安全な場所はどこにもない——激化する紛争にさらされるレバノンの子どもたち

投稿日|2026年4月10日
避難所で生活する子どもたち

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、4月8日、レバノン全土で空爆が激増したことを受けて、深い懸念を表明します。すでに避難民が増加している複数の地域で100回以上の空爆が報告されています。今回のさらなる激化により、もともと脆弱な立場にある子どもや家族が、ますます差し迫った、より深刻な危険にさらされています。

「壊滅的」状況とアクセスの遮断

レバノン当局および緊急対応にあたる関係者は、今回の状況を「壊滅的」と表現しています。保健省によると、4月8日の空爆だけで少なくとも182人が死亡、890人が負傷しました(4月9日発表)。レバノン赤十字は、負傷者を救助するために、国内各地に100台以上の救急車を出動させています。これは、すでに深刻な被害を一層悪化させるものです。3月2日に戦闘が激化して以降、これまでに1,500人以上が死亡しており、その中には少なくとも130人の子どもが含まれています。負傷者は4,600人を超えています。

ベイルート、ベカー地域、南レバノンの人口密集地域で激化する空爆により、多くの家族が住まいを追われ、何度も避難を余儀なくされています。人々は、安全を求めて、過密状態の避難所や路上、テントや車中、あるいはすでに負担が増している受け入れコミュニティに身を寄せています。

南レバノンの一部の地域では、橋や学校、医療施設といった重要な民間インフラの損壊により、人々の移動が著しく制限され、孤立が深まっています。その結果、生活必需品や医療、人道支援へのアクセスも妨げられ、ワールド・ビジョンのような支援団体が、最も支援を必要とする人々に十分にアクセスすることも難しくなっています。

子どもの命と未来を守るための緊急要請

最も大きな影響を受けているのは子どもたちです。多くの子どもたちが何度も住まいを追われ、慣れ親しんだ環境から引き離され、心に深い傷をくり返し受けています。

現在、100万人以上が避難を余儀なくされ、そのうち39万人以上が子どもです。教育の中断、安全な居場所の不足、そして家族の抱える負担の増大により、心理的苦痛、虐待、搾取のリスクを高めています。

避難所で提供された温かい食事を食べる子ども

ワールド・ビジョンは、すべての関係当事者に対し、以下のことを緊急に要請します。

  • 敵対行為を直ちに緩和させ、恒久的な平和の実現に向けて取り組むこと。
  • 国際人道法に基づき、 子どもや家族、医療従事者、救急隊員、および民間インフラを常に保護すること。
  • ベイルート、ベカー地域、南レバノンで影響を受け、特にアクセスが困難な地域への安全で妨げのない人道支援アクセスを確保すること。
  • 全国的に急速に高まるニーズに対応するため、柔軟な人道支援資金を拡充すること。

ワールド・ビジョン・レバノン事務局長のハイディ・ディードリッヒは次のように述べています。
「長年にわたる危機を経験してきた子どもたちにとって、今回の暴力の激化は、恐怖と不安をいっそう深め、長期的な影響のリスクを高めています。一刻の猶予もありません。子どもたちは保護されなければなりません。これ以上の苦しみを防ぐため、国際社会は今すぐ行動をしなければなりません」

中東人道危機募金にご協力ください

レバノン国内の人道支援ニーズはいっそう深刻化しています。支援を必要とする人々は今も刻々と急増しています。子どもたちはこの瞬間も危機の中にあります。一方で、人道支援資金は深刻に不足しており、緊急かつ継続的な国際支援を必要としています。

ワールド・ビジョン・レバノンは、現地での支援を継続しており、3月2日の情勢悪化以降、食料、衛生キット、心理社会的支援など、命を守るための支援を避難を強いられた人々に提供しています。3月31日までに5万人以上の子どもを含む約15万人に支援を届けました。

すべての子どもたちが安全と尊厳の中で生きる権利があります。皆さまのご支援が、子どもたちの命と未来を守る力になります。どうかご協力をお願いいたします。

避難者に支援物資を届ける現地スタッフ

◆ワールド・ビジョン・ジャパンとは
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。詳しくはこちらから。

◆ワールド・ビジョンの中東地域での活動
ワールド・ビジョンは、中東地域でこれまで50年間以上にわたり、命を守るための人道支援や長期的な開発プログラムを通して、脆弱な立場にある子どもたちや家族に支援を届けてきました。ワールド・ビジョンは、地域のパートナー団体とともに、レバノン、ヨルダン川西岸地区、イラク、シリア、ヨルダン、トルコ、アフガニスタンにおいて、最も脆弱な状況にある人々に、緊急食糧支援、清潔な水、保健衛生、教育、子どもの保護、心理社会的支援を提供しています。

レバノンでは、3月2日以降3月31日までに、5万2,304人の子どもを含む14万9,438人に命を守るための支援を届けています。61万食以上の温かい食事や栄養補助食品、約9,000食の調理不要食などを提供するとともに、毛布(約7,600枚)やマットレス(約6,600枚)などの寝具、衛生キット(約1万セット)、給水車支援(約1万5,000世帯)などを届けています。加えて、子どもたちへの心理社会的支援やレクリエーション活動を実施しています。

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