世界のクリスマス(1)~カンボジア、「家の教会」でのクリスマス~
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12月。空は澄み渡り、からっとした風が心地よい季節になった。じとっとした雨期の日々が過ぎ、水田では稲刈りに勤しむ人々と牛の姿が見える。もうすぐ、僕にとってこの国で過ごす2度目のクリスマスがやってくる。
大半のカンボジア人にとって、クリスマスは普段と変わらない日だ。この国では「水祭り」(11月、雨期明けに開催される水の恵みに感謝する祭り)の方が大きな国民行事である。ワールド・ビジョン・カンボジアから世界各国に送られるクリスマス・カードにも、水祭りの象徴であるボートの絵が描かれている。


カンボジアは仏教国。憲法で国教は上座部仏教と定められ、僧侶の姿は町でも農村でも至る所でよく見かける。同僚から聞いた話では、「クリスマスって何の日?」と聞けば、多くの人々が「サンタクロースの日」、「セールの日」と答えるだろうとのこと。「クリスマス」よりも「ボン・ノエル」というフランス語から成る呼び名の方が一般的でもある。
ワールド・ビジョン・ジャパンがチャイルド・スポンサーシップで支援する地域の一つに、ボレイ・チュルサールという場所がある。カンボジア南部タケオ州、ベトナムとの国境近くに位置し、雨期には道路が冠水し、ボートでしか移動できないような地域だ。農業や漁業を主業として、約28,000人(約6,000世帯)の人々が暮らしている。ブルカをまとったイスラム教徒も多い。
この地にあるキリスト教会はたった1つ。ある家族が自宅で礼拝している。バナナとココナッツの木々に囲まれた「家の教会」だ。

ワールド・ビジョンは、この「家の教会」と協力し、昨年クリスマス会を開いた。40人を超える子どもたち(ほとんどが10歳未満)に加え、それと同じくらいの数の大人たちが見物に集まった。中には「クリスマス」なんて言葉を聞くのは初めてという、おじいちゃん、おばあちゃんの姿も。「これは一体何のお祝いだ?」と口々に質問する。
ワールド・ビジョンのスタッフや地域の若者のリードの下、子どもたちとクリスマスの歌(讃美歌)を歌い、ゲームを楽しんだ。皆で一緒に手を洗い、クメール・ヌードル(米麺とココナッツミルクベースのスープ)を食べ、最後には学校で使うためのペンをプレゼントとして渡した。3時間弱のささやかなプログラムは、笑い声とともにあっという間に過ぎていった。

ボレイ・チュルサール地域開発プログラムのマネージャーであり、昨年来日したシネットが、会の最後に子どもたちに感想を聞いた。ある男の子(7歳)は語る。「今日、生まれて初めてクリスマスをお祝いしました。みんなと一緒にいられて、みんな幸せそうで、とっても楽しかったです。来年は、僕のお父さん、お母さんも一緒に連れてきたいな」

生い茂る緑と青い空を突き抜けるように子どもたちの拍手と歓声が響いた。ボレイ・チュルサールにも、僕・わたしにも、クリスマスがやってきた。
ワールド・ビジョンはキリスト教精神に基づいているが、布教活動はしない。このクリスマス会も、子どもたちとクリスマスの喜びを共有するために開催した。宗教やジェンダーに関わらず、ただ子どもたちが心身ともに健やかに成長できることを願い、支援活動に励む。
健康でいられること、教育を受けられること、暴力等から守られ、意見を発し、社会に参加できること・・・子どもたちの成長のためにはすべて大事であり、必要なものだ。これらに加えて、ワールド・ビジョンは、子どもたちに「神様や隣人の愛」を実感してほしいと願っている。子どもたちが、家族、友だち、先生、地域の人々との関係の中で、「わたしは大切な存在だ」、「皆がわたしを大事にしてくれて嬉しい」と感じてほしいと願っている。死亡率、就学率、世帯収入等が改善しただけでは、子どもたちが本当に豊かであるとは言えない。キリスト教精神に基づく「ワールド・ビジョンらしさ」はここにある。
サンタクロースを心待ちにしたり、きれいなイルミネーションにみとれたり、ちょっと特別な食事や贈り物をしたり・・・そんなクリスマスはやっぱり楽しいし、僕も大好きだ。
でも、このクリスマスの時期だからこそ、何よりもまず覚えたい。
僕も、わたしも、あなたも、一人ひとりが大切な存在であり、愛されるべき存在であること。その思いが、ワールド・ビジョンの活動を通して、スタッフの姿から、日本のスポンサーの手紙から、カンボジアの子どもたちに伝わってほしい。
Joy to the world!
クリスマスの喜びよ、世界の子どもたちに届け!


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