【スーダン】水衛生分野の緊急対応事業(1期目)が終了しました!

投稿日|2025年4月21日
更新日|2025年4月21日
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支援により修繕した井戸を使う避難民の子どもたち
支援により修繕した井戸を使う避難民の子どもたち

ワールド・ビジョン・ジャパンが、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成、また、皆さまからの募金をいただき、スーダン南西部の南ダルフール州で実施していた、避難民の方々の命を守り感染症リスクを減らすための「緊急水衛生サービス事業」の第1期が2024年11月末に終了しました。

歴史上「アフリカ最長の内戦」、「世界最悪の人道危機」を経験し、既に多くの国内避難民を抱えていたスーダンでは、2023年4月に発生した激しい武力衝突によって新たに800万人以上が国内避難民となりました。以前からの国内避難民を含めると1,150万人で、その数は世界最多です(OCHA2025)。

事業地の南ダルフール州ではスーダン各州で最も多い208万人が、劣悪な環境下での避難生活を余儀なくされています(2025年2月時点)。紛争の影響により給水施設や保健施設が破壊され、国内避難民が急増し人口が過密となった状況で、避難民や周辺コミュニティの住民は安全な水へのアクセスが妨げられていました。衛生環境が悪化し、コレラなどの感染リスクの拡大が深刻な課題となっていました。

事業では避難民キャンプとホストコミュニティ約9,000人に水を供給する水供給システム、避難民キャンプの井戸、共用トイレ、シャワー室等、計304カ所の設備を修繕・新設し、安全な水と衛生設備へのアクセスを改善しました。また、国内避難民800世帯に対して石鹸、バケツ、歯ブラシなどの衛生用品を、思春期・出産適齢期の女性860人には月経衛生管理に必要な尊厳キットを配布しました。

また、衛生意識の向上を推進するプロモーター30人を育成し、感染症の予防と対応のために避難民や周辺コミュニティの住民を対象に手洗い等の正しい衛生習慣の啓発を行いました。不衛生な環境下で病気を媒介する生物の繁殖場所を減らすため、清掃用具を提供してゴミ収集を行う清掃キャンペーンも実施し、地域が今後も継続的に衛生環境改善に取り組むための体制の強化にも貢献しました。

修繕した井戸を使う子どもたち
避難民の世帯に感染症リスクの軽減に不可欠な衛生用品を配布
避難民の世帯に感染症リスクの軽減に不可欠な衛生用品を配布
寸劇も活用し、正しい手の洗い方等を分かりやすく伝える啓発活動を実施
寸劇も活用し、正しい手の洗い方等を分かりやすく伝える啓発活動を実施

事業担当中村スタッフより

スーダン事業を開始した2023年12月には当初予定していた事業地が激しい戦闘に巻き込まれ、スタッフも緊急退避をする事態に陥りました。最終的には、2023年11月にすでに反政府勢力の支配地域となっていた南ダルフール州を事業地として、事業を実施しました。しかし、事業開始時にはスタッフも命がけで事業地に移動するなど危険が伴う状況でもありました。家族が紛争の犠牲者になるなどの悲しみの中で、スタッフ自身も国内での移動ができない状況でした。他にも物価高騰、洪水、食料難、現金不足、支配勢力からの様々な妨害などを乗り越え活動を完了することができました。日々、新たなチャレンジが舞い込んでくる厳しい現実の中、衛星通信のみが唯一のコミュニケーション手段でしたが、何よりも避難し逃げ惑い困難な中にある人々のために奔騰するスタッフの働きに、私自身も日々、励ましをいただき、実施することができました。

南スーダンの避難民の方へインタビューを行う中村スタッフ
南スーダンの避難民の方へインタビューを行う中村スタッフ

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