ロヒンギャ問題に぀いお考えよう

投皿日2025幎3月27日
曎新日2025幎6月12日
  • 貧困

  • バングラデシュ
  • ミャンマヌ
  • 貧困

この蚘事でわかるこず

ロヒンギャは迫害によりミャンマヌから逃れ、珟圚91䞇人以䞊がバングラデシュのキャンプで過密な生掻を匷いられおいたす。難民ずしおの暩利も認められず、移動や生蚈の自由も制限されおおり、支揎の集䞭により地域ずの摩擊も発生。圌らの尊厳ある生掻ず垰還支揎が求められおいたす。

ロヒンギャず呌ばれる人々がいたす。100䞇人を超える人々が䜏み慣れた土地を远われ、難民キャンプなどで䞍自由な生掻を䜙儀なくされる状況が続いおいたす。ロヒンギャずはどのような人々なのでしょうか。圌・圌女らが抱えおいる問題ず、日本政府や揎助機関による支揎内容、ワヌルド・ビゞョンが行っおいるプログラムなどに぀いお解説したす。

ロヒンギャずは

2019幎9月珟圚、91䞇人を超えるロヒンギャず呌ばれる人々がバングラデシュの南端、コックスバザヌル県のキャンプで暮らしおいたす泚1。ロヒンギャずは、どのような人々なのでしょうか。

ロヒンギャは、珟圚のバングラデシュ・チッタゎン地域の方蚀に近いロヒンギャ独自の蚀語文化を持぀民族です。その倚くがむスラム教を信仰し、独立以前のむンドのベンガル地方珟圚のむンド西ベンガル州ずバングラデシュ呚蟺地域を出自ずし、その集団の起源は600幎前たで遡るこずができるず蚀われおいたす。

珟圚のミャンマヌ・ラカむン地域に倚くが居䜏しお䞀定の地䜍を埗おいた時代を経お、第2次䞖界倧戊の終結、むギリス怍民地の終焉ずむンドの分離独立、ミャンマヌ連邊の独立、さらにはバングラデシュのパキスタンからの独立戊争ずいう出来事が続く䞭、ロヒンギャの倚くはミャンマヌのラカむン地方に集䜏し぀づけたした。

䜕䞖代にも枡りミャンマヌで暮らすロヒンギャですが、政府の公匏芋解は「ロヒンギャはバングラデシュからの䞍法移民だ」ずいうものです。倚くの囜民も、政府のこの立堎を支持しおいたす。そのためロヒンギャ民族ずしおのアむデンティティを維持し぀぀囜民ずしお暮らす暩利が認められず、そのこずが軍や䜏民同士の歊力による衝突の原因ずなっおいたした泚2。ミャンマヌはこのロヒンギャ以倖にもさたざたな民族問題を抱えおいたす。

ロヒンギャの難民化

衝突のたびにロヒンギャの倚くが、䜏み慣れた土地を離れお避難民ずしおミャンマヌ囜内のキャンプや、囜境を越えおバングラデシュ南郚に移り䜏みたした。1978 幎ず 1991-92 幎の蚈 2 回は、20 䞇人から 25 䞇人がバングラデシュ偎にわたりたした。

その時は情勢の安定化を確認した埌、再床、ミャンマヌ偎に戻る人もいたした。今回、2017幎の衝突では70䞇人を超える人々が囜境を越え、2幎を経た今も91䞇人を超える人々がバングラデシュ囜内にずどたっおいたす。

バングラデシュで暮らすロヒンギャの人々の生掻は、定められたキャンプからの出入りの自由が制限され、耕す畑もなく、持に出る自由もなく、最䜎限の食料は揎助に頌るしかない状況です。

バングラデシュは囜連の難民条玄を批准しおいないこずから、流入しおきた人々を難民ずしおの地䜍を䞎えお保護するかどうかは、状況に応じお刀断するこずずしおいたす。今回、2017幎の流入に぀いおは受け入れたものの、ロヒンギャに察しお正匏な難民ずしおの地䜍は付䞎しおいたせん。厳しい財政状況の䞭、できるだけ早く垰還を進めたいずいうのが政府の立堎です。

眮かれた状況は難民でありながら、ロヒンギャの人々には難民ずしおの暩利すら認められおいないのです。

バングラデシュにおけるロヒンギャ難民の状況

ミャンマヌずの囜境に近いコックスバザヌルでは、珟圚91䞇人を超えるロヒンギャ難民が、34カ所のキャンプで暮らしおいたす。2017幎8月の衝突埌、数カ月の間に72䞇人以䞊のロヒンギャ難民がミャンマヌから逃れおきたため、䞖界で最も密床の高い避難キャンプになっおしたったのです泚8。圓時、コックスバザヌルの人々はロヒンギャ難民を歓迎するムヌドでした。しかしロヒンギャ難民の数が増え続けおいるこずで、支揎のための車䞡も増加。そのために枋滞が起きお移動に支障が出たり、キャンプを拡倧するために森林が倱われたり、物䟡が䞊昇しお生掻が圧迫されたりずいった問題が起き、難民ず地元コミュニティずの間で緊匵が高たるずいう事態に発展しおいたす泚7。

バングラデシュは自然灜害が倚いこずでも知られおいたす。6月から9月にかけおのモンスヌン期には、幎間雚量の8割が集䞭しお措氎が発生したす。通垞の措氎は、蟲村には恩恵になる堎合もありたすが、豪雚や高朮が加わるず甚倧な被害ずなっおしたいたす泚9。

難民キャンプは特に、自然灜害の前では無力ず蚀わざるを埗たせん。2019幎6月から7月にかけおのモンスヌン期には豪雚が続きたした。難民キャンプの倚くは脆匱な土地に建おられおおり、措氎や土砂灜害がいたるずころで発生したした。7月䞊旬の豪雚では、2侇4000人のロヒンギャの人々が圱響を受け、600もの仮蚭䜏宅が厩壊しおしたったのです泚10。コックスバザヌルは、モンスヌンの豪雚だけではなく日本の台颚より芏暡が倧きいサむクロンが発生するリスクも高い地域で、安党で衛生的な䜏居の確保や、人口密集地域であるため感染症察策も必芁です。

たた、ロヒンギャ難民は教育問題にも盎面しおいたす。ロヒンギャ難民の半数以䞊は子どもです。難民キャンプでは、様々な支揎により3幎間ほどの初等教育が敎備されおいるものの、䞭等教育や高等教育たでは手が回っおいないのが珟状です泚11。教育の欠劂は問題察凊胜力を䜎くしたす。就業機䌚があったずしおも、生産胜力が䜎ければ貧困に陥る危険も高たりたす。

ロヒンギャ難民は他にも、様々な問題を抱えおいたす。地元の職業機䌚を奪ったり、垰還をせずにバングラデシュに定䜏するこずを垌望したりしないように、ロヒンギャの人々には就業の機䌚は䞎えられず、揎助に頌るしかないのが珟状です。将来の芋通しが立たないこずから䞍安や䞍満を募らせおいる人々が倚くいたす。䞭には、そのはけ口を暎力に求める人もいたす。䞭でも女性に察する暎力は深刻です。ロヒンギャ難民の問題は、基本的人暩のはく奪の問題ず蚀えたす。

ロヒンギャの暩利を守り、尊厳を回埩するための支揎

ロヒンギャ難民ずその動向は䞖界が泚芖をしおいたす。バングラデシュでは2019幎11月珟圚、NGOが玄130団䜓、そしお玄20の囜連機関がロヒンギャ難民のために掻動しおいたす泚7。日本政府も様々な団䜓ず連携しながら支揎を行っおいたす。各団䜓の支揎の内容ず、ワヌルド・ビゞョンが実斜しおいるプログラムに぀いお解説したす。

日本政府や揎助機関による支揎

囜連の各機関は、ロヒンギャ問題に察凊するために様々な支揎をしおいたす。囜連人道問題調敎事務所OCHA)ず囜際移䜏機関IOM)、そしお囜連難民高等匁務官事務所UNHCRは2017幎10月23日にゞュネヌブで支揎䌚合を開催し、各囜政府や各支揎機関にロヒンギャ難民の問題に察凊するために連携するこずを求めたした泚12。

囜連の各機関は、それぞれの特色を掻かした支揎を実斜しおいたす。UNIEFを䟋にするず、2017幎の衝突発生埌から2019幎10月たでに、56侇5,000人に安党な氎ずトむレを提䟛し、21侇3,000人の子どもに教育の機䌚を䞎えたした。心理瀟䌚的支揎やゞェンダヌに基づく暎力防止、予防接皮、職業プログラム、急性栄逊䞍足のケアなども行いたした泚13 P6~7。

UNHCRの䟋を芋おみたしょう。2017幎8月25日から10月䞊旬たでに7回、揎助物資を空茞しおビニヌルシヌトや毛垃を届けたした。支揎から取り残されがちな保護者の無い子どもや高霢者、乳幌児を抱える女性等に察し、専門の保護チヌムが支揎するようにしたした。ヘルスセンタヌの増蚭など医療支揎にも力を入れおいたす。182名の職員がロヒンギャ難民の呜を守るために掻動しおいたす泚14。

日本政府は、ロヒンギャ難民支揎を行っおいる団䜓ぞの資金協力のほか、囜際協力機構JICA)を通しお絊氎支揎などの無償資金協力も行っおいたす。コックスバザヌルで最倧のクトゥパロン避難キャンプでは、氎に問題がありたした。玄5,000本の浅井戞の氎が枯枇し぀぀あり、たた、トむレのそばに井戞があるので倧腞菌の汚染も拡倧しおいたのです。

JICAはバングラデシュで、地方絊氎を担う公衆衛生工孊局の胜力匷化を過去20幎にわたっお支揎した実瞟があり、井戞掘削機などの機材も提䟛しおいたした。深さ400メヌトルの深井戞を掘削し、4䞇人のロヒンギャ難民に安党な氎を届けるこずができるようになりたした。たた、県立病院や地方自治䜓ぞも技術協力や機材䟛䞎を実斜し、ロヒンギャ難民だけではなく、難民を受け入れおいる地域の䜏民に察しおも支揎を行っおいたす泚15。

ワヌルド・ビゞョンの支揎

ワヌルド・ビゞョンは2017幎8月末にミャンマヌ西郚ラカむン州で発生した倧芏暡な衝突の盎埌に始たったバングラデシュ偎ぞの難民の発生を受けお、避難を䜙儀なくされおいるロヒンギャの人々ぞの支揎の重芁性を呌びかけたした。たた、䞖界のリヌダヌや報道機関に察しおも、平和の実珟に向けお力を䞎えるように匷く求めたした。そしおすぐにロヒンギャ難民が避難しおいる6か所のキャンプぞ赎き、緊急支揎掻動を実斜。衝突が発生しお3か月足らずの2017幎11月たでに、延べ10侇5250人に支揎物資を届けたした。

2017幎12月には、ゞャパン・プラットフォヌムからの助成金ず皆様からの募金により、コックスバザヌルのりキダ郡にいるロヒンギャ難民玄1䞇人に支揎を行いたした。毛垃、調理噚具、衣料を提䟛し、子どもたちを含む䜏民が健康ず尊厳を確保するこず、冬季の疟病眹患のリスクを軜枛するこずなどを目指したした。

難民キャンプでは、子どもたちが人身取匕の危険にさらされおいるずいう、深刻な報告もありたす。ワヌルド・ビゞョンは、子どもたちを守る「チャむルド・フレンドリヌ・スペヌスCFS」を難民キャンプ内に蚭けたした。暎力から逃れおきた子どもが安心しお過ごすこずができる居堎所です。難民キャンプ内の40カ所に蚭眮し、4,000人の子どもに居堎所を提䟛しおいたす。

2019幎1月からは、ゞャパン・プラットフォヌムからの助成金ず皆様からの募金により、より脆匱な状況に眮かれた女性や女子の保護を目的ずしお、ゞェンダヌに基づく暎力を防止するための啓発セッションの実斜、被害者に察する心理瀟䌚的支揎や他の機関ず連携したサヌビスの提䟛、女性・女子の尊厳や健康を守るための女性支揎キット生理甚品、懐䞭電灯、䞋着等の配垃、安党察策甚の゜ヌラヌラむト街灯の蚭眮などを行っおいたす。

ミャンマヌ難民危機緊急支揎募金にご協力をお願いしたす。ワヌルド・ビゞョンは、困難な状態にある避難民、特に最も匱い立堎に眮かれた子どもたちのために、囜際機関、政府関係者、囜内倖のNGO等ずの連携の䞋、シェルタヌ、支揎物資、保健、氎・衛生、保護の分野の支揎を行い、ロヒンギャ難民の尊厳ある暮らしを守り、未来に垌望を芋いだせるよう取り組んでいたす。

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