スポンサーでもある般若さんの、カンボジアの給水アクセス改善事業への現場に、視察と撮影に同行させていただき、間もなく1年が経とうとしています。
この間、ご訪問の様子はABEMA HIPHOPチャンネルでドキュメンタリー番組「ラッパー、井戸を掘る。」として2025年12月末に放映・配信され、そして、このほど、4月24日に般若さんの著書「般若、井戸を掘る」が発売されました。
なぜMCバトルの賞金を子どもたちのために寄付されたのか、なぜワールド・ビジョン・ジャパンだったのか。カンボジアで般若さんは何を見て何を感じ、そして、日本の皆さんに伝えたい思われたのか。般若さんの数年間におよぶ軌跡が、ご自身のまっすぐな言葉で綴られている1冊です。
そのジャーニーでご一緒させていただいた時の中で、ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフから見えた景色を、コラムという形式で寄せさせていただきました。カンボジアのコミュニティの人々、般若さんを中心としたご支援・ご協力くださる皆さま、事業国と日本のワールド・ビジョン。国境を越えて繋がった想いが、井戸となり、そして、くみ上げた希望を見させていただきました。
是非、多くの方にお手にとってお読みいただきたいと願っています。

書籍について詳細はこちら

「般若、井戸を掘る」 出版:流星舎

事業地のワールド・ビジョン・スタッフも驚いた、子どもたちのある行動

忘れられない光景がいくつもあります。
そのいずれにも、子どもたちや、その場で最も汗をかいている人、あるいは、見えないところで働きをしている人々を気遣い、目線を合わせる般若さん、そして、ご一緒に訪問してくださったSHINGO★西成さんの姿がありました。ちゃんと見てくれる、聴いてくれる。そんな安心感がコミュニティの人々の心を開き、笑顔のはじける場面がいくつもありました。事業地のワールド・ビジョンのスタッフが驚くような大胆な行動を、子どもたちが見せてくれた場面もありました。

カンボジアの子どもたちの歌を聞く般若さんとSHINGO☆西成さん
カンボジアの子どもたちの歌を聞く般若さんとSHINGO☆西成さん
子どもたちの歌を目線をあわせて聴く般若さん(右)とSHINGO★西成さん(左)。
どうしてこのような展開に!?書籍でもご紹介いただいています。

水が湧き、願いもあふれる

話を聴かせてほしい。あなたたちのリアルを見せてほしい。
その姿勢を貫く般若さんに応答するように、コミュニティの人々が願いや夢を力強く語る姿には、私たち、ワールド・ビジョンのスタッフも心を打たれました。

「井戸ができたら、何がしたいですか?
井戸ができたら、何が変わると思いますか?」

お母さんが、お父さんが、おばあちゃんが、先生が、お姉ちゃんが答えます
「野菜を育て、家畜も殖やしたい。」 (お母さん)
「もっとお菓子をつくれます。たくさんつくって収入を増やすわ。」(おばあちゃん)
「水を買わなくてよくなったら、そのお金で勉強を続けられます」 (お姉ちゃん)
「問題が減って、夫婦で毎晩けんかしなくてすむようになります」 (お父さん)
「水汲みの時の事故や不衛生な水による健康へのリスクから、子どもたちを守れます」 (先生)
「夢の学校に近づきます」(小学校の子どもたち)

子どもたちの描いた「夢の学校」 お水をつかった学校菜園も広々と描かれています
子どもたちの描いた「夢の学校」 お水をつかった学校菜園も広々と描かれています
般若さんと般若さんがチャイルド・スポンサーとして支援するラタナくん(中央)、お母さんとお姉ちゃん
般若さんと般若さんがチャイルド・スポンサーとして支援するラタナくん(中央)、お母さんとお姉ちゃん

ご寄付で掘られた井戸は、地域の人々が語った夢を実現しています。
そして、2025年末に国境沿いで武力衝突が発生した際には、争いから逃れてきた人々にとっての命の水ともなったのです。

想いが井戸になった日。くみあげられた希望

井戸と給水設備には、動力と重力を使います。
動力をつかって地下水をくみあげ、高い給水タンクまで上げます。
そしてその水を、重力を使い、タンクからパイプを通して離れたところに送るのです。

地下の水脈からくみあげた水が勢いよく吹きあげるがごとく、子どもたち・人々の願いや夢がわきあがります。
コミュニティの一人ひとりにリスペクトをもってお話を聴いていらっしゃる大物ラッパーに向かって、人々が希望を語り、子どもたちが活き活きと歌う姿は、高いところから低いところに向かって豊かに水があふれ流れるかのようでした。

支援でできた井戸のまわりで。水も笑い声もあふれます
支援でできた井戸のまわりで。水も笑い声もあふれます

「見て確かめて、学ぶために来ました」
般若さんはカンボジア滞在中、常にメモをとっておられ、ご質問もたくさんいただきました。きれいな水が手に入らない現実、井戸の支援が家族にもたらす喜び。水支援のビフォーアフターのリアルを、書籍には綴ってくださいました。
般若さんがジャーニーの先に見た景色。ワールド・ビジョンのスタッフが、新しいコラボレーションの先に見た風景。
井戸は清らかな水とともに、喜び、希望、そして、勇気を、くみあげていました。
「般若、井戸を掘る」是非お手にとっていただけたら嬉しいです。

般若さん(中央)、カンボジアトモ・プオ地域開発プログラム責任者のヴ・スタッフ(左)、WVJ徳永(右)
般若さん(中央)、カンボジアトモ・プオ地域開発プログラム責任者のヴ・スタッフ(左)、WVJ徳永(右)

お知らせ

般若さんも参加されている「チャイルド・スポンサーシップ
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世界の水問題と子どもたち。体験しながら知っていただく機会をワールド・ビジョン・ジャパンでは開催予定です。
■小学生向け夏休みイベント 【ワールド・ビジョン・サマースクール2026】
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■チャリティラン・ウォークイベント 【GLOBAL 6K for WATER】~その一歩が、いのちをつなぐ水になる~
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この記事を書いた人
マーケティング第1部 コミュニケーション課 課長 德永 美能里
マーケティング第1部 コミュニケーション課 課長 德永 美能里
大学卒業後、民間財団法人にて関連の米国法人の設立、日・米での助成金事業ならびにフィランソロピーにかかる調査等の自主事業に従事。2002年ワールド・ビジョン・ジャパンに入団、新規支援者募集、アドボカシー(政策提言)を担当。海外在住を経て2014年にWVJに再入団、企業連携および個人大口支援者担当を経て、2021年5月より現職。「まずは知っていただく」ことから世界の子どもたちへの関心・支援の輪が広がることを願い、チームとともに、広報・グローバル教育活動に従事している。