ブルンジの学校給食支援とは?WFPと進める「自立する仕組み」

投稿日|2026年4月27日
執筆者:野本 理恵
  • アフリカ
  • #アフリカ

国連世界食糧計画(WFP)の活動というと、紛争や災害の現場で食料を届ける緊急支援を思い浮かべる方も多いかもしれません。実際に、そうした支援は多くの現場で行われています。一方でそれだけにとどまらず、現地の状況に合わせて、地域の中で食を支える仕組みづくりに取り組む事業もあります。

学校給食支援は、子どもたちの栄養改善や就学継続を目的とした国際支援の一つです。今回はその一例として、今年訪れたブルンジで行われている学校給食支援の現場の様子をお伝えします。

ワールド・ビジョン・ジャパンとWFPの支援を通じて、地元農家が生産した作物を使った給食を食べる子どもたち

支援で始まった学校給食が、地元の農家に支えられるまで 

アフリカ東部に位置するブルンジで、ワールド・ビジョン・ジャパンは国連世界食糧計画(WFP)と協働し、学校給食を支える事業を行っています。 
この地域では、家庭の貧困により、家庭で十分な食事をとることが難しい子どもたちもいます。 
ブルンジでは、5歳未満の子どもの55%が発育阻害(慢性的な栄養不良などにより、年齢相応に成長できていない状態)1にあり子どもの栄養をめぐる課題の深刻さがうかがえます。 
そうした中で、学校給食は子どもたちにとって大切な栄養源です。食事がとれることは、学校に通い続けることや、授業に集中して取り組むことにもつながります。 

当初、学校給食に使う食料は、国連世界食糧計画(WFP)とワールド・ビジョン・ジャパンが支援していました。その後、地域の中で学校給食を支えていけるよう、現地の農家とともに農業研修や保管・運搬の仕組みづくりを進め、給食に使う作物を、支援で受け取るのではなく、現地で生産する体制を整えてきました。 

地元の農家の畑から、学校給食は始まります

現地で最初に訪れたのは、地元の農家の畑でした。
本事業では、現地の農家を対象に農業研修を行い、収穫量を高める栽培方法や、安定して生産を続けるための技術を伝えてきました。実際に畑を訪れると、人々がテキパキと作業を進める姿がありました。

ここではメイズ(主食用トウモロコシ)や米などが育てられており、その一部は学校給食用として出荷されています。農家は、学校給食に使う作物の品質を高めるための研修を受け、事業による支援を経て、学校と契約して生産を行うようになりました。

子どもたちに必要な量の作物が学校に届けられると同時に、農家にとっても安定した収入源になっています。

地元の畑で農家の男性、WVスタッフと筆者

現地で話を聞いた農家の一人(写真の黄色い服の男性)は、「農作物による収益で3人の娘全員を大学に行かせることができた」と誇らしく話してくれました。農家が作物を育て、その作物が学校給食に使われる。こうした流れができたことで、給食を支えると同時に、農家の収入にもつながっています。

畑の作物が、学校給食になるまで

ここからは、この畑で収穫された作物が、子どもたちの給食になるまでの流れをご紹介します。
① 畑で収穫した穀物を、倉庫に運びます。
② 倉庫では、まず砂利などの異物を取り除きます。

小さな穴が開いたパレットで砂利を除きます

③ その後、穀物をサイロ(SILO)に入れます。サイロは、収穫した穀物を湿気や害虫から守りながら保管するための設備です。

SILO:収穫した穀物を保管しながら、下部の栓を開けてそのまま袋詰めもできる、筒状の保管設備。便利です

④ 次に、穀物の重さを量って、袋詰めします。
⑤ 袋詰めした穀物を保管し、その後、トラックで各学校へ運びます。

運営に携わる人の半数は女性で、女性の収入向上にもつながっています
農家の組合が運営する倉庫。これが給食になります

こうした工程も、研修を通して一つひとつ身につけてきました。畑で育てた作物を、学校給食として子どもたちに届けるまでの流れが、地域の中で整えられています。

学校では、保護者が給食を調理します

学校では、保護者が地元の協同組合から届けられた穀物を使って給食を調理していました。

学校に届けられたメイズ・フラワー(学校給食に使われる、メイズを粉にしたもの)
教員と保護者が協力して給食を調理している様子

私が訪問した際には、メイズの粉を練る作業が行われていて、給食の調理は重労働であることが分かりました。こうして準備された給食が、子どもたちに配られます。子どもたちが給食を受け取り、笑顔で食べる様子がありました。

子どもたちは手を洗ってから並んで給食待ち、順番にもらいます
子どもたちに「おいしい?」と聞くと照れて笑っていました
子どもたちに「おいしい?」と聞くと照れて笑っていました

支援が、地域で続けていける仕組みにつながっている

校長先生は、“学校給食によって就学率が上がった”と話してくれました。学校で食事がとれることが、子どもたちの通学を後押しし、学校生活を支えることにつながっています。

この事業は、7年をかけて少しずつ形になってきました。今では、かつて国連世界食糧計画(WFP)とワールド・ビジョン・ジャパンの支援で食料を受け取っていた対象校の93%にあたる462校が、穀物の受け取りという支援を卒業し、地元の農家が生産した食料を使って給食を作っています。
私たちが目指しているのは、支援によって依存を生むことではなく、最初の一歩を支えながら、地域の人たちが自分たちの力で続けていける形へとつないでいくことです。

これは一時的な食料支援にとどまりません。子どもたちの毎日の食事を支えながら、その先も地域の中で給食を続けていくため、地域で自立できる仕組みを育てています。

WVブルンジのスタッフ、学校の教職員、校長先生と
WVブルンジのスタッフ、学校の教職員、校長先生と


[1] 出典:UNICEF Data, Burundi country profile / The State of the World’s Children 2025 Statistical tables (Table 8)

このような学校給食支援は、子どもたちの未来と地域の自立を支えています。

ワールド・ビジョンの取り組みについて詳しくはこちら

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活動内容

ワールド・ビジョンは1950年に設立された、世界の子どもたちを支援する国際NGOです。開発援助・緊急人道支援・アドボカシー(市民社会や政府への働きかけ)を活動の三本柱として活動しています。
私たちの活動が、こどもたちの生活にどのようなインパクト(影響)を残しているか、こちらのページでは分かりやすい数字とともにお伝えしています。

この記事を書いた人
支援事業部 プログラム・コーディネーター 野本 理恵
支援事業部 プログラム・コーディネーター 野本 理恵
青山学院国際政治経済学部卒。英国サセックス大学にて農家の生計向上を学び、Poverty and Development修士課程修了。アビームコンサルティング、アクセンチュアなど民間企業に勤務したのち、日系NGOにてスーダンの開発援助に従事。2019年ワールド・ビジョン・ジャパン入団。政府系助成金の会計担当を経て、現在は開発1課にてアジア・アフリカ地域の事業を担当。