【アドボカシーの現場から】Vol.04 世界経済の議論の先にある、子どもたちの未来 〜2026年世界銀行・IMF春季会合参加報告〜
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アドボカシーの現場から ~声なき人の声となる~
「アドボカシーの現場から」は、ワールド・ビジョン・ジャパンの活動の三本柱のひとつであるアドボカシーの働きを、担当スタッフの声でお伝えするコラムです。
国際会議や政府との対話を通じて、子どもや声なき人びとの声を政策に反映する。見えにくいけれど、子どもたちの未来を変える力をもつアドボカシーの現場を、ワールド・ビジョン・ジャパンの柴田スタッフがお伝えします。
連載第4回となる今回は、2026年4月13日~18日に米国ワシントンD.C.で開催された世界銀行・IMF春季会合の様子をご報告します。
世界経済の議論の先にある、子どもたちの未来 〜2026年世界銀行・IMF春季会合参加報告〜
世界銀行 と 国際通貨基金 は、毎年秋に年次総会、春に春季会合を開催しています。前回(第3回)は年次総会の様子をお伝えしましたが、今回は春季会合への参加報告です。
国際協力を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、世界銀行の支援戦略の中心に、脆弱な状況に置かれた子どもたちが据えられることを目指し、今回の会合に臨みました。


ワールド・ビジョンの同僚とともに、初日から多くの会議やイベントに参加し、世界銀行の最新の支援状況や戦略を確認すると同時に、現場で得た知見をもとに提言を行い、建設的な対話を重ねました。


脆弱な人々の声をどう反映するか
初日に参加した「独立苦情処理・アカウンタビリティ・メカニズム(IAM)」の統合に関するコンサルテーションでは、世界銀行グループ内に複数存在するIAMの統合方針とプロセスが示されました。
私は、この統合の過程において、最も脆弱な立場にある子どもやサバイバーの声が取り残されないよう強く求めました。これに対し、アクセスの改善や申立人の選択肢の確保、そして経営陣の不遵守への確実な対応を重視する方針が示されました。
このコンサルテーションに加え、グローバルIDA(国際開発協会)フォーラム、FCVに関するミーティングなどの様々な会議に参加し、子どもたちの権利が守られるよう、子どもたちが支援の中心に据えられるよう、求めました。


世界銀行との対話から見えた優先課題
会合期間中は、世界銀行のリーダーたちとの直接対話の機会も得ました。
開発金融と 国際開発協会 を担当する副総裁との対話では、「子どもはIDAにとって極めて重要な課題である」との認識が示されました。特に、世界的な援助削減の影響により教育や栄養状態が悪化する中で、教育と保健システムの強化が不可欠であり、それを大規模に実行できるのがIDAであるとの発言は、私たちにとって大きな励みとなりました。
日本理事や北欧・バルト諸国理事室との対話では、各理事の優先分野について理解を深めるとともに、優先分野におけるワールド・ビジョンの取り組みを紹介し、子どもを戦略の中心に据えることを求めました。率直で誠実な意見交換が行われ、有意義な対話となりました。



「水」が示す開発課題の本質
今回の会合では、「ウォーター・フォワード」という新たなグローバル・イニシアチブも発表されました。これは、水の安全保障の強化、投資の促進、パートナーシップの拡大を目的とした取り組みです。
アジェイ・バンガ 世界銀行総裁は次のように述べました。
「水が使えなくなれば、経済は機能せず、農業も成り立たない。女性や少女への影響も大きい。水は根幹に関わる課題である」


現在、世界では女性や少女が毎日2億5000万時間以上を水汲みに費やしています(注)。水へのアクセスは、教育、健康、そしてジェンダー平等にも直結する重要な課題です。
ワールド・ビジョンは、水と衛生に関する新戦略「Mapping the Blue Thread」を開始しています。これは、水、人々、地球、食料のつながりを重視するもので、世界銀行のアプローチとも一致したものです。また、ワールド・ビジョン・ジャパンでは、途上国の子どもたちが水を得るために歩く距離を体験する「GLOBAL 6K for WATER」を実施しています。
今年は世界銀行の「ウォーター・フォワード」や国連水会議なども重なり、水の重要性が国際的に改めて注目されていることを強く実感しました。
注:UN Women “Progress on the Sustainable Development Goals: The Gender Snapshot 2024”
今回の春季会合を通じて、世界経済に関する意思決定が最も脆弱な立場にある子どもたちの未来を大きく左右していることを改めて実感しました。だからこそ、現場の声を国際社会の議論に届け続けることが不可欠です。子どもたちの未来を守るための働きを、これからも前に進めていきます。
アドボカシー・シニア・アドバイザー 柴田 哲子
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※アドボカシー=貧困や紛争の原因について声をあげ、問題解決のために政策や社会の仕組みに働きかける活動

柴田 哲子(しばた のりこ)
東京外国語大学ロシヤ語学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士(国際貢献)。
海外経済協力基金・国際協力銀行にて二国間援助に従事したのち、国際NGOの事務所長としてアフガニスタンに赴任し帰還民支援に携わる。現場での経験を通じ、課題解決のためには事業支援に加え政策を変えるアドボカシーが必要との思いを強める。2011年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。2013年より子どもの権利に関するアドボカシーに従事。
SDGs市民社会ネットワーク進行役・開発ユニット幹事、教育協力NGOネットワーク副代表、こども家庭庁「子どもに対する暴力撲滅円卓会議、ワーキング・グループ」委員等、複数のNGOネットワークや政府の委員を務める。
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