【G8サミット・キャンペーン】G20トロント・サミット閉幕

2010.06.28

G20の成功は、経済指標の改善だけではなく、命が守られ、最も弱い立場にある人々の生活改善を達成できるかにかかっています

エチオピアの親子

27日(日)発表されたG20トロント・サミット首脳宣言に関して、国際NGOワールド・ビジョンは以下の見解を発表しました。

首脳宣言において、G20のMDGs(ミレニアム開発目標)達成へのコミットメントを再確認し、開発課題の議題化のための作業部会の設立に合意したことを歓迎します。また、主要な国際フォーラムにふさわしいアカウンタビリティ向上と、リーダーシップの発揮に期待します。

「自国において、予防・治療可能な要因で多くの子どもや母親が命を落としているならば、どうして自らを責任ある国際社会のリーダーと呼べるでしょうか?政治的意志をもって取り組むならば、救えるはずの命を守ることができることは明らかです」
(ワールド・ビジョン・アフリカ アドボカシーディレクター スーザン・ムバヤ)

「人道的危機であると同時に、経済問題である母親と子どもの生存を確保できるかは、主要なフォーラムとしてのG20の試金石です」
(ワールド・ビジョン・ジャパン 谷村美能里)

今日の世界経済を牽引するG20国において、毎年250万人の子どもたちが、ごく基本的な保健医療サービスによって予防・治療ができる要因により、5歳未満で命を落としています。その数は、世界の年間乳幼児死亡数880万人のおよそ3分の1を占め、トロントの人口に匹敵します。
また、保健は開発課題であるとともに、経済課題であることは、統計からも明らかです。母親と新生児の死亡によって、毎年およそ155億ドルの経済効果が失われており、また栄養不良によって、途上国全体のGNIの3-6%の損失があると言われています。一方、国際保健の投資は、およそ3倍の経済効果をもたらします。

採択された首脳宣言では、「開発と貧困削減は、力強く健全で持続的な成長と活力ある安定した世界経済に不可欠」と述べています。
ワールド・ビジョンは、G20が開発と貧困削減、その中でも特に、数百万人の子どもと母親の生存と健康問題という深刻な人道的・経済的危機に対して、成長と財政再建の両立への取り組みと同じような相互責任をもって取り組むことを期待し、また、今後以下の取り組が必要であると考えます。


1.作業部会は、アカウンタビリティと明確な誓約を担保するべく、常設とされるべきです。
2.G20の全てのメンバー国は、自国におけるMDGs、特に、進捗が遅れている母子保健(MDG4と5)、飢餓(MDG1)の速やかな改善を約束し、責任をもって取組む必要があります。
3.G20メンバー国が各地域、特に、高い乳幼児死亡率を擁する国々に対して、指導力と支援を提供できるよう、作業部会は戦略を策定することが求められます。

【事実】
●南アフリカ:1歳未満乳児死亡率は、1990年の1,000人あたり145人という水準から、2008年には187人と悪化しています。

●インド:熟練した医療従事者の介助により出産する女性の割合は、1995年には34%でしたが、2008年には47%と改善しました。この統計は前進は可能であることを示すと同時に、今もなお、妊産婦保健に関して改善すべき大きなギャップがあることを示しています。

●ブラジル:乳幼児死亡率は、国全体としては改善しています。しかし、アフリカ系ブラジル人、先住民族、低所得者層などの特定のグループでは、乳幼児死亡率の改善が見られない、もしくは悪化しており、社会的不平等が乳幼児死亡率に直接的に影響を及ぼしていることを示しています。

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