教育問題に対して募金しよう|世界や日本の教育支援の現状や取り組みを解説
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この記事でわかること
世界では2億4,400万人の子どもが学校に通えず、特にサハラ以南のアフリカ地域で深刻です。ワールド・ビジョンは、校舎の建築・修復、教員の養成・研修、教育の重要性を伝える啓発活動などを通じて、すべての子どもが質の高い教育を受けられるよう支援しています。
世界では、教育に対してさまざまな課題があります。貧困により学校へ通えない子どもや、紛争の影響で教育を受ける機会を失ってしまった子どもたちがいます。また、男女格差によって、教育を受けられない女の子も多くいる状況です。
こうした教育に対しての課題は、その国の力だけでは解決できないこともしばしばあります。そこで先進国や国連、国際NGOといったあらゆる組織が支援を現在も実施している状況です。本記事ではこうした世界の教育の問題への取組みや、募金と支援活動の実態について解説していきます。
世界の教育の背景と現状

世界中で募金を必要とする教育現場の現状や、背景を見ていきましょう。
世界で2億4,400万人もの子どもたちが学校に通えていない
ユニセフの統計によれば、2021年時点で学校に通えていない6歳から17歳の子どもたちは、なんと2億4,400万人にものぼるとされています。年齢ごとの内訳は以下のとおりです(注1)。
年齢 | 人数 | 人口に対する割合 |
---|---|---|
6~11歳 | 6,700万人 | 約9% |
12〜14歳 | 5,700万人 | 約14% |
15〜17歳 | 約1億2,100万人 | 約30% |
上記の表を見ると、年齢が上がるほどに就学率が下がっていることが分かります。15〜17歳、つまり中等教育の後期に相当する年齢の子どもは、世界の約3人に1人が学校に通えていません。
また、6〜11歳という初等教育の年齢でも、約9%の子どもが学校に通えていないことが分かります。こうした子どもたちはアフリカ地域に集中しており、特に以下の国は小学校に通えない子どもの割合が極めて高いことが問題視されています(注1)。
国名 | 小学校に通えていない子どもの割合 |
---|---|
南スーダン | 62% |
赤道ギニア | 55% |
エリトリア | 47% |
マリ | 41% |
なお、サハラ以南のアフリカ地域では、学校に通えない子どもが増加傾向です。2009年以降、学校に通えない6〜17歳の子どもは2,000万人も増加。2021年時点では世界で学校に通えない2億4,400万人のうち、9,800万人(約40%)がサハラ以南のアフリカ地域に住む子どもだとされています(注1)。
教育問題の原因や背景
では、なぜ世界には学校へ通えない子どもたちが多くいるのでしょうか。その原因は、主に以下のとおりです。
- 家が貧しく学校に通わせられない(子どもに労働させなければ生活ができない)
- 紛争や天災などにより学校へ通えなくなった
- 「学校へ行かせる必要がない」という考えが残っている
- 学校が遠い など
特に多いのは、一つめの、貧困により教育を受けられない子どもです。世界には、その日食べるものを得るだけで精一杯の暮らしをしている人々が多くいます。その結果、学校へ通えず労働に従事する子どもや強制的に結婚させられる子どもが後を絶たないのです。
紛争や天災、感染症といった外的な要因で学校が破壊されてしまい、教育が受けられなくなる子どもも多くいる状況です。また、学校へ通えない子どものうち半数以上が女の子だというデータもあります(注2)。
この背景には、「女の子は早く結婚して家事をすれば良い」といった考え方がいまだに強く根付いている地域が少なくないという現状があります。
募金でできること

世界では、いまだに数多くの国が教育問題を抱えています。こうした問題を解決するために必要となるのが、皆さまの募金です。教育への募金は、校舎や教材といった設備、教員の育成、学校運営のシステム化など、さまざまな用途に使われます。
また募金をすることで、子どもたちにはあらゆる良い影響があります。では、こうした問題に対して私たちが募金することで、どのような影響があるのかを見ていきましょう。
子どもたちを労働から救える
教育に対して募金をすると、子どもたちを労働から救うことができます。世界には学校へ通えないだけではなく、幼いうちから働かざるを得ない子どもたちが少なくありません。ユニセフの統計によれば、児童労働に従事する5〜17歳の子どもは、2020年時点で約1億6,000万人います。これは世界の子どもの10人に1人に相当する数字です(注3)。
また、そのうちの7,900万人は、「最悪の形態の児童労働」と定義される以下のような労働を強いられています。
- 健康、安全、道徳面で有害な可能性が高い危険な労働
- 心身の発達を阻害する労働
- 人身売買や子ども兵士の徴用、強制労働
こうした労働で、精神や心を傷付けられている子どもが多くいるのです。募金で子どもを学校に通うことができるようになると、こうした状況に苦しむ子どもを減らすことができます。
子どもたちを貧困から救える
子どもたちがきちんと教育を受けられれば、将来的に貧困に苦しむリスクからも救うことができます。貧困は連鎖するといわれており、貧しい家庭に生まれた子どもは幼少期から労働力として働かざるを得ません。その結果、読み書きをはじめとする教育が受けられないまま育ちます。
教育を受けられないことにより、生活に必要な知識や技術が身につけられず、将来の選択肢が狭まることになります。その結果、自身の親と同様に貧しい生活を繰り返すことになるかもしれません。これがいわゆる「貧困の連鎖」です。
募金をすることで、貧しい家庭の子どもも学校へ通えるようになり、その子の将来の選択肢を増やすことができます。
地域全体の発展に貢献できる
募金で教育を受けられる子どもが増えれば、その地域全体の発展にも貢献できます。十分な教育を受けた子どもが多いコミュニティでは、それだけ技術や文化、産業も発展していきやすいでしょう。
また、学校そのものも、地域発展の場として非常に重要です。学校は子どもや教師、親、地域住民などさまざまな人が交流するコミュニティの一つです。こうした場所が機能することで、地域がより発展していきます。
教育問題に対する募金活動や取り組み

今日も世界中で、教育問題に対する募金や支援活動が行われています。ここからは、教育問題への募金を受けて、どのような支援活動が行われているのか見ていきましょう。
世界で行っている教育問題への募金や支援活動
世界では国連をはじめとするさまざまな組織が、すべての子どもたちが教育を受けられるように活動しています。国連で採択されたSDGsの目標4は、「質の高い教育をみんなに」を目標としています。
この目標を達成すべく、ユネスコでは未就学児童が多いアフリカに着目しています。特に高等教育を強化すべく、学校を立ち上げました。また教育の男女平等を推進するため、200カ所にわたる州の法律を分析しました(注4)。そして「ユネスコ教育差別禁止条約」の締結という形で、教育差別をせず、すべての子どもたちが教育を受けられるように推進しています(注5)。
また、難民を守る国連UNHCR協会が支援する約1,990万人のうち、約740万人が学校へ通う年齢の子どもたちです。特に難民の子どもたちの未就学率が高く、大きな課題です。
こうした中、国連UNHCRは現金給付支援や教員育成のための研修の実施や、安全に学習ができる教室の設置などを行っています。デジタル機器を使用した教育にも積極的に取り組み、教育の質向上を目指しています(注6)。
日本における教育支援や取り組み
日本では昭和時代初頭にはすでに小学校の就学率は100%を達成しています(注7)。しかし学費や学用品費用、修学旅行の費用などを捻出する余裕がない家庭も少なくありません。
こうした世帯に対し、日本では以下のような教育費負担制度を設けています(注8)。
- 幼稚園就園奨励費補助等
- 義務教育の無償
- 義務教育教科書無償給与
- 就学援助
- 特別支援教育就学奨励費
- 児童手当
- 高校就学支援金制度
- 高校生等奨学給付金 など
さらに大学でも奨学金制度を導入して授業料を減免できるなど、経済状況にかかわらず教育を受けられる体制を整えています。
ワールド・ビジョンの取り組み
ワールド・ビジョンは、世界中の子どもたちが適切な教育を受けられるよう活動しています。2022年度は、37カ国185事業を実施しました。
ワールド・ビジョンではその地域に応じたさまざまな教育支援を実施しています。なかでも「チャイルド・スポンサーシッププログラム」は皆さまの募金により、子どもたちへ支援を行うプログラムです。
教育分野の支援活動として地域のリーダーや保護者を対象とした啓発活動を実施。教育の重要性を伝え、子どもたちが教育を受けられるように働きかけます。また、教育施設・備品の整備や、教師へのトレーニングを行うのもチャイルド・スポンサーシップの特徴です。
ただ金銭的な支援をするのではなく、その地域に住む子どもたちが教育を受けられる体制作りのサポートを実施し、学校に通いやすい環境が整うよう、おとなたちへの啓発活動にも力を入れています。
こうした取り組みの結果、例えばマラウイのクーユ地域では、教師1人あたりの生徒数は平均98人から54人に、1教室あたりの生徒数は119人から56人にまで改善。結果として、小学校就学率が向上し、大学に進学する子どもたちも増えました。
募金で教育問題の解決に貢献しよう

世界には募金による支援を必要としている子どもたちが多くいます。私たちが募金することで、学校へ通える子どもや教科書を手に入れられる子ども、学校給食を食べられる子どもが増えるのです。
私たちの活動に共感いただけるのであれば、ぜひチャイルド・スポンサーシップにご協力ください。1日あたり150円の募金で、1人の子どもの未来が大きく拓きます。
報告書や支援を受けた子どもからの手紙をお届けすることによって、支援の成果を実感いただけます。私たちと一緒に、より多くの子どもたちの未来を作りましょう。
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