開発途上国の貧困問題解決のため私たちにできる3つのこと
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この記事でわかること
開発途上国の貧困問題を解決するために、私たちにできることは主に3つあります。1つ目は支援団体のイベントに参加し、現状を学ぶ。2つ目はスタディーツアーを通じて現地の状況を直接体験すること。3つ目は寄付や募金を通じて支援活動を支えることです。
テレビなどで開発途上国の子どもの様子を観ると、日本の生活とのあまりの違いに驚く方も多いことでしょう。遠い開発途上国で起きている貧困問題を解決する方法はあるのでしょうか。開発途上国で起きている貧困問題と、日本に住んでいる私たちにできる3つのことについてまとめました。
開発途上国の貧困問題
なぜ世界には、豊かな国と貧しい国があるのだろう。疑問を持たれている方も多いと思います。貧しい国のほとんどは「開発途上国」と呼ばれています。開発途上国が貧困の状態に置かれている理由を解説しましょう。
貧困問題が発生している国
この地球上に国がいくつあって、その中で開発途上国と呼ばれる国はいくつあるのか、ご存知でしょうか。
日本政府が承認している国は全部で195カ国です。日本を加えると、世界には196カ国が存在しているということになります(注1)。そのうち開発途上国と呼ばれている国は140カ国以上あります。驚くことに、地球上の7割以上の国が開発途上国なのです。

開発途上国とは、経済開発協力機構(OECD)が作成している「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」(注2)に掲載されている国を指しています。このリストに載るということは、日本を含むOECD加盟国から援助を受けている開発途上国である、ということになります。ODA受け取り国リストは調査年ごとに変動があり、だいたい143カ国から145カ国が開発途上国として掲載されています。
開発途上国の中でも特に開発の遅れた47カ国は「後発開発途上国」とされ(注3)、その殆どが世界銀行によって「低所得国」に分類されています。これらの国は長い間、貧困に苦しんでいるのです。
後発開発途上国の内訳は、アフリカ<の国々が最も多くて33カ国。次いでアジア9カ国、大洋州4カ国、中南米1カ国と続きます。アフリカの貧しい国は、サハラ砂漠より南に集中しているのがわかります。
| 地域名 | 後発展途上国(2017年6月発表) |
|---|---|
| アフリカ | アンゴラ,ベナン,ブルキナファソ,ブルンジ,中央アフリカ,チャド、コモロ,コンゴ民主共和国,ジブチ,エリトリア,エチオピア, ガンビア,ギニア,ギニアビサウ,レソト,リベリア,マダガスカル,マラウイ,マリ,モーリタニア,モザンビーク,ニジェール,ルワンダ,サントメ・プリンシペ,セネガル,シエラレオネ,ソマリア,南スーダン,スーダン,トーゴ,ウガンダ,タンザニア,ザンビア |
| アジア | アフガニスタン,バングラデシュ,ブータン,カンボジア,ラオス,ミャンマー,ネパール,イエメン,東ティモール |
| 大洋州 | キリバス,ソロモン諸島,ツバル,バヌアツ |
| 中南米 | ハイチ |
外務省HP「3 現在のLDC(2017年6月に発表されたもの)」より
貧困の理由と現状
貧困の理由として真っ先に考えられるのは、収入が少ないといった経済的なものです。教育を受けていないので仕事を選ぶことができない、災害や紛争などで収入の道がなくなった、農地や家畜がない、援助してくれる親族がいない、などが理由としてあげられます。
貧困を経済的な側面から測る指標として有名なのは、世界銀行の「国際貧困ライン」です。2015年10月、世界銀行は国際貧困ラインを1日1.9ドルと改訂しました(注4)。日本円に換算すると1日約210円以下(2020年2月時点)で生活している人たちが「貧困状態にある」ということになります。
2015年に世界銀行が発表したデータでは、7億3600万人が1日1.9ドル未満で暮らしていることがわかりました。その多くは、後発開発途上国に住んでいる人々です。
貧困は経済的側面だけではなく、環境・教育・医療など様々な要因が重なって発生していることが明らかになっています。国連開発計画(UNDP)は、ひとつの国の開発レベルを経済的側面だけで測るのではなく、別の指標も必要と考えて「人間開発指数」を作成しました(注5)。
人間開発指数とは、人間開発の3つの側面である「保健・教育・所得」について、その国の平均達成度を測る指標です。2018年に発表されたデータによると、人間開発指数が一番高い国はノルウェーで、一番低い国はニジェールという結果でした。上位は欧米諸国が占めています。非欧米諸国では香港が一番高くて4位、次は日本で19位という結果でした。人間開発指数の下位は後発開発途上国が占めています(注6)。

最近では人間開発指数に加えて「多次元貧困指数」という指標も加わりました(注7)。開発途上国の貧困の程度と発生頻度を多次元でとらえた指標です。世帯ごとに調査が行われ、点数化されます。この指標でも、後発開発途上国の貧困程度が深刻であるという結果になりました。多次元貧困指数で貧困の度合いが高いとされるのは次のような世帯です。
| 多次元貧困の具体的な指標 | |
|---|---|
| 1 | 就学経験年数が6年以上の世帯員がいない |
| 2 | 学校に通うべき年齢の子供が就学していない |
| 3 | 調査日までの過去5年間のうちに子供が亡くなった |
| 4 | 栄養不足の成人又は子供がいる |
| 5 | 電気の供給を受けていない |
| 6 | 改善された下水設備がない、又は、改善された下水設備を他の世帯と共用している |
| 7 | 安全な水が得られない、又は安全な水を入手するのに往復30分以上かかる |
| 8 | 家の床が泥、砂又は糞である |
| 9 | 糞、木材又は木炭で料理をする |
| 10 | ラジオ、テレビ、電話、自転車、二輪車、冷蔵庫、自動車、トラックのいずれも持っていない |
内閣府HP 図表2-10 国連開発計画「多次元貧困指数」を構成する項目一覧 より抜粋
貧困を測るために様々な指標がありますが、今回はその一部をご紹介しました。これらの指標で明らかになったのは、後発開発途上国の深刻な貧困です。特にアフリカ大陸のサハラ砂漠より南にある国々は極度の貧困状態にある人がとても多く、経済的にも人間開発的にも貧しい状態にあるという現状が浮き彫りとなっています。
貧困問題の解決策
開発途上国の貧困問題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、政府間協力である政府開発援助(ODA)と、民間協力であるNGOが行っている、貧困問題解決のための取り組みについて解説します。
世界の援助国による取り組み
開発途上国を対象に政府開発援助(ODA)を実施している国は、日本も含めて29カ国あります。この29カ国と欧州連合を加えた30メンバーが開発援助委員会(DAC)を構成し、政府間協力を実施しているのです(注8)。開発途上国の政府が援助国政府に支援を要請したり、政府間で援助案件を共同形成するなどして、援助の内容が決められています。
援助国は国連が定めた「ミレニアム開発目標(MDGs)」や、それに続いて策定された「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するための取り組みを行っています(注9)。SDGsは2030年までに達成すべき17の目標を設定しています。「あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる」ことを第1目標に掲げており、それを遂行するために様々な政策が作られ、援助が実施されている状況です。

日本のODAはもともとは戦後賠償から発生したものですが、今日では開発途上国が自立するために技術移転や資金協力を実施しています。世界の国々と手を取り合ってSDGsの目標を達成する努力をしているのです。SDGsの実施体制を整えて指針を策定し、ステークホルダーと連携しながら目標達成に取り組んでいます。
アフリカ開発会議(TICAD)を実施していることはニュースでも報道されています。日本政府は、特に貧しいとされるサハラ砂漠以南のアフリカの国々向けのODAを充実させる方向で進んでいます。技術移転や経済の多角化支援、社会の安定化促進、保健システムの促進などに取り組み、貧困削減に努力しているのです。
NGOによる取り組み
NGOとは英語の Non-governmental Organization の頭文字を取った略称で、日本では「非政府組織」と訳されています。貧困、飢餓、環境など、世界的な問題に対して、政府や国際機関とは違う”民間”の立場から、国境や民族、宗教の壁を越え、利益を目的とせずにこれらの問題に取り組む団体のことです。
災害時や難民支援など、緊急時の支援に迅速に対応できるのも、NGOの強みであると言えます。また、政府などによる大きなプロジェクトの支援からこぼれた人たちに寄り添い、草の根レベルの活動ができるのも、NGOならではの特徴です。人々のニーズを素早くキャッチし、細やかな支援を実施することに長けているのです。

NGOも「持続可能な開発目標(SDGs)」に掲げられた目標を2030年までに達成できるよう活動しています。約100カ国で活動する世界最大規模の国際NGO、ワールド・ビジョン(WV)もSDGsに深くかかわっています。
ワールド・ビジョンは、キリスト教精神に基づいて、世界の子どもたちの健やかな成長を目指して開発援助・緊急人道支援・アドボカシーを行ってきました。アドボカシーとは政府や社会に働きかけを行うことです。SDGsの目標達成にむけて、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は政府へのアドボカシーと開発途上国での支援活動を実施し、貧困問題解決に取り組んでいます。
貧困問題に対して私たちにできること
開発途上国の貧困問題に対して、どのようなことができるでしょうか。今すぐ参加できる方法を解説します。
イベントに参加しよう
開発途上国の貧困問題に対して実際に行われている支援は何なのか、それを知るために、支援団体が開催するイベントに参加してみましょう。
国際協力関連のイベントは、10月6日の国際協力の日や、12月5日の国際ボランティアデー、9月や10月に開催されるグローバルフェスタなどが有名です。様々な団体や機関がブースを設けてパネル展示をしたり、舞台に上がってパフォーマンスをしたり、お祭りのようなイベントです。楽しく参加しながら、開発途上国への支援について学ぶことができます。
また、各団体が個別に行っているイベントに参加することも、その団体の活動を深く知るチャンスになります。例えば、ワールド・ビジョンでは、1年を通して様々なを開催しています。全国で開催する活動報告会「ワールド・ビジョン・カフェ(WVカフェ)」では、寄付が適切に使われていること、子どもたちの状況が改善されている様子を知ることができます。また、チャイルド・スポンサーが交流できる場にもなっています。サマースクールユースプログラムは、日本に住む子どもたちに世界の現状を知ってほしいと願い開催している子ども向けイベントです。
スタディーツアーに参加しよう
実際に開発途上国に行き、支援現場の状況を肌で感じるために、スタディーツアーに参加しましょう。
開発途上国を支援している多くの団体がスタディーツアーを企画しています。限られた時間内で効率よく活動現場を視察できるよう工夫してあるので、個人で見学するよりもずっと多くの情報を得る事ができます。開発途上国に一人で旅行するには様々な注意が必要になりますが、スタディーツアーでしたらスタッフが同行し、安全確保に努めるので安心です。
ワールド・ビジョンでは、チャイルド・スポンサーの方を対象に支援地訪問ツアーを実施しています。ご自身の「チャイルド」を訪問し、支援地を視察することができます。ツアーとは別に、個人的に「チャイルド」を訪問することができる個人訪問も可能です。
支援地訪問ツアーは日本からスタッフが同行、個人訪問は現地スタッフが同行いたします。お気軽にお問い合わせください。
寄付や募金をしよう
NGOは寄付や募金を集めて、困難な状況下で支援を必要としている人たちに手を差し伸べることができるプログラムを作っています。寄付や募金は、そのようなプログラムを直接支援する、とても有効な手段なのです。

ワールド・ビジョンも、皆さまからのご支援やご寄付によって活動しています。開発途上国で貧困状態にある子どもたちを一人でも多く救うために使わせていただいています。開発途上国の子どもを救う活動に、ぜひご協力お願いいたします。
チャイルド・スポンサーシップにお申し込みいただくと、一日あたり150円がこうした支援活動に生かされます。
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