3年にわたる苦しみ スーダンの子どもたちに刻まれた深い傷

2026年5月1日
スーダンは今、子どもたちにとって世界で最も過酷な場所の一つとなっています。紛争が4年目に入り、終わりの見えない暴力が続く中、国際NGOワールド・ビジョン(WV)は、一つの世代が組織的に失われつつあると警告しています。国際社会が沈黙する間にも、1時間ごとに命が失われています。スーダンでは以下のような状況が続いています。
- 国全体に大規模な飢餓、深刻な食料不安が広がり、1,730万人の子どもが支援を必要としています。
- 420万人の子どもが急性栄養不良に苦しみ、そのうち80万人は、専門的な治療食がなければ回復できないほど深刻な衰弱状態にあります。
- 社会システムの崩壊により、少女たちは恐ろしい性暴力や搾取の危険にさらされています。
- 1,050万人の子どもが学校に通えておらず、3年間教室で授業を受けられていません。

暴力が続く中、子どもたちは日々、命を奪われ、傷ついています。子どもの権利に対する重大な侵害が全国で報告されています。家や学校、医療施設は破壊され、子どもたちは安全、教育、医療、そして「日常の感覚」さえも奪われています。
子どもたちを直撃する危機の現実
3年間に及ぶ紛争の被害は計り知れません。いま、1,730万人の子どもが人道支援を必要としています。南ダルフール州にある国内避難民キャンプ1か所だけでも、家族と離ればなれになった子どもが200人以上確認されました。 これは氷山の一角に過ぎず、多くの子どもたちが声を上げることもできないまま苦しんでいます。

南ダルフール州に暮らす9歳のオメル君は、発育不全により、遊ぶ元気もなく、食事は1日に粥1杯だけ、時に何も食べられない日もあります。オメル君の姿は、飢饉に苦しむスーダンの現実そのものです
「脚が重くて、お腹がいつも痛い。とても疲れているんだ。遊びたくない。ただ、空腹が終わってほしい」

アダム君は、病院が直接攻撃され、子ども17人が死亡、数十人が重傷を負った事件の生存者です。
「大きな爆発があって、病院が崩れました。いま僕の脚は動かなくなりました。」
本来、人を癒すはずの医療施設すら攻撃の対象となっています。アダム君の証言は、子どもを含む最も弱い人々にとって、最後の安全な場所までもが失われた現実を突きつけています。

家が砲撃を受けた日
11歳のイブラヒム君は、家が砲撃を受けた日の恐怖を忘れられません。
「空は煙で真っ黒で、血まみれの人たちが見えました。息ができなくなるまで走りました。ここに来れば安全だと思ったけど、あるのは砂埃だけです。前は本もベッドもありました。今は仮設のシェルターで地面で寝て、来ることのない食べ物を待っています。」
暴力によって、何百万人もの人々が、その場にとどまって死ぬのか、あるいは生き延びる保証のないまま逃げるのかという、苦渋の選択を迫られています。すでに1,300万人以上が住まいを追われています。

少女たちにとって、状況はさらに深刻です。保護の仕組みが崩壊する中、家族と離ればなれになったシャイラさんは、性暴力を受け、妊娠したまま一人で取り残されました。
ワールド・ビジョン・スーダン事務局長、サイモン・マネは次のように訴えます。
「どの統計の裏にも、家や学校、そして安全を失った“一人の子ども”がいます。一つのキャンプに、親と離れた子どもが数百人もいる現実は、子どもたちが静かに苦しみ続けている証拠です。今すぐ大規模な資金拡充と平和への真剣な取り組みがなければ、これらの傷は一生消えることはありません。
子どもたちは、自分たちの命が守られることに、世界が同じだけの関心を向けてくれることを必要としています。それが遅れるほどに、多くの命が危険にさらされるのです」

スーダン事業担当スタッフのメッセージ
スーダンでは、人口の約3分の1にあたる1,000万人超が避難を強いられる「世界最悪の人道危機」と言われる紛争が続き、2026年4月で4年目に突入しました。紛争の長期化により、人々は生きていくうえで欠かせない水や食糧へのアクセスが制限された生活を余儀なくされています。とりわけ、女性や子どもたちは日常の中で、暴力やさまざまな危険にさらされ続けています。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、日本の皆さまのご支援とジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金で、現在スーダン国内において水・衛生事業を3事業実施しております。紛争の影響で医療体制も崩壊しており、活動の一つである安全な水にアクセスできる環境を整えることは、感染症を防ぎ、1人でも多くの命を守るために不可欠です。また、水を汲むために長距離を移動する時間が減ることで、女性や子どもたちが暴力や危険に遭うリスクを下げることにもつながります。
紛争が始まり、これまでの日常の一つひとつが失われ、その積み重ねの中で、全てを奪われた人も少なくありません。不安と緊張に満ちた「異なる日常」が始まって3年が経ちました。私たちの取り組みが、スーダンで暮らす一人ひとりにとって、生き延びるための希望となることを、心から願っています。
スーダンの状況や、これまでのワールド・ビジョンの活動についての詳細をこちらのジャパン・プラットフォームのページからもご覧いただけます。

難民支援のための募金を受け付けています
ワールド・ビジョンは、現地で命を守る支援を続けていますが、必要とされる支援と利用可能な資源の差は、急速に拡大しています。食料、水、専門的な栄養支援を拡大するために、国際的な資金援助の即時かつ大幅な増額を強く求めます。そして何より、民間人への攻撃を直ちに止め、保護者のいない子どもたちを守るために、協調して取り組むことは急務です。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは「難民支援募金」を受け付けています。募金は寄付金控除等の対象となります。

◆ワールド・ビジョン・ジャパンとは
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。詳しくはこちら
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