【シリア】北西部地域で実施している教育事業(3期目)が終了しました!
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長年にわたる紛争や自然災害により、シリア北西部では多くの学校が使用できなくなりました。一方で、国内避難民の流入により子どもたちの数は増え、教育へのアクセスが不十分です。
地域の教育を支える行政機関には十分な資金もなく、子どもたちのため無給で働きつづける先生たちや、学校の遠さや家庭の経済的な事情などの理由で、学校へ通うことをあきらめてしまう子どもたちが多くいます。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金と、日本の皆さまの募金により、2022年10月からシリア北西部で子どもたちの学びを支える支援事業を行っています。2024年から2025年にかけて実施された3期目では、1期目に校舎の修繕と増設を行った学校で、学校の運営を引き続き支援しました。
今回は、現場から届いた受益者の声をご紹介します。
逆境に立ち向かって

サーミル(仮名)はシリアのイドリブ県出身で、19歳です。彼のこれまでの人生は忍耐と困難の連続でしたが、彼は学ぶことへの熱意を失いませんでした。245万人いると言われている、学校に通うことができないシリアの他の子どもたちと同様に、長く続く紛争と、やむを得ずくり返される避難によって、彼の学びは幾度となく中断されました。
サーミルが11歳の時、住んでいた村が激しい爆撃に見舞われました。彼と彼の家族はシリア国内の避難民キャンプへ避難せざるを得ず、その日から、何年にもわたる仮住まい生活が始まりました。
度重なる避難により、家族の経済状況は悪化していきました。サーミルの父が懸命に職を探し、働いて、家族を支えようとしていましたが十分な収入を得ることは難しく、サーミルも学校を中退して、家族を支えなければならなりませんでした。
「生きていて、望むものがすべて与えられるということはありません…。幼い弟たちに食べさせるものさえ買えない日もありました。9ヶ月間学校に通えず、父の代わりに働いて、家族を養わなければいけませんでした」
経済難だけが、サーミルが学校に通えなかった理由ではありません。
転々とする避難生活と、それによる転校で、彼は6年生を何度も留年することになりました。また、彼の住んでいた避難民キャンプから学校までの距離が問題でした。以前はキャンプから最も近い学校でさえ数キロ離れており、サーミルは「長い距離を歩くのがもっとも辛かった。経済的に、近くにある私立学校に通えるわけもありませんでした」と言います。
それでも、貧しさも学校の遠さも、サーミルの教育を受けたいという意志を挫くことはありませんでした。
「家族に一人でも教育を受け勉強する子がいれば、その子が兄弟の勉強を教えることもできます。長男として、教育を受けることは自分にとって常にとても重要なことでした」
しかし、サーミルの父はサーミルの教科書や学用品といった費用をほとんど賄えず、サーミルにとってそれらは贅沢品でした。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、現在サーミルの通っているシリア北西部の公立学校に対し支援を実施しました。

本事業(3期目)では、2校が学校の運営費用、教材や文房具を受け取り、先生と生徒の学習環境が改善されました。
先生たちにはさらに、危機下の教育に関する研修に加え、子どもの保護及びセキュリティに関する研修が行われ、能力向上が図られました。また、PTAの設立を通じて、学校運営への保護者の関与が促進されました。
サーミルは支援校を訪れて、新しい教科書が配られ、通学カバンが支給され、暖房の効いた教室で集中して学びやすい学習環境を見て驚き、教育を受けることへの情熱を新たにしました。彼は仕事を辞め、大学に進学するために再び学校へ通い始めました。
「このプロジェクトは国内避難民キャンプに暮らす多くの学生が、学校に戻る助けとなりました」と支援校の校長は述べます。変化は生徒だけでなく先生たちにも及びました。「日当が定期的に支給されることにより、先生たちは仕事に打ち込めるようになりました。以前は、無報酬で働き、極めて過酷な生活環境に直面していました」と彼は付け加えました。

「この支援がなければ、私は学校には戻れなかったと思います」
そう語るサーミルは、紛争の影響を受けた子どもたちの未来を支えるこうしたプロジェクトの重要性を、身をもって感じており、コミュニティにも教育の重要性を伝えようとしています。
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