ケニア駐在員のマジでピーな話
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ジャンボ!(スワヒリ語でこんにちは)
ケニア駐在員の遠藤です。

私が住んでいるケニアではスワヒリ語が国語として話されており、旅行ガイドブックなどを見ると「ジャンボ!」と挨拶しようと書かれています。
他に「ハクナマタタ(なんとかなるさ)」や「ポレポレ(ゆっくりいこう)」といった言葉は日本でも割と知られているスワヒリ語です。
ただ「ジャンボ」や「ハクナマタタ」は日常生活ではほとんど使わず、ナイロビでの挨拶は「ハバリヤコ?」や「ササ?」等のフレーズがケニア人同士では使われています。
駐在開始当初、ガイドブック片手にドヤ顔で「ジャンボ!」と挨拶していましたが、ケニア人の同僚に言わせるとジャンボと挨拶する人を見ると観光客感丸出しでぼったくりの格好の餌食になるとのことでした。
ケニアに来る機会があれば、玄人顔で「ハバリヤコ?」や「ササ?」と言ってみてください。
因みに「ポレポレ」はよく使われ、事業に必要な手続きが遅れたりして、文句を垂れていると「ポレポレ」とたしなめられたりしています(笑)
スワヒリ語には日本語に聞こえる言葉も多く、「タコ(お尻)」や「バラバラ(道)」という言葉もあります。
スワヒリ語で水は「マジ」と言い、日本人的にはマジ!?と思ってしまいますよね。
スワヒリ語はケニアの国語ですが、ケニア国内には50を超える民族グループがあり各民族が固有の言葉を持っています。
また、英語も公用語として認められていてケニアの教育プログラムは英語で行われます。
そのため、多くのケニア人は自分の民族の言語、スワヒリ語、英語を話せるトリリンガルです。
ワールド・ビジョンが事業を行っているケニア西部にはルオ族が多く住んでいて、ルオ語が話されています。
ルオ語で水は「ピー」と言います。
このブログのタイトルの「マジでピーな話」は日本語で理解しようとすると怪しげですが、つまりケニアの水のお話です。

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は2023年から外務省日本NGO連携無償資金協力の助成や皆さまからの寄付を受け、2026年8月までの予定でケニア西部ビクトリア湖沿いのホマベイ郡で水・衛生改善事業を行っています。
ケニアにおける清潔で安全な水へのアクセスに関する問題は深刻で、国平均で清潔で安全な水へのアクセスを持つ人の割合は59%、トイレへのアクセスを持つ人の割合は29%です。
都市部と地方の格差も深刻であり、事業開始時に行ったベースライン調査によると事業地の住民のうち清潔で安全な水へのアクセスを持つ世帯の割合は7.9%、トイレへのアクセスを持つ世帯の割合は14.1%でした。
多くの住民はビクトリア湖から水を汲んで使用しており、屋外排泄も根絶できていません。
適切に管理されていない衛生施設から流れ出る排泄物は雨によってビクトリア湖に流れ込み、その水を適切に処理することなく人々が口にすることで下痢症やコレラ等の水由来の感染症にかかってしまう恐れがあります。
また、水汲みは伝統的に女性や子どもの仕事とされています。重たい容器を抱えて長時間歩く必要があり、清潔で安全な水へのアクセスを持たないことは女性の社会進出を阻んだり、子どもの勉強時間を奪ったりする要因にもなります。

本事業では外務省脱炭素技術海外展開イニシアティブに登録されているヤマハ発動機株式会社様のヤマハクリーンウォーターシステム(YCW)を3か所のコミュニティに設置し、YCWで製造した清潔で安全な水を各コミュニティに4か所のウォータ-キオスクと呼ばれる給水所に延伸しています。
YCWの維持管理は現地コミュニティの代表者で構成された水管理委員会が行います。給水所では20Lあたり5ケニアシリング(約6円)で水を販売しており、売り上げの一部は将来的に修理が必要になったときのための資金として積み立てられています。

しかし、コミュニティに安全な水を届けても、その水を使ってもらわなければ意味がありません。目の前には広大なビクトリア湖が広がっており、無料で水を汲むことができる状況に置かれながら、コミュニティの人々にお金を出して水を買ってもらえるように考え方を変えてもらうことは思ったよりも大変です。
ここでも、水管理委員会や他のコミュニティのメンバーが中心となり世帯訪問や口コミなどで、処理されていない水を飲むことのリスクやYCWの水の品質に関する情報を広げています。WVJも水衛生に関する啓発イベントを開くなど、コミュニティと協働して行動変容を促進しようとしています。
先日、事業のモニタリングで給水所を訪れた際、ちょうど水を買いに来ている女性と会いました。話を聞くと15km離れた場所に住んでいて、遠方に用事があったので帰りがけに給水所で水を買いに来たとのことでした。
その女性の家の近くには小川が流れているそうなのですが、口コミで本事業の給水所が販売を開始したこと、飲み水に適していることを聞きつけて、毎日は来られないけれど通るたびにまとめ買いしているそうです。
家の近くの飲めない水より、遠くても安全な水を買おうという意識の変化を垣間見ることができました。
彼女の住む地域は本事業ではカバーしていない地域ですが、支援の影響が少しずつ波及していることが分かり少し安心しました。

まだまだ現場のニーズは膨大で、事業終了までに取り組まなければならない課題は山積みですが、コミュニティのひとりひとりの生活の小さな変化にも目を向けながら大きな成果を生み出すことができたらよいなと思います。
2025年10月25日 水支援のためのチャリティイベント 東京・豊洲で開催!

途上国の子どもたちが、水を手にいれるために歩く1日あたりの平均距離は6キロ(6K)。世界では、毎日6キロもの道のりを歩いて水を汲みに行く子どもたちがいます。「GLOBAL 6K for WATER」は、そんな子どもたちに清潔な水を届け、命を守り、人生に変革をもたらすことを目指した、「6キロ」を思い、歩く、走るチャリティイベントです。
※受付終了しました。
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