【開催報告】開成高校xWVJ 特別講演会「難民問題は、じぶんごと?」
約230名の中高生・大学生が集結!

(2019.04.17)

イベント後半の「中高生向けワークショップ」にて

難民居住地へ渡航した開成高校の話を聞きに約230名の若者が集結!

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、難民問題に高い関心を持ち、同世代に難民問題について広く啓発することを目的として活動する開成高等学校(東京都荒川区/以下、開成高校)の「K-Diffusionors」 と、2019年1月、ウガンダにあるビディビディ難民居住地(ビディビディ)を訪問し、その報告会としての特別講演会を2019年4月7日(日)に開催しました。

約230名の中高生・大学生が集結し、同世代の開成高校生がビディビディで何を見て、何を感じたのかを聞き、「難民問題」をはじめ、世界の出来事に対して、今、日本の若者に何が求められているのかについて、ともに考えました。

フォトジャーナリストの安田菜津紀さん、元国連WFP職員の忍足謙朗さんによるスペシャルスピーチ

前半は、難民問題に深く携わって活躍されているフォトジャーナリストの安田菜津紀(やすだ・なつき)さんと、元国連WFP職員として支援の最前線で活動された忍足謙朗(おしだり・けんろう)さんより、それぞれの専門的観点から話していただきました。

安田さんは、内戦が勃発する前から足を運んでいたためシリアへの想い入れが強く、内戦勃発後、隣国に逃れた子どもたちを訪問した際に目の当たりにしたことや、目の前で苦しんでいる子どもの写真を撮ることしかできない自分への葛藤などを告白。現地での活動中にかけられた「支援は役割分担なのですよ」という言葉に励まされ、今もフォトジャーナリストとしての活動を続けている、と話しました。

忍足さんは、貧困を生み出している最大の原因は「紛争」であることを強調し、報道されずに失われていく命があることを力強く語りました。そもそも貧困状態にある地域で紛争や災害が起きると、「崖から落ちないようにギリギリ耐えていた人がどんんどんと突き落とされてしまう」といいます。そのため、人々が崖から落ちないように、あるいは、落ちても大丈夫なようなセーフティネット(社会保障)を国際社会で用意することが大切だと話しました。

難民居住地を訪問した5人の開成高校生からのスピーチ

現在、17名で構成されている開成高校の「K-Diffusionors」。そのうち、2019年1月にWVJとウガンダにあるビディビディ難民居住地を訪問した5名より、その時の様子や感じたことについてドキュメンタリー動画などを用いて発表しました。

■【ドキュメンタリー動画制作にあたって(開成高校3年生 松田祐和)】

「CFS(Child Friendly Space)という学童のような場所は、難民の子どもたちがサッカーやバスケをしたり歌ったり踊ったりと、笑顔が絶えないところでした。

元々、難民居住地に対してあまり明るいイメージがなく、子どもたちにカメラを向けると冷たい視線が返ってくるといったものを想像していたのですが、実際はそんなことは全くありませんでした。それどころかカメラを向けると近寄ってきて、「もっと撮って!」「撮った写真見せて!」とカメラに興味津々でした。

でも、子ども達にインタビューしていると、両親を殺されたのを見たり、家族に暴力を振るわれると、辛い経験をしていて、「実際に話を聞かなきゃそういうことって分からないんだな」と感じました

講演会の時間の都合上、ドキュメンタリー動画を15分に収めてほしいと言われたので、短い時間で難民の人々の声や自分たちの思いを伝えきれるのかと不安でした。この動画を通して、僕たちが現地で感じたことをみなさんにもできるだけ多く共有できたのならこれ以上嬉しいことはないです」


■【幸せってなんだろう(開成高校3年生 村川智哉)】

「モノに恵まれた日本で生活してきた僕は、ビディビディ難民居住地で精神的な幸せの大切さに気付かされた。それ以来、この答えのない問いについて考え続けている。今も答えには至っていないが、自分の幸せを決められるのは自分だけ。ビディビディで感じたことを大切に考え、悩みながら、これから生きていきたい。そして日本にいる人にも考えてほしい、『幸せって何だろう?』と


■【過去と現在、人と人の「ちがい」(開成高校3年生 中原正隆、森田真介)】

「僕たちはウガンダに行って2つの「ちがい」について考えるようになった。1つは過去と現在の「ちがい」だ。難民として苦しんでいる人々が、生きるか死ぬか、という絶対的に厳しい状況に置かれている場合もある。しかしそれだけでなく、過去の環境、人間関係が突然崩れ去って今に至るという、その「ちがい」の大きさにも苦しんでいることもある。2つ目は人と人との「ちがい」だ。難民として来る人々を受け入れるかどうかは、彼らと自分たちの文化、歴史の「ちがい」をどう捉えるかにかかっている。「ちがい」を拒絶するか、寛容に受け止めるかによって、私たちの未来は変わってくるだろう」

中高生が大学生とともに「難民問題」について考えるワークショップ

講演会の後半では、参加者の中高生が小グループに分かれて「難民問題」について考えるワークショップを開催しました。そこでは、難民問題について学び、研究している大学生約30名がファシリテーターとして場をリードし、講演会を聞いて感じたこと、考えたことを同世代間で分かち合いました。

VR体験コーナー:開成高校生が編集・制作した力作!

「極力リアルで生のビディビディ難民居住地を同世代に伝えたい」という想いから、現地の様子を360度カメラで撮影してきたK-Diffusionors。何十時間という膨大な量の素材を開成高校3年生の森田真介くんが編集し、当日会場にはVR体験コーナーが設置され、多くの来場者が体験しに集まりました。

「難民の子どもが暮らしてる家の中の様子は、絶対に削りたくなかった。VRは長すぎると酔ってしまうので、いかに短い時間の中で現地を再現するかが難しかった」と話す森田くん。

その日初めてVR体験をする中高生も多く、最新テクノロジーの凄さにも驚きの声が上がっていました。

参加者の声

・今までは(難民の人たちは)「かわいそう」「つらそう」と思ったけれど、様々な視点から難民について考え、「なるほどな」と思え、参加して良かった(小学生・女子)

・「行動」をして欲しいという話があったので、5人のように大それたたことはできずとも、まずは1人でも起こせるアクションをとろうと思った(高校生・男子)

・まだ中2なので、団体をつくったりするのは難しいが、もっと現状を知るため他のイベントにも参加してみようと思った(中学生・女子)

・自分の知っている人の実体験という意味でも、じぶんごとのように捉えやすいイベントで、参加してよかった(高校生・男子)

・動画の中にあった、ウガンダの子どもたちからの日本の中高生へのメッセージが印象に残りました。福島から来た甲斐がありました!(高校生・女子)


・日本は思ったより小さい。もっと思いやりの心を持とうと思った。もっと英語を話せる人になりたい(高校生・男子)

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