なぜ6km歩くのか?水問題と子どもたちの現実を体験する意味

投稿日|2026年5月12日
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途上国の子どもたちは、水を手に入れるために毎日平均で約6kmを歩いています。
この6kmという距離を体験するチャリティイベントが「GLOBAL 6K FOR WATER(グローバル シックスケイ フォー ウォーター)」です。
では、なぜこの「6km」を体験する必要があるのでしょうか。
バングラデシュで水事業に携わる担当者と、日本で教育に関わる担当者の視点から、その意味を考えます。

現地と日本、それぞれの視点から

バングラデシュ駐在 プログラム・コーディネーター 李 義真
事業地のあるコミュニティの皆さんと李スタッフ

バングラデシュ駐在 プログラム・コーディネーター  

李 義真

2021年2月から2023年4月までカンボジア駐在。2023年7月からバングラデシュ駐在。
給水支援を含む水・衛生環境の改善事業に携わっている。

ワールド・ビジョン・サマースクールにて。左から2番目が松本スタッフ

グローバル教育担当

松本 謡子

国際協力への関心を喚起し、参加を促すグローバル教育を推進している。

6kmは、生きるための距離

水の入った18kgのバケツを担いで、6kmの道のりを歩く
水の入った18kgのバケツを担いで、6kmの道のりを歩く
ロープでバケツを井戸の中に降ろし、井戸の中の水をすくう
ロープでバケツを井戸の中に降ろし、井戸の中の水をすくう

「6kmという距離は、どんな状況にあっても、一人の人として日々を生き抜くんだ、という思いや覚悟が映し出される距離、だと感じます」
現在、バングラデシュで水・衛生環境の改善事業に携わっている李は、そう語ります。
しかし、その6kmは決して単純な道のりではありません。
丘を越え、大雨の中を進み、時には川を渡りながら、清潔な水を求めて歩き続けます。
ようやくたどり着いても、水が出ない、汚れている、使えない――そんなことも珍しくありません。
また、李が駐在するバングラデシュの事業地では、水汲みは約95%のケースで女性や女の子の役割とされており、子どもたちの負担となっています。

水が奪うものは、命だけではない

水溜まりから不衛生な水を汲む女性

「水がないことで最も深刻なのは、時間と機会の損失です。」
水を得るための時間や労力、そして不衛生な水による病気。
それらは、教育や収入、人生の選択肢といった、多くの可能性を奪います。
「“水はいのち”と言われますが、それは身体だけでなく、人生の質や尊厳という意味での”いのち”も含んでいると思います。」

水が届いたとき、最初に変わるもの

蛇口から流れる水に触れ、楽しそうに笑い合う子どもたち
蛇口から流れる水に触れ、楽しそうに笑い合う子どもたち
水のある日常が、子どもたちの笑顔を生んでいる
水のある日常が、子どもたちの笑顔を生んでいる

では、水が届くと何が変わるのでしょうか。
「最初に感じる変化は“笑顔”です。」
健康状態が改善されるだけでなく、
「できること」が増え、生活に希望が生まれます。
それは、単なる生活改善ではなく、未来の広がりでもあります。

6kmは、子どもの未来を奪う距離

水を汲みに行くため、1日に何度も往復することもある
水を汲みに行くため、1日に何度も往復することもある
大人が付き添わないため、安全を守るために子どもたちはいつも仲間と一緒に歩いている
大人が付き添わないため、安全を守るために子どもたちはいつも仲間と一緒に歩いている

一方、グローバル教育を担当している松本はこう語ります。
「6kmは、子どもたちの学ぶ時間や遊ぶ時間、子どもらしく過ごす時間を奪う距離です。言い換えれば、“子どもの権利”を奪う距離です。」
水問題は、健康だけでなく教育そのものに直結する課題なのです。

なぜ“体験すること”が必要なのか

「聞いたことは忘れる、見たことは覚える、やったことは分かる。」という言葉があるように、自ら体験したことは記憶の80%以上が残ると言われています。
松本は、体験の重要性をこう説明します。
実際に6kmを歩くことで、
それは単なる知識ではなく、自分の中の“物語”になります。
李もこう続けます。
「体験することで、異なる感覚が働き、よりリアルに想像できるようになります。」

ジェリカンの重さが教えてくれること

「思っていたより重い!」と驚きの声があがる水汲み体験

ジェリカン(水を運ぶタンク)を持つ体験も、大きな意味を持ちます。
「水の重さや大変さを感じるだけでなく、当たり前に水を使えることへの気づきにつながります。」

さらに松本は問いかけます。
「これを一度だけではなく、毎日、何度もできるでしょうか?」
実際に、1日に何度も水汲みを行う子どもたちもいます。

日本で6kmを歩く意味

昨年のGLOBAL 6Kでの参加者の様子

「日本で6kmを歩くことは、“当たり前ではない”という感覚を育てる機会になります。」
李はそう語ります。
そしてもう一つ大切なのは、

「困難な状況でも生きている人々の強さやたくましさに思いを馳せること」

ただの同情ではなく、理解と尊重につながる視点です。

“知る”から“行動”へ

サマースクールの様子。支援地で使用されていたジェリカンを持ちあげている。
サマースクール

教育現場では、体験が行動につながる場面も見られています。
水汲み体験を行った子どもたちが、自主的に募金活動を始めた例もあります。
「体験は、知識を行動へと変える力を持っています。」

あなたの6kmが、未来を変える

最後に、二人からメッセージです。
「G6Kに参加するという決断自体が、とても意味のあることです。その体験を周りに共有することで、大きな変化につながると信じています。」
「些細なものでもいいので、自分の人生とのつながりを見つけてほしいです。」
6kmは、遠い国の話ではありません。
その一歩が、未来につながります。

GLOBAL 6K FOR WATER
その一歩が、命をつなぐ水になる。

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