ワールド・ビジョン・ジャパン理事/元東京女子大学学長 湊晶子さんが届けるベトナムのリンちゃんのストーリー
クリスマスまでに1000人の少女のチャイルド・スポンサーを募集しています
ベトナムに住むリンちゃんのストーリー
この手紙はフィクションではなく、一人の女の子の実話です。彼女たちの声を聞いてください。

私は 15 歳のリン、ベトナムに住んでいます。
私の家族は、ずっと兄だけが特別でした。
お父さんは「家を支えるのは息子である」と、信じていました。
食べ物も新しい服も、いつも兄が先。
けんかをしても、悪くなくても、叱られるのは女の子の私でした。
私は悔しくて、心を閉ざしていきました。
小学校 6 年のとき、ワールド・ビジョンのスタッフが村に来て、
チャイルド・スポンサーシップの支援が始まりました。
私は子どもクラブで「女の子にも価値があること」,
「意見を言ってもいいこと」,「大切にされるべき存在であること」を
学びました。
同じ頃、両親も家族のあり方を学び、
今では、私の夢を応援してくれるようになりました。
私は将来、大学に進みたいです。
そして、私と同じように苦しんでいる女の子たちを励ましたい、と
願っています。
リンより
湊晶子さんからのメッセージ

希望をつなぐ社会へ
差別の中に置かれながらも、前を向いて生きたいと語るベトナムの 15 歳の少女リンちゃんのお話を聞き、胸が熱くなりました。
「女の子にも価値がある」「意見を言っていい」「大切にされる存在である」――その当たり前の事実に気づき、言葉にできるようになったことを、とても嬉しく思います。
私は今、93 歳です。リンちゃんと同じ 15 歳だったのは、もう 78 年も前のこと。
当時の日本は、女性が男性と同じように学び、働くことが難しい時代でした。
「男女雇用機会均等法」が整い、女性が当たり前に働けるようになったのは、40 年前。
私はすでに 53 歳になっていました。
それまでに味わった悔しさや、不条理や、諦めそうになった日々を今も覚えています。
それでも、自分の人生を生きたいと願い、歩き続けてきました。
だからこそ、リンちゃんに伝えたいことがあります。その思いを実現するまでには、きっと長く険しい道のりが続くでしょう。
けれど、リンちゃんの一歩は未来を動かす力になります。
どうか、希望を手放さずに歩いてください。
私は戦前戦中戦後 93 年間生きてたくさんお話ししたいことがありますが、2 つ選ばせていただきます。
ひとつ目は、「出る杭を打つのではなく、育てる社会をつくってください。」
人と違う声をあげる人を排除するのではなく、支え、尊重する社会でなければ、未来は変わりません。
ふたつ目に、平和や教育は、決して当たり前ではないということ。
私は戦火を逃げ惑いながら生き延びた経験があります。
だからこそ、今も教育を受けられない子どもたちのことを思うと胸が痛みます。
今、ワールド・ビジョンをはじめ、皆さまが必死に希望を届けようとしています。
どうか、一人でも多くの方が関心を寄せ、行動につなげてくださることを願っています。
1000 GIRLSプロジェクトにおけるワールド・ビジョンの取り組み

途上国では、多くの女の子たちが、児童婚や暴力、教育の機会を奪われる厳しい現実に直面しています。厳しい貧困の中、娘を早く結婚させることで生活の負担を減らそうとすることも少なくありません。ワールド・ビジョンは、女の子たちが夢を抱いて生きられるよう、学校や警察、宗教リーダーと連携し、地域住民に対して児童婚がもたらす影響や教育の重要性、ジェンダー平等の理解を広める啓発活動を行い、児童婚を未然に防ぐ仕組みづくりを強化しています。
特に経済的に困難な家庭には生計向上の支援を行うことで、女の子たちが安心して教育を受けられる環境を整えています。
これらの取り組みを通じて、地域住民や女の子たち自身の考え方や行動にも少しずつ変化が生まれています。
子どもの保護
暴力や虐待、児童婚から女の子を守ります。少女たちに「暴力は当たり前ではない」と自らの権利を伝え、有害な慣習を変えられるよう地域全体に啓発を行います。
教育
女の子が学校に行けるよう家族や地域に働きかけ、学用品の支給などを通して学びを支えます。十分な教育を受けた女の子は、貧困から抜け出すことができます。
水衛生
井戸を設置することで、水汲みの負担から女の子を解放します。生理の時にも学校を休まなくて良いように、学校の女子トイレを整備します。
生計向上
畜産・農業の支援や職業訓練などを通して、家族が安定した収入を得られるようになることで、家計の負担を減らすための早すぎる結婚を防ぎます。
1000 GIRLSプロジェクトとは
世界には“女の子”であるという理由だけで、
未来を閉ざされてしまう子どもたちがいます。
1000 GIRLSプロジェクトとは、
早すぎる結婚や性的搾取、暴力などにより、
未来をあきらめかけた少女たちに
「学ぶ権利」と「夢見る力」を取り戻すための取り組みです。
クリスマスまでに、1000人の少女のチャイルド・スポンサーを募集しています。