6月12日は、児童労働反対世界デー

2013.06.03

ゴミを拾い、再利用できるものを売る子どもたち
(アルバニア)

現在、世界では2億1,500万人以上の子どもたちが、児童労働に従事しています。その半数以上の子どもたちは、奴隷のような環境や、売春や麻薬にかかわる違法な労働など、最悪な労働環境で働いています。

児童労働は、子どもが教育を受け、健やかに成長する機会を奪います。

世界では、いまだに多くの子どもたちが児童労働に従事していますが、2000年から2008年の間、その数は約3,000万人減少しました。これは、世界中で取り組めば、児童労働に従事しなければならない子どもの数を減らせることを証明しています。

バスケットを拾って生計を立てていた14歳のフォーター君

ヤンゴン市内の市場で、ゴミ袋の中から再利用
できるものを探す子どもたち

ミャンマーのヤンゴン市内には、再利用できるものを探し、それを売っている子どもたちが多くいます。14歳のフォーター君もその一人でした。フォーター君は、市場へ野菜や花を運んだ後で捨て置かれている、竹で作られたバスケットを探して、売っていました。

5歳で母を亡くし、父はアルコール依存症から病気になって生活費にも事欠くようになったため、フォーター君は5歳で入学した直後に、学校へ通えなくなりました。以前、フォーター君の父親は、工事現場で働いていました。しかし、その給料は、フォーター君を含む5人の兄弟が教育を受けるためには不十分でした。そして、フォーター君の母親が脳卒中で亡くなった後、家族の生活はさらに悪化しました。

「お父さんが兄弟全員の面倒を見ることができなくなったから、お兄ちゃんとお姉ちゃんと一番下の妹は、おばあちゃんと生活することになったんだよ。僕と妹のピューは、お父さんと暮らすことになったんだ」と、フォーター君は当時のことを話します。

家賃も払えなくなり、フォーター君たちは路上で生活せざるをえなくなりました。昼食は、寺院が貧しい人に寄付する食事を、妹のピューちゃんが受け取りに行き、それを3人で分けて食べました。

午後になると、フォーター君は、父親とピューちゃんと一緒に市場に行きます。ピューちゃんが市場の片隅で体を休める父親を看ている間、フォーター君は、ゴミ捨て場からバスケットを探し、それを売り、食料を買いました。ある日の稼ぎは、600チャット(約70円)。このお金で、4杯のご飯を買い、3人で分けて食べるのです。バスケットが一つも見つからない日は、お腹を空かせたまま、何も食べられずに眠りました。

児童労働から抜け出し、将来の夢を実現するために

ストリートチルドレンのための
センターで勉強するフォーター君

市場で働いている時、フォーター君はワールド・ビジョンが運営しているストリートチルドレンのためのセンターのことを友達から聞きました。

「最初はあんまり乗り気じゃなかったんだ。でも行ってみると、どんどん楽しくなった。友達ができて、妹も連れて行くようになったよ。センターのスタッフはとても親切で、忍耐強く僕たちに接してくれる。読み書き、計算や、生きていく上で大切なことを教えてくれる。僕たちは一緒に歌ったり、テレビも見られる。そして何より、1日に2回、美味しいカレーのかかったご飯を食べられるんだ!」と、フォーター君は嬉しそうに話しました。

ワールド・ビジョンが運営するセンターは、フォーター君のように路上で生活し、児童労働に従事している子どもにとっては、オアシスのような場所です。この施設では、子どもたちが失っていた愛情、尊敬や信頼する心などを取り戻すことができます。

フォーター君は父親の了解を得て、ストリートチルドレンだった子どもたちが教育を受け、職業訓練を受けられるシェルターで生活することになりました。そして、妹のピューちゃんは里親と生活することになりました。フォーター君は、ワールド・ビジョンのスタッフに引率されピューちゃんを毎月訪問することになっています。

将来の夢を語るフォーター君

「僕、もう道路の上で生活したくないんだ。夜、市場で眠る時、巡回に来る警察から隠れるのにも疲れちゃったんだよ。だから、しばらくの間シェルターで生活することを決心した。僕は、ちゃんとスキルを身につけて、将来それを活かして生活していけるようになりたいんだ」。今のフォーター君の目には希望の光があります。将来の夢を聞かれたとき、黙り込み、悲しい眼差しを向けていた以前のフォーター君とは違います。

フォーター君のように、児童労働をしている子どもたちを救い、世界中の子どもたちが健やかに成長できるよう、これからもワールド・ビジョンは活動を続けていきます。

チャイルド・スポンサーシップによる支援では、家庭の経済状況を改善することで、子どもたちが働かなければならない状況を改善し、教育の機会を取り戻しています。