【スーダン】水衛生分野の緊急対応事業(2期目)が終了しました!  ―紛争下で暮らす人々に、安全な水と衛生環境を届けて

投稿日|2025年11月27日
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2023年4月、スーダンで大規模な武力衝突が発生して以来、数百万人が住まいを追われ、国内避難民(IDP)の数は世界でも最大規模となっています。避難先ではインフラが損壊し、安全な水や衛生施設を利用できない状況が続いています。

こうした中、ワールド・ビジョン・ジャパンでは、皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成金により、 2024年10月から2025年7月末まで、南ダルフール州で水・衛生の緊急支援を実施しました。

支援により修繕した給水所を使う避難民の子どもたち
支援により修繕した給水所を使う避難民の子どもたち

今回の支援で届けられた成果

安全な飲料水へのアクセス改善:6,500人
家庭用衛生キットを配布:475世帯
水供給システムの修繕:2ヶ所
井戸の修繕:8ヶ所
衛生啓発セッションの実施:5回/参加者延べ6,282人

紛争で破損した水源・給水システムの修復や、衛生習慣の普及など、人々が健康的な生活を取り戻すために欠かせない取り組みを行いました。

安全な水へのアクセス改善

紛争によって水源が破損し、住民は安全な水を得られない状況にありました。事業では、破損した給水施設や井戸の修復を行い、人々が安全な水を利用できる環境を整備しました。

修繕した給水所を使う子ども
修繕した給水所を使う子ども
修繕した給水所を使う子ども

衛生習慣の普及による健康維持

水があるだけでは、生活を守ることは十分ではありません。避難生活では、下痢症や水を介した病気が広がりやすいため、水や物資での支援に加え、正しい衛生習慣が重要です。事業では、手洗い方法や水の安全な取り扱い、病気の予防方法など、日常生活にすぐに活かせる知識を伝えました。

演劇セッションで衛生習慣の重要性のメッセージを伝えました
演劇セッションで衛生習慣の重要性のメッセージを伝えました
清掃キャンペーンの様子
清掃キャンペーンの様子

受益者の声

ワールド・ビジョンのスタッフは、支援地域のキャンプで妻と7人の子どもと暮らすアブドゥルラフマン・アブダラ・イドリスさん(43歳)に話を聞きました。
支援前、家族が利用できる水源は1km離れており、往復で約2時間かかっていました。また、水の購入価格も高騰し、生活を圧迫していました。アブドゥルラフマンさんはこう話します。
 「水を汲む列がとても長く、子どもたちはよく学校に遅刻していました」
今回の支援によって、自宅近くの給水ポイントから10分以内で安全な水を得られるようになりました。
 「生活は本当に楽になりました。手工芸品づくりやほかの仕事に時間を割けるようになりました」
さらに彼は、水管理委員会のメンバーとして誇らしげにこう続けました。
 「委員会では、各家庭からの拠出金と水道料金を積み立てて、給水システムの維持管理に充てています」
そして最後に、
 「私たちのコミュニティに希望と尊厳を与えてくれたワールド・ビジョンに心から感謝します」と。

修復した給水ポイントの壁面
修復した給水ポイントの壁面

事業担当スタッフ土原より

今回スーダン事業を担当する中で、私が強く感じたのは、「どこに生まれても、私たちは皆、毎日を懸命に生きている」ということです。東京で暮らす人たちも、事業地スーダンで避難生活を送る人たちも、置かれた環境は違っていても、「大切なものを守りながら生きたい」という思いは変わりません。日々届く現地スタッフからの報告からも、同じことを強く感じています。
厳しい状況が続く中、一人でも多くの人に支援を届けようと奮闘する現地スタッフの姿には私自身が多くの励ましを受けています。そして、アブドゥルラフマンさんが語った感謝の言葉は、日ごろからワールド・ビジョンの活動を支えて下さる皆さまに向けられたものです。心から感謝申し上げます。



 

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