難民問題の解決策とは?簡単にわかりやすく解説《具体例あり》
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この記事でわかること
世界では、紛争や迫害により多くの人々が難民となり、厳しい生活を強いられています。 これらの問題解決には、国際的な支援や受け入れ国の協力が不可欠です。私たちも、募金やイベント参加を通じて、難民支援に貢献できます。
2018時点で世界の難民および国内避難民の数は7,080万人に上り、第二次世界大戦以降で過去最大の数値となりました。(※1)難民問題は国際的な課題であり、解決策が求められています。
なぜ難民問題は解決されないのでしょうか?今回は、世界が取り組む難民問題の解決策についてわかりやすく解説します。
- 世界の難民が抱えている問題
- 各国における難民問題と解決策
- あなたにもできる難民問題の解決策
世界の難民が抱える問題

難民問題とは、難民の保護・救済に関する問題です。主な原因は政治的な紛争や内戦、人種差別、宗教問題、自然災害などがあります。
難民問題は各国の状況によって異なるため、世界の難民の現状と生活についてわかりやすく解説します。
世界の難民の現状
難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見や特定の社会集団に属する理由で、自国にいると迫害を受ける(恐れがある)ため他国に逃れる人たち」を指します。また、国内の安全な地域に逃れる人たちを「国内避難民」と呼びます。2018年において難民の数は2,590万人、国内避難民は4,130万人と報告されています。(※1)
難民や国内避難民は安全な地域へ逃れたからといって快適な生活を送れるわけではありません。紛争や内戦によって財産を失い、貧困に苦しむ生活を余儀無くされる場合もあります。
国内避難民
「難民」と「国内避難民」の違いは、国外へ逃れるか、国内で移動を強いられるかです。国内避難民の数は4,130万人で難民全体の約6割となります。(※1)内戦、紛争、政治的な迫害、もしくは自然災害によって、国内の安全な地域へと逃れますが、国際的な支援がなければ安全な暮らしができない日々が続いているのが現状です。

成人の就労機会が少ないことから子どもが働かされたり、生活の援助をしてもらうために未成年の少女が結婚を選択することもあります。教育システムが整備されていない難民キャンプでは、710万人いる学齢期(5〜17歳)の難民の子どもたちの内、370万人が学校に通えていません。(※2)
難民の生活
難民キャンプにたどり着くことができても、生活していくのに十分な支援を受けられるわけではありません。支援で届く限られた食糧を分け合い、1日1食で過ごしている地域も存在します。

ソマリア、南スーダンでは内戦によって食糧が不足し、ソマリアでは42%、南スーダンでは31%の5歳未満の子どもたちが栄養不良です。
衛生環境が整わない難民キャンプでは、コレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなどの感染症を引き起こす原因にもなります。(※3)子どもたちが不衛生な環境で汚染された水を口にすると、知能の発達や身体の成長に悪影響を及ぼし、場合によっては脱水症状で命を落とす危険もあります。
難民が多い3つの地域と解決策
世界では中東、アフリカ、東南アジアに多くの難民が発生しています。具体的な解決策としては、他国での難民の受け入れ、栄養バランスの取れた食糧支援、子どもたちへの教育機会の提供、仕事の提供、衛生環境の整備などが挙げられます。
今回は多くの難民が発生しているシリア、南スーダン、ミャンマーの難民の現状と具体的な解決策について解説します。
シリア

シリアは世界で1番多い難民の発生国で、難民の数は670万に上ります。(※1)2011年にシリアの政府軍と反政府軍との間で衝突した「シリア紛争」の影響で、多くの市民が犠牲になり故郷を離れなければならなくなりました。シリア紛争による難民は国内の安全な地域、もしくはトルコ、ヨルダン、レバノン、ドイツへと避難しています。
200万人を超えるシリア難民の子どもたちは教育の機会を奪われ、また苦しい生活を支えるために児童労働が行われることもあります。また、学校に通えても教育を受けるためのサポートが続かずに中退せざるを得ない場合もあります。
シリア難民にとって教育支援は問題解決策となる1つの方法です。
教育支援の具体的な方法としては、学校に通えていない子どもたちに補習授業を行い、教育の遅れを取り戻す方法があります。また、難民の子どもたちは内戦のトラウマや避難生活によって精神的負担を抱える場合もあるため、ストレスを和らげるためのレクリエーション活動を行うなどが挙げられます。
子どもだけでなく、親にも教育の必要性を伝えることで、児童労働や早期結婚を防ぐ啓蒙活動も大切です。
南スーダン

アフリカで1番の難民発生国である南スーダンは、230万人の国民が故郷から避難しています。(※1)原因は2013年に首都ジュバで起こったキール大統領派とマーシャル前大統領との対立から発生した大規模な紛争です。
難民は国内の安全な地域やウガンダ、スーダン、エチオピアなどの受け入れ国で生活していますが、難民は未だ収まらない紛争に不安を抱えています。紛争の影響によって南スーダン旧ユニティ州の一部地域では飢饉が起こり、2017年には100万人を超える子どもたちが栄養不良になったと推測されています。(※4)
食糧難に対する具体的な解決策は、質の高い栄養の提供です。子どもたちや母親に栄養サプリメントの提供、保健や水の衛生環境の改善、急性栄養失調を予防するために乳児への適切な栄養や衛生に関するカウンセリングの提供などが解決策となります。また栄養治療食(RUTF)は重度の急性栄養失調の子どもたちの命を救う支援になります。

衛生環境の改善は感染症の予防にもなり、難民キャンプにおけるトイレの建設、ゴミ処理場の整備、衛生啓発活動も難民問題の解決策の1つです。
一方で、食糧支援や衛生環境の改善には多額の資金が必要となるため、世界では長期的な国際支援が求められています。
ミャンマー

ミャンマーは東南アジアで1番多い難民発生国で、難民の数は110万人に上ります。(※1)難民の多くはロヒンギャ(ミャンマー西部ラカイン州で暮らすイスラム系少数民族)で、難民のほとんどが女性と子どもです。原因は2017年のロヒンギャ武装勢力とミャンマー政府との衝突であり、内戦の影響でロヒンギャ難民は隣国バングラデシュへと避難しました。
バングラデシュは激しい豪雨を伴うモンスーンが発生しやすい地域であり、2019年7月にも難民キャンプは甚大な被害を受けました。(※5)コックスバザールの低地にある難民キャンプと受け入れコミュニティでは、モンスーンの影響で起こった洪水と土砂災害によって500以上の学習センターが破損され、給水所やトイレは520個が損壊しました。
自然災害も難民問題の1つです。古い仮設住宅は洪水によって流される場合もあり、早急に安全な場所へ移るとともに新たな仮説住宅が必要になります。水や衛生環境の改善と同時に、ヘルスセンターの設置や感染症(コレラ)の予防接種といった医療支援も解決策になります。
また、バングラデシュは12月〜2月の気温が10度近くまで下がることがあるため、毛布や衣料や調理器具などの物資を支援して、冬季でも健康的な生活を送る環境づくりが大切になります。
あなたにもできる難民問題の解決策
難民問題は世界の課題です。受け入れ国への物資支援や難民キャンプの運営には専門スタッフが必要ですが、日本で開催される難民イベントへの参加やボランティアとしての協力、募金や寄付はあなたにもできる支援活動です。
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