【国際NGOの国内子ども支援】ワールド・ビジョン・ジャパンが日本の子どもを支える理由

投稿日|2026年2月27日
執筆者:国内子ども支援

「国際NGOなのに、日本でも子ども支援をしているのですか?」
ワールド・ビジョン・ジャパンで国内子ども支援を担当していると、よくこうした質問を受けます。本記事では、私たちが国内の子ども支援に取り組む理由と、その背景にあるビジョン、現在行っている具体的な活動についてご紹介します。

国内支援・アドボカシー課メンバー
国内子ども支援を担当するスタッフ

なぜ国際NGOが日本の子どもを支援するのか

ワールド・ビジョン・ジャパンは、国際NGOとして主に海外で子ども支援を行ってきた団体です。そのため、国内で活動をする時に、まず苦労するのが団体名を覚えていただくことです。「ワールドさん」「ワービー」「ビジョンさん」など、短めの愛称で呼んでいただくこともありますし、「ビジョン」なので、「眼鏡屋さんですか?」と言われることもあります。
実はこの「ビジョン」の部分にこそ、私たちが国内の子ども支援を行う理由が表れているのです。
私たちは、活動の中心に据えている「基本文書」のひとつとして、次のビジョン・ステートメントを掲げています。

私たちのビジョンは、
すべての子どもに豊かないのちを
私たちの祈りは、すべての人の心にこのビジョンを実現する意志を

ここにある「すべての子ども」には、日本の子どもも含まれています。すべての子どものために働く私たちにとって、国内と国外を隔てる壁は本来ありません。
この考え方が、国内子ども支援の原点です。

震災対応を通して見えた日本の子どもたちの課題

ワールド・ビジョン・ジャパンは、1987年の設立以来、海外の子ども支援を中心に活動してきましたが、日本国内でも、阪神・淡路大震災(1995年)や新潟県中越地震(2004年)などの際に、緊急物資支援を行うなど、その時必要とされることに応える形で、少しずつ活動を続けてきました。 国内支援を本格化する大きな転機となったのが、2011年の東日本大震災です。未曽有の災害により、多くの子どもたちが一瞬で日常を失いました。地域の復旧復興のために、子どもたちを、家庭を、地域を全力で支えることが必要な状況でした。
私たちは、海外の紛争や災害対応で培ってきた経験を活かし、子どもが安心して過ごせる居場所「子どもにやさしい空間(CFS)」の運営や、学校給食・通学・授業再開を支える活動に取り組みました。

災害からの復旧・復興の過程で多くの子どもたちと関わる中で、災害の影響に限らず、日本の子どもたちは本当に「豊かないのち」を生きられているのだろうか、私たちにできることは何か――そう問い直すようになりました。この経験が、現在のワールド・ビジョン・ジャパンの国内子ども支援事業につながっています。

ワールド・ビジョン・ジャパンの国内子ども支援事業とは

紆余曲折と模索を経て、私たちは2020年に「新型コロナウイルス対策子ども支援事業」を開始し、2022年からは「国内子ども支援事業」として本格的に取り組んでいます。目指しているのは、
「国内のすべての子どもが、豊かないのちを生きられる社会づくりに貢献すること」です。そのために、次の2つの視点を大切にしています。

  • 課題によって対象を絞る「ターゲット限定」の取り組み
  • すべての子どもに開かれた「ターゲット非限定」の取り組み

そして、

  • 子どもを直接支える「直接支援」
  • 子どもを取り巻く環境や社会を変える「中間・間接支援」

この両方を組み合わせながら、事業を展開しています。

▼ ワールド・ビジョン・ジャパン「国内子ども支援事業」活動マップ

国内子ども 活動マップ

取り組んでいる5つの活動

現在、以下の5つの活動を行っています。

1つ目は「助成金事業」です。全国のDV・虐待被害者などを対象とした宿泊型支援(民間シェルターなど)に対し、助成金を提供しています。

2つ目は「中野子ども支援事業」です。ワールド・ビジョン・ジャパンの事務所がある東京都中野区で、放課後や長期休み中の子どもの居場所「みんなのへや」を運営しています。今後は、フードパントリーの試行も予定しています。

「みんなのへや」夏休みの夕涼み会の様子 「みんなのへや」夏休みの昼食づくりの様子

3つ目は「全国入学お祝い事業」です。全国の新中学生・新高校生を対象に、入学お祝い金を贈呈しています。2025年は220名の子どもたちが対象となりました。

入学お祝い金で購入したシューズとバッグと本/対象者に贈呈した図書カード


4つ目は「災害時の子ども支援能力強化支援」です。全国の子ども支援団体に向けた災害時の心のケアや居場所づくりに関する研修の実施や、政府への政策提言など、災害時にも子どもを守れる社会づくりに取り組んでいます。

5つ目は「子どもの権利の啓発と実現の支援」です。「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の実行委員団体として、全国の仲間と共に活動しているほか、中野区での啓発活動や多文化共生を学ぶ取り組みも進めています。

地域の中学校で子どもの権利の授業を実施
地域の中学校で子どもの権利の授業を実施

豊かないのちを生きる – 子どもが主役の社会を目指して –

少子高齢化が進む日本社会では、子どもが身近な存在ではないという方も少なくありません。最近の子どもの実状がわからない、大変だと聞いても実感がない、という方もいらっしゃると思います。しかし現実には、子どもたちは貧困、災害、心身の健康に影響を及ぼす様々なリスクにさらされています。子どもの自殺者数は、近年、過去最多を更新し続けています。
子どもたちは、どんな環境、状況にあっても、一人ひとりが、その人生の主人公であり、権利の主体であり、豊かないのちを生きるための「力」を生まれながらに持っています。
厳しい環境の中で、子どもたちの持つその力が、たとえ一時的に弱められてしまったとしても、回復できるように、寄り添い支えること。それが、私たちの目指す「支援」のあり方です。
ここまで便宜上、何度も「支援」という言葉を使ってきましたが、あくまでも子どもたちが持っている力が発揮されるように、同じ社会に生きる一員として「支える」ことが、私たちの役割です。

私たちと一緒にできること

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、国内の子どもたちを支えるため、さまざまな形での参加を歓迎しています。

国内子どもヒーローイメージ

  • 国内子ども支援事業の詳細を知る
  • 寄付という形で子どもたちを応援する

あなたの関心や行動が、子どもたちの未来を支える力になります。

国内子ども支援募金受付中!

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、日本の子どもたちの日常の食事や進学支援を支える募金を受け付けています。
ぜひ、ご協力ください!

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