もう一度立ち上がる力を②
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2023年2月6日、シリア北西部は大地震に見舞われました。国連人道問題調整事務所によると、現在までに4,500人以上の方が亡くなったといわれています*1 が、重機などが不足していてがれきの撤去が進んでいないため、死者の数はまだ増えるとみられています。
*1 “North-west Syria Situation Report”, 14 April 2023, 3ページ
朝方に地震の揺れを感じたとき、ワールド・ビジョンの同僚でシリアにいるエンジニアのアフメドは、一瞬それが地震だとは思わず、空爆か、近くに砲弾が落ちたのだと思ったそうです。奥さんや3人の子どもたち、そして同居している自分の母親を連れて廊下に出たところで地鳴りとともにさらに強い地震が襲ったため、足の不自由な母親を含め家族全員を連れて一目散に住んでいるアパートの外に飛び出しました。揺れが永遠に続くのではないかと思えるほど、長く感じたそうです。

一家は車の中に避難しましたが、停電による暗闇の中、立て続けに起こる余震で付近の建物から壁が崩れ落ちる音を、家族みんなでなすすべもなく聞いていたと言います。夜が明けて回りの様子が見えてくるにつれ、地震の被害の大きさに驚愕したといいます。
その日から余震が続いたしばらくの間、彼は家族とともに国内避難民キャンプの中にあるお兄さんの家に身を寄せました。なぜならキャンプの中にある家は「建物」と呼ぶには程遠い造りの簡素なものが多く、そこにいたほうが安全だったからです。
夜が明けると、アフメドはワールド・ビジョンの同僚たちと一緒に地震の被災者たちを回り、物資を配るなどの支援を始めました。地震発生後、無我夢中で支援活動を行いましたが、支援のニーズは大きいのに物資が不足していることに打ちのめされ、さらに知り合いの訃報を耳にすることも多く、2週間ぐらいはつらく悲しい日々が続いたと言っています。彼自身も、トルコで難民生活を送っていた妹一家と地震発生以来連絡がつかなくなり、一家ともども遺体となって発見されるまでの5日間、心配で気が気ではなかったそうです。そういう気持ちを抱きながら黙々と仕事を続けていることを、私は後から知りました。

私たちが昨年「マイルストーン・プロジェクト」事業で修復した学校でも、3校でひびなど地震の被害が確認されましたが、幸い軽微な損傷で済み、授業に支障をきたすようなことはありませんでした。近いうちに修復を行う予定です。

教育局によると、シリア北西部とトルコを襲った今回の地震によって、シリア北西部では学校に通っていた390人の子どもたちと、43人の教員が命を落としました*2 。また、この地域の学校2校が倒壊し、549校が損傷を受けました*3 。23万人の子どもたちに影響がおよんでいます*4 。
*2 “Situation and Structural Assessment Report of the Schools Buildings Following the Destructive Earthquakes”, Education Directorate of Northwest Syria, 2ページ
*3 同上、4ページ
*4 同上
地震により、学校修復のニーズが高まったことは目に見えています。地震に気を落とすことなく、シリア北西部の子どもたちのために、私たちにできることを行いたいと思っています。今年もマイルストーン事業では、修復を行う際に学校の敷地や建物の構造が許す限り教室の増築などを行い、国内避難民の増加により不足している教室の確保に努めます。
エンジニア・アフメドはこう言っています。「昨年マイルストーン事業で4,000人近くの子どもたちに安全な教育の場を提供することができ、対象校の子どもたちは教育を続けられるようになったことで将来を生き抜く力を得ることができるようになりました。ご支援くださったお一人おひとりにお礼をお伝えしたいです。どうかこれからも、より多くのシリア北西部の子どもたちが教育を受けられるよう、覚えていてください」
シリア北西部に住む人たちは、今も続く空爆や戦闘に加え、大地震にも見舞われてしまいました。悲しく、苦しいながらも立ち上がろうとしています。学校に通う子どもたちだけでなく、先生たち、そして子どもの将来を見守る大人たちがこの悲しみから立ち上がり希望を抱くことができるよう、皆さまからお預かりしたご支援を現地に届けたいと思います。
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