能登半島地震から2年|ワールド・ビジョン・ジャパンの国内子ども支援と子どもの権利
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令和6年元旦に発生した能登半島地震から2年が経ちました。ワールド・ビジョン・ジャパンは、日本国内において被災した子どもたちの心のケアや居場所づくりなど、子ども支援活動を行い、災害時にも「子どもの権利」が守られるよう取り組んできました。

能登半島地震で我慢やストレスを強いられる子どもたち
ワールド・ビジョン・ジャパンは、東日本大震災年(2011年)をはじめ国内外各地で災害が発生した際、子どもたちの心のケア、遊び場運営、学校再開支援などの活動を行ってきました。
令和6年能登半島地震においても、家屋は損壊、断水が続き、学校は避難所となるなど生活は一変。家族や友だちとの大切なつながりが断たれた子どもたちは、さまざまな我慢やストレスを強いられ心身に大きな負担がかかり、心のケアが必要とされる状態でした。
災害時の子ども支援活動|チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)
災害時に子どもたちが安心して安全に過ごせる居場所「チャイルド・フレンドリー・スペース」(CFS)は、子ども支援の大切な活動のひとつです。スタッフが見守る中、子どもたちが安心・安全に過ごせるように配慮して作られています。CFSで遊んだり休んだりすることで、子どもたちが日常の感覚を取り戻すことが、心身の回復に役立つと言われています。
また、復興へ向けた長い道のりの中、子どもたちが日常から少し離れリフレッシュすることを目的に、複数回のバス遠足も行いました。参加した子どもたちからは、「仲良く遊べてよかった」「友達と一緒に出かけられて楽しかった」「また遊びたい」とのうれしい声が聞かれました。
そのほか、学校や保育園の再開、高校生への学習支援金の提供など、地域の人々とコミュニケーションを重ね、必要に応じた活動を行いました。

子どもの心のケアを支える人材育成|PFA研修の実施
能登半島地震では、日ごろ子どもたちと最も多く接する保育士、保護者、キリスト教会の教会学校の関係者の皆さんを対象に、サイコロジカル・ファースト・エイド(心理的応急処置、PFAと略される)研修を実施しました。
サイコロジカル・ファースト・エイドとは、災害や事故など危機的なできごとを経験した人に対し、医師などの専門職以外の人が、心の応急手当てを提供する手法です。研修では、おびえる様子を見せたり、イライラしたり、眠れないと話す子どもの反応をどう理解し、どう接するかなどについて、ロールプレイを交えて話し合い、学んでいただきます。参加した保育士の方は、「子どもたちが地震ごっこをするのは地震をのりこえるためで、どのように見守ればいいかわかってよかった」とコメントをくださいました。

スタッフのうち9名は同研修の講師資格を持っており、日ごろから研修を行って緊急事態に備えています。参加者には、東京の災害対応拠点病院の看護師や事務職の方を含む医療関係者、教育関係者、災害支援の現場に派遣される可能性のあるNGOスタッフ、教会学校の担当者など多様な方がいます。このような機会を通じ、災害時の心のケアの重要性について普及をはかるとともに、各団体との連携を強化し、緊急時に子どもの権利が守られる社会の実現に貢献していきます。

東京都中野区での地域子ども支援と企業・団体との連携

ワールド・ビジョン・ジャパンの事務所のある東京都中野区においても、日ごろから子ども支援を実施しています。
放課後や長期休暇中に開かれる「みんなのへや」は、勉強したり、遊んだり、休んだり、子どもたちが思いおもいに過ごす場所です。学校や家庭ではルールや求められる役割が多く、子どもたちは居心地の悪さやプレッシャーを感じることがあります。「みんなのへや」では、参加することも何もしないことも自由に自分で決めることができます。スタッフは子どもたちにとって居心地のいい空間づくりに心を配っています。
また、夏休みにはイベントを開催し花火やスイカ割りを行うなど、体験も大切にしています。企業によるご協力もいただいており、果物のプレゼントやボランティア活動を通じて、社員の方々が子どもたちと関わる機会もあります。
このような新しい体験や多様なおとなとの出会いは、「みんなのへや」をより豊かな場所にしています。

中野東図書館では、2022年以来毎年11月と12月に、「子どもの権利写真展」を図書館との共催で開催しています。世界の子どもたちの写真の展示と、来場者の感想・ご意見を募る参加型コーナーがあります。図書館を利用する皆さんが、自らの権利に気づき、尊重され、社会の一員としてイキイキと活躍できるように、「子どもの権利条約」について広めることを目的としています。来館者からは、「子どものけんりってたくさんあるんだな」「自分の生活の中で『権利』を探してみたい」といった感想が寄せられています。

国内子ども支援の広がりと助成金事業の取り組み
2020年から2025年まで、東京都中野区を中心に地域の子ども食堂や学習支援団体に助成金を提供しました。子ども食堂の多くは、食を通じて子どもたちと保護者の栄養と心とを支えていますが、近年は食材費、光熱費の高騰に課題を抱えています。学習支援団体は、子どもたち一人ひとりの状況や特性に寄り添って学びをサポートしているほか、家庭や学校で課題に直面する子どもを見守るなど、きめ細やかな活動を行っているため、活動資金や人材の確保は常に課題となっています。
このような地域に根ざした子ども支援団体への助成を通じ、子どもたちと保護者が安心して暮らせる環境づくりに貢献しました。行政等による活動支援が充実してきたことから、この活動は終了しました。
2022年からは、特に脆弱な環境に置かれた子どもや保護者を支援するため、全国のDV・虐待被害者等の宿泊型支援等(民間シェルター等)に助成金を提供しています。
国内子ども支援にご関心のある方はこちらから詳細をご覧いただけます。
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令和6年能登半島地震から1年。12月24日までに、子ども2,998名を含む5,249名の皆さまを支援
令和6年元日に発生した地震、そして、9月末の豪雨による甚大な被害から、復興への歩みを進めている石川県能登地方において、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、被災された皆さまが日常を取り戻すため少しでもお役に立つことを願い、行政、地域の教育関係者の皆さま、他の子ども支援団体等のパートナーの皆さまと連携し、子ども支援活動を続けています。

東京都中野区(東部・弥生地域)の放課後の子どもの居場所「みんなのへや」のご案内

11 月 20 日は「世界子どもの日」「中野区子どもの権利の日」 【子どもの権利写真展】 中野区立中野東図書館で開催
世界の子どもを支援する国際 NGO ワールド・ビジョン(事務局:東京都中野区、事務局長中島みぎわ、WVJ)は、11 月 20 日「世界子どもの日」ならびに「中野区子どもの権利の日」に先駆け、子どもの権利について一人でも多くの皆さまに関心と理解を深めていただくことを願い、中野区立中野東図書館との共催により、中野区ならびに同区教育委員会の後援をえて、11 月 1 日(土)~12 月 25 日(木)まで「子どもの権利写真展」を開催しています。
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