6月20日は世界難民の日

2014.06.18

世界難民の日は、難民の保護と援助に対する世界的な関心を高め、国連機関やNGOによる活動に理解と支援を深める日にするために国連により制定されました。この日に寄せて、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)が南スーダンとヨルダンで行っている難民・国内避難民支援事業をご紹介します。

南スーダンの人道危機を受けて

銃や兵器を作って泥遊びをするマラカルの子どもたち(南スーダン)

2013年12月15日に首都ジュバで起こった武力衝突は、南スーダン各地に広がり、現在までに100万人以上が国内避難民となり、36万人以上が国外へ避難し難民となっています 。

着の身着のままで逃げた人々は、安全な場所を求めて国連の基地や、地方の森の中などに逃げ込み、基本的な衣食住すら整わない最低限の生活を強いられています。そして、このような状況で一番心を傷つけられ、困難な生活を強いられているのは子どもたちです。
国内避難民の子どもたち、特に家族や友だちを亡くした子どもたちは、この紛争により心も体も深く傷つけられました。彼らには、「自分は安全な場所にいて守られているのだ」と感じるための心理社会的なサポートが必要です。

浄水剤の使い方をデモンストレーションしている様子

WVJは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、南スーダン国内での緊急支援として、国内避難民の子どもたちが安心して遊べるチャイルド・フレンドリー・スペースの設置、そしてバケツ、浄水剤、石けんなどの水・衛生緊急支援物資の配布や、井戸修繕のための訓練を行っています。チャイルド・フレンドリー・スペースでは、子どもたちが伝統的な歌やダンス、ゲームなどの遊びを楽しんでいます。また子どもたちの安全を確保し、保護することの大切さを理解してもらうために、大人たちを対象にした子どもの保護に関するキャンペーンを始め「子どもの保護委員会」の設立やヘルプデスクを設置するなどの活動を行っています。

また南スーダンと国境を接するエチオピアでは、南スーダンから逃れてきた難民の子どもたちを支援するために、仮設校舎整備を始め、先生やPTAへの研修とチャイルド・フレンドリー・スペースの設置を予定しています。

配布される食糧を受け取りに来た子どもたち

【スタッフの声】
WVJの田中映江(あきえ)スタッフは、昨年11~12月に南スーダン北部の都市マラカルに駐在していましたが、治安悪化のため、現在は、隣国ケニアから水・衛生緊急支援物資配布の事業を管理しています。

「元気な子どもたちとともに過ごした南スーダン、アッパーナイル州。独立から2年半(当時)、課題は多いけれど安定した暮らしがあるように見えました。その地が今では、激しい戦闘のただ中にあり、州都マラカルは廃墟と化しています。逃れることができた子どもたちも、深く傷ついているでしょう。その深い苦しみと悲しみ、そして失望感や不安感の中、私たちにできることがあれば、できる限りの支援を行いたいと思っています」

シリア難民が多く暮らしているヨルダンでは

支援を受け、通学バスで学校に向かう子どもたち

ヨルダンには、その総人口の約10%にあたる約60万人 のシリア難民が生活しています。2014年終わりには約80万人まで増加し、そのうち36%が5~17歳の就学年齢の子どもたちであると予想されています。このような状況で、ヨルダンにある公立学校では生徒数が急増し、教育の質を維持することが難しくなっています。カリキュラムの違いや、母国での悲惨な経験などが原因で、シリアから逃れてきた子どもたちは、ヨルダンの教育に順応することに困難を抱えています。また、難民に対する緊張感も高まっており、通学途中に暴力を受けるケースも報告されているなど、シリア人の子どもたちにとって学校に通い続けることが難しくなっています。

補習授業の様子

WVJはジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、学校での勉強(特に算数、英語、アラビア語)についていくことが難しい子どもたちを対象に、補習授業を実施します。また、通学路の安全を守るために大人が引率する集団登校グループを作ったり、遠距離であったり障がいなどで徒歩通学が難しい子どもたちには通学バスを提供します。さらに、子どもたちへの精神的なサポートを行うため、補習授業の後にはレクリエーション活動を行い、子どもたちが安全に遊べるスペースを提供します。

一方、子どもたちを取り巻く環境を改善するためには、保護者やコミュニティが、子どもの教育や保護のための役割を理解することが大切です。そのため、毎月の保護者会や心理社会的サポートのための研修も実施します。

将来の夢を語ってくれたリームちゃん

リームちゃん(8歳、写真)は、ワールド・ビジョンのヨルダン現地パートナー団体が運営する学校に通っています。シリアでは、ある日突然武装勢力が学校押し入り、すべての職員と生徒にそこを出ていくように命じたといいます。学校は占拠され、リームちゃんは、来る日も来る日も、家の屋上から学校を眺めることしかできませんでした。ところがある日、その学校が爆破されるのを目撃しました。リームちゃんの楽しかった学校の思い出は崩れ去ってしまいました。しかし、リームちゃんは「医者になる」という夢のために勉強し続けたいと思っています。彼女は、「世界中の困っているすべての人を助けたいの」と微笑みました。

難民の暮らしは、国連やNGOの支援を受けられたとしても、決してたやすいものではありません。
彼らは多くの困難や苦悩を抱えて毎日を生きています。ワールド・ビジョンはこれからも、彼らの心に寄り添った支援活動を続けていきます。


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