3分でわかるシリア ~シリアって、どんな国?~

投稿日|2025年3月26日
更新日|2025年6月12日
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この記事でわかること

シリアは中東の共和制国家で、2011年からの紛争により多くの住民が国内外で避難生活を強いられています。2025年5月現在、難民として国外に逃れている人々は約450万人、国内避難民は約750万人となっています。ワールド・ビジョン・ジャパンは、シリア国内や周辺国で水・衛生環境の整備、食糧支援、緊急下の教育支援などの人道支援活動を行っています。

シリア支援に関わる高尾スタッフが解説します! 

シリア国内の支援校の子どもたち
シリア国内の支援校の子どもたち

シリア・アラブ共和国(以下、シリア)の基礎データ

首都ダマスカス
言語アラビア語
人種・民族アラブ人(約50%)、アラウィ人(約15%)、クルド人(約10%)、レバント人(約10%)、アルメニア人等その他(約15%)(2024年 CIA The World Factbook) 
宗教イスラム教87%(スンニー派74%、アラウィ派、シーア派など13%)、キリスト教(10%)、ドルーズ派(3%) 
面積18.5万km2(日本の約半分)
人口2,387万人(2024年推定値)

シリアって、どんな国?

シリア・アラブ共和国は、中東・西アジアの共和制国家。北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面しています。首都はダマスカス。

2011年に武力衝突が本格化してから、シリア紛争はさらに深刻化。多くの住民が国内外での避難生活を強いられ、いまなお危機的な状況下で暮らしています。2018年には大規模な軍事作戦があり、多くの人々が家を追われて国内避難民となりました。 
2025年5月現在、難民として国外に逃れている約450万人1の人々、加えて約750万人の国内避難民の人々が避難生活を続けています2。 

2023年2月にはトルコ・シリア大地震が起こり、とくにシリア北西部の地域は大きな被害に見舞われました。トルコ、シリア両国での犠牲者は5万5千人3を超え、多くの人がこの地震によっても避難民となりました。 

2024年12月、前政権の崩壊により、シリア情勢は大きな転換点を迎えました。人々の間には復興への期待が高まり、国の再建に向けた歩みが始まろうとしています。一方で、戦闘や暴力行為が続いている地域もあり、多くの人々がその影響に苦しんでいます。さらに、物価の高騰や損壊したインフラといった課題が復興の妨げとなっており、引き続き支援が必要な状況です。 

  1. UNHCR, Operational Data Portal, https://data.unhcr.org/en/situations/syria (2025/5/29) 
  2. UNHCR, Syria governorates IDPs and IDP returnees overview (As of 15 May 2025) 
  3.  OCHA, Statement by Martin Griffiths, Under-Secretary-General for Humanitarian Affairs and Emergency Relief Coordinator, on the one-year anniversary of the earthquakes in Türkiye and Syria [EN/AR] (Feb 6, 2024) 

人々はどんな問題に直面しているの?

国内避難民地域で暮らす保護者を亡くした子ども
国内避難民地域で暮らす保護者を亡くした子ども

これまでの戦闘の影響による荒廃から回復できていない状況です。また、2023年の地震による被災からの復興も終わっていません。 
事業地の学校では、紛争や地震の影響により損壊したままの校舎で、子どもたちが学んでいます。教員、教室の不足も著しく、多くは学習の遅れを取り戻せていません。 

また、家庭の経済状態や心理的ストレスが理由で中退する子どもも後を絶ちません。支援がなければ日々の暮らしの維持ができない状況で、悲惨で厳しい状況に置かれている子どもたちがたくさんいます。 

高尾スタッフより一言 

シリア事業を担当する高尾スタッフ
シリア事業を担当する高尾スタッフ

ワールド・ビジョン・ジャパン支援事業部 人道・開発事業第3課 
高尾 タビタ(たかお たびた) 

シリアの情勢が「長期化する危機」と言われるなかで、人々は大地震による被災も経験し、暴力や貧困といった問題に日々直面しています。国内の経済状況は依然として厳しく、食糧など生きるのに必要なものを手に入れることすら難しい生活をしている人たちが、まだまだたくさんいます。コレラなどの感染症の脅威もあり、とくに子どもたちは病気によって命を落としてしまうこともあります。
しかし、そんななかにあっても、わたしたちが支援している事業地の学校では子どもたちが毎日登校し、日々学びに励んでいます。わたしたちが支援を届けつづけることで、支援を必要としているシリアの人たちが命をつなぎ、希望をつないでいけるように、ぜひいっしょに応援をお願いいたします! 

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