10月16日は世界食料デー 「栄養」から考える食料問題

(2016.10.14)

食料・栄養・飢餓の問題を考える日です

10月16日は、世界の食料問題を考える日として国連が制定した、世界食料デー(World Food Day)です。1979年の第20回国連食糧農業機関(FAO)総会の決議に基づき、1981年から世界共通の日として制定されました。 

世界の一人ひとりが協力しあい、最も重要な基本的人権である「すべての人に食料を」を現実のものにし、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としています。

栄養豊富な食事を手に笑顔の子どもたち(カンボジア)

「すべての人に食料を」そして、「栄養を」

ワールド・ビジョン・ジャパンは、「すべての人に食料を」を実践すべく、紛争や災害の影響を受ける人々に食糧を届けるほか、途上国に住む子どもたちの栄養不良の問題にも取り組んでいます。

例えば、チャイルド・スポンサーシップによる地域開発プログラム(ADP)では、家族の食事を担当するお母さんに栄養の知識を教えます。具体的には、小さな子どもを持つお母さんたちで「栄養クラブ」を組織し、地域の保健センターのスタッフを講師に迎え、食べ物に含まれる栄養素や食べ合わせ、調理方法等を指導してもらいます。また、調理に使う野菜を育てる「家庭菜園」の普及をサポートしたり、子どもたちの健康状態を毎月モニタリングしたりしています。このような地道な活動を長期間続けることで、栄養不良の子どもの割合は確実に減少します。

食糧等の支援物資を受け取り、安堵した表情の母子。2016年、この地域は深刻な干ばつに見舞われました(インド)

活動を客観的に検証しました

チャイルド・スポンサーシップによる支援が、子どもたちの栄養状態にどのような影響を与えているのか―。支援の有効性にも関わる調査を、東京大学の専門家とともに実施しました。ルワンダのグウィザADPを対象に約5年間にわたり行われた調査の結果、様々な作物を食べることが5歳未満の子どもの栄養状態に良い影響を与えること、「栄養クラブ」の取組みに参加する子どもの栄養状態が比較的良いこと等が明らかになりました。

しかしこの地域の場合、子どもの発育状態は、授乳期には国際基準と変わらないものの、現時点ではまだ、2~3歳時に基準以下になることが判明。この時期の子どもに対して重点的な対策が必要という指摘がなされました。また、「栄養クラブ」の活動をもっと地域全体に周知していく必要性があるとの指摘があり、今後の改善につなげるための示唆が与えられました。

調査を担当した東京大学大学院の松田浩敬特任准教授は、「(栄養に関する)母親の意識改革が父親に伝わり、子どもにも伝わる、という良い流れが支援によって起きているように感じました」とコメントくださいました。

栄養クラブの様子(ルワンダ)

食料不足と栄養不足が子どもの将来に大きく影響

「栄養のある食事の作り方を教わったので、この子は体重が7kgから10kgに増えました。以前は一つの素材でしか料理できなかったけど、今はどんな野菜を混ぜれば栄養価が高くなるか分かるの」

ケザちゃん(3歳)に栄養満点のおかゆを食べさせながら、ルワンダのお母さんは語ってくれました。この様子が続けば、ケザちゃんが標準体重(14~15kg)に達する日も近いかもしれません。

世界では、7億9,500万人(9人に1人)が、健康で活動的な生活を送るために必要な食料を得られておらず、栄養不良の状態にあります。特に成長期にある子どもの場合、十分な栄養が得られないと免疫力低下、貧血、運動能力低下等、様々な健康問題を成長してからも抱えることになります。食べる量はもちろんですが、バランスの良い栄養をとることも、健康な生活をおくる上では大変重要なのです。

ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップによる支援では、食料を増産するための農業プロジェクトも実施しており、食料・栄養の両面から子どもたちの成長を支えています。これからも、適切な改善を加えつつより良いプロジェクトを実施していきます。


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