ワールド・ビジョンのG20サミットに対する見解

2011.11.08

G20のリーダーたちが途上国の子どもたちのことを覚えて議論するよう訴えたワールド・ビジョンのスタッフ

フランスのカンヌで開催されていたG20サミットは、11月4日、首脳宣言を採択し閉幕しました。閉幕にあたり、途上国の子どもたちの健康に重要な影響を及ぼす食料安全保障と栄養の分野において、G20サミットがもたらした成果について、ワールド・ビジョン(以下、WV)は成績表を作成して評価しました。

メディアや政治による取り上げ方で測れる優先順位によれば、途上国の何百万人もの子どもたちに最も影響を与える課題は、ほとんど注目を集めませんでした。ビル・ゲイツ氏による革新的資金に関する画期的なプレゼンテーションさえも、殆ど報道されませんでした。
G20サミットは、ユーロ圏の債務危機とギリシャの緊縮政策を巡っての国民投票に議論が集中しました。このことについては、サルコジ大統領も最後のコメントで容認しました。

子どもたちを救うためのG20の責任

合同記者会見で発言したワールド・ビジョン・ブラジルのマウリシオ・クンハ

しかし、一次産品の価格変動と農業の改善についての議論がG20サミットに向けて前進したことが、否定されるわけではありません。そして、先進国が援助の公約を履行すべきだということが首脳宣言で強調されたことを、WVは支持します。
一方、食料安全保障をG20サミットの優先課題とするというフランスの強い主張が、明確な行動計画を導くであろうという期待がありましたが、それは実現しませんでした。

歴史的に、G20とG8諸国のリーダーは、サミットの直前に発生した予期せぬ危機により議題を脱線させてきました。今回のサミットは、「カンヌで歴史が書かれる」という野心的なスローガンとは対照的に、予定されていた議題の殆どが達成されないまま終結を迎えました。
2012年のG20の主催国であるメキシコを含めた将来のリーダーたちは、目先の政治的危機を越えた議題にも目を向けることが必要です。

アフリカの角の食糧危機に陥り、食料を求めて避難民キャンプまで8日間歩いたハジャさん(28歳)と子どもたち

G20諸国は、世界で大きな役割を果たしています。だからこそ、すべてのG20の国々が食料安全保障や栄養に焦点を当て、リーダーシップを取る必要があります。G20諸国は、世界の中で以下のような割合を占めています。

世界人口の3分の2
世界の経済活動の80パーセント以上
栄養不良により発育不良になっている子どもの44パーセント
予防・治療可能な要因で命を落としている5歳未満の子どもの約3分の1

飢餓や貧困にある人々を救うのに必要なのは、政治的意志です

ワールド・ビジョンが支援している栄養事業に参加している家族(エチオピア)

このような問題は重要ですが、食料不足のために毎晩お腹空かせて眠りにつかなければならない9億2,500万人の人々や、アフリカの角で日々生き延びるために闘っている1,200万人の人々の窮状は、決定権を持つ世界のリーダーたちが目を向けるに値する問題です。解決策は存在します。しかし、その解決策が実施されるためには、世界のリーダーたちの政治的意志が鍵となります。

魅力的で美しいカンヌという場所と、世界で苦しんでいる人々が注目されていない現実は非常に対照的でした。今回のG20サミットは、世界の課題を解決するための機会を逃したと記憶されるでしょう。しかし、忘れてはいけないのは食料安全保障や栄養、開発の課題は緊急に改善されるべきだということです。この課題を改善することが、各国の経済的成長にも重要な役割を果たすことを、経済を重要視しているG20首脳陣は理解すべきです。

G20カンヌ・サミットに向けた、ワールド・ビジョンの政策提言はこちら

アフリカの角緊急支援の詳細はこちら

ワールド・ビジョンのG20サミットに対する成績表

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