子ども食堂への寄付のしかた | 現状を知り寄付金や食品を支援をしよう

投稿日|2025年3月30日
更新日|2025年3月31日
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この記事でわかること

日本では7人に1人の子どもが貧困状態にあり、子ども食堂が重要な支援拠点となっています。地域の有志により運営され、コロナ禍や物価高騰によりその役割は一層拡大。寄付により運営継続や食材提供が可能となり、子どもたちが安心して食事をとれる場を支えることができます。

近年、貧困や何らかの問題で十分に食事を摂れない子どもたちのために、主に「子ども食堂」と呼ばれる、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂が全国各地に増えています。様々な理由で食の支援を必要とする子どもたちが、あたたかい雰囲気の中で安心して食事をとることができる場所として、多くの場合は地域の有志の方々により自主的に運営されています。

継続的に運営して多くの子どもたちをサポートするには、皆さまからの寄付が必要不可欠です。そこで本記事では、子ども食堂の現状や寄付の方法について解説します。私たちワールド・ビジョンとともに、日本の子どもたちの健やかな成長を支援しましょう。

日本の子ども食堂の現状

まずは日本における子ども食堂の現状や、その背景を見ていきましょう。

日本では7人に1人の子どもが貧困

子ども食堂の目的はさまざまですが、子ども食堂が必要とされる背景のひとつに、日本における子どもの貧困の問題があります。貧困には様々な定義がありますが、代表的なとらえ方として「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。絶対的貧困とは、生きるうえで最低限の水準が満たされていないことです。一方相対的貧困とは、その国や地域の大多数よりも貧しい状態のことを指しています。現在の日本で問題となっているのは、主に相対的貧困の方です。

日本財団の統計によると、日本の相対的貧困率は2019年時点で13.5%とあります。およそ7人に1人の子どもが、貧困であることを示しています。これは、OECD加盟国の中で最悪の水準です(注1)。

親子2人世帯の場合で考えると、月額およそ14万円以下(公的給付含む)の家庭で養育される子どもが7人に1人の割合でいるということです。さらに日本の相対的貧困率は、増加傾向にあります。1985年の相対的貧困率は10.9%でした。そこから年ごとに上下はあるものの、34年間で2.6%も相対的貧困率が上昇しているのです(注1)。

相対的貧困の中で暮らす子どもたちは、衣食住、教育、医療など生活の上で必要なものが十分に賄えない状況になりがちです。子どもの頃から生活上のさまざまな体験機会が奪われ続ければ、その後の人生における選択肢が狭まり、貧困に陥るリスクも高まることが懸念されます。

新型コロナウイルス感染症を経てますます注目される子ども食堂の役割

日本では2020年初頭から、新型コロナウイルス感染症拡大により、一層子ども食堂の需要が増加しました。この要因の一つに新型コロナウイルス感染症による親の失業や労働時間の減少といった、所得の減少があります。さらに物価高騰の影響で、十分な食事を摂れない子どもが増えています。

2018年に2,286カ所だった子ども食堂の数は、増加の一途をたどっていますが、新型コロナウイルス感染症拡大による社会活動の制限により一時は多くの子ども食堂が継続の危機に陥りました。しかし、厳しい状況にある子どもや家庭を支えるため、活動形態を会食形式からお弁当や食材配布に切り替えるなどの創意工夫により活動を継続する事例が全国各地に見られました。結果的に子ども食堂の数は増え続け、2022年には7,331カ所にまで増えました(注2)。日本社会の中に思いやり支え合いの気持ちが高まったことや、子ども食堂の認知度が高まり各自治体の助成金等が拡充したことなども後押しとなったものと考えられます。厳しさを増す社会経済情勢の中で、地域の中で子どもや家庭を支え続ける子ども食堂の役割がますます注目されています。

子ども食堂に対する寄付のしかた

子ども食堂への寄付は、主に以下の3種類の方法があります。

  • 運営団体を寄付金で支援する
  • 食品・食器を提供する
  • スタッフとして子ども食堂の運営に関わる

自分の想いに合っているかどうか、また自分にとって寄付しやすいかどうかで方法を選びましょう。また本当にその寄付が子ども食堂側から求められているか、検討することも大切です。ではそれぞれの寄付方法について、詳しく見ていきましょう。

運営団体を寄付金で支援する

最も簡単でおすすめの方法は、子ども食堂の運営団体を寄付金で支援する方法です。しかしその背景では、食材の仕入れや場所の確保など、さまざまな費用がかかっています。そのため寄付をすることで、こうした費用の負担を減らし、より継続的に多くの子どもたちへ食事を提供できます。

なお、子ども食堂は全国に数多くあるため、ある程度地域を絞って寄付先を探すと良いでしょう。例えば自分の出身地の子ども食堂を支援しても良いですし、地震や大雨といった自然災害にあった復興途中の地域にある子ども食堂を支援するのも良いでしょう。

その中からホームページやSNSを確認し、自分の考え方と合う子ども食堂に寄付するのがおすすめです。寄付額は1口1,000円からの子ども食堂が多数。またオンラインでクレジットカード決済できる場合や、継続支援できる場合もあります。このように支払い方法もチェックしておきたいポイントです。

なお、子ども食堂を騙って寄付金をだまし取る悪質な組織も、中にはあります。明確な運営元や子ども食堂の所在地が分からない団体に寄付するのは、避けた方が良いでしょう。

食品・食器を提供する

子ども食堂の多くは、食品の寄付を募り食事を提供しています。そのため、食品を子ども食堂の運営団体に送って支援する方法もあるのです。ただし、送る際は賞味期限に注意しましょう。賞味期限がギリギリの食品は、到着する前もしくは食事として提供する前に賞味期限が切れ、子ども食堂側で廃棄せざるを得ない場合もあります。

また生野菜や果物、生肉といった食品は、輸送中に劣化する可能性が高いため寄付の対象から外れている場合もあります。このようになんでも送れば良いというわけではなく、子ども食堂側が必要としている食材を送りましょう。

自治体や子ども食堂のホームページを見ると、欲しい食材がリストアップされている場合があります。こうしたリストをチェックしてから送ると、受け取る側に喜ばれる支援を行うことができます。

子ども食堂によっては、直接持ち込みできる場合もあります。また「フードドライブ」といって特定の場所で食材の寄付を集める活動をしている場合も。こうした手段で食材を寄付すれば、子ども食堂の運営者と直接交流することができるかもしれません。

また、食器といった物品を必要としている子ども食堂もあります。食器に限らず、おもちゃ(注3)や制服(注4)といったものの支援を呼びかけている子ども食堂もあります。家にこうしたものが余っている人や、長く使えるもので支援したい人は、物品で支援する方法もおすすめです。

スタッフとして子ども食堂の運営に関わる

自身がボランティアスタッフとして参加することで、支援する方法もあります。子ども食堂によっては人手が足りず、求人を出しているところも少なくありません。求人の種類はキッチンスタッフや事務作業などさまざま。直接現地で支援したい人や子どもたちと交流したい人は、労働力を提供するのも良いでしょう。

子ども食堂に関するワールド・ビジョンの活動

ワールド・ビジョンでは、世界中の子どもたちの健やかな生活を支援しています。ここからは私たちワールド・ビジョンの、子ども食堂に関する活動を紹介します。

「新型コロナウイルス対策子ども支援事業」を実施

ワールド・ビジョンでは、日本国内で「新型コロナウイルス対策子ども支援事業」を実施。この事業は新型コロナウイルス感染症の影響下でも、子どもたちの食・遊び・学びを支えることを目的としています。

具体的には子ども食堂を運営する支援団体への助成を通じて、食事の供給支援や子ども食堂が継続的に運営できるよう支援しています。2020年8月11日までには、15件の子ども食堂への助成が決定。助成を受けた各団体による、支援活動が始まっています。

13団体を通して2,228名の子どもへ食の支援を実施

「新型コロナウイルス対策子ども支援事業」の結果、2020年までには8団体への助成を通じて1,733名の子どもへ食の支援を実施しました。2021年からは新たに5団体への助成を通じ、495名の子どもへ食の支援を実施。

合計13団体への助成を通して、2,228名もの子どもたちに支援を届けることができました。そして2023年現在も新型コロナウイルス対策子ども支援事業は継続中です。また、同事業では子どもたちの遊びや学びを支えることも目的としています。

そのため週1回の無料塾や小規模なクリスマス会も実施しました。これにより2021年8月までに、民間シェルター等を利用する120組の親子を支援しています。

世界の貧困問題にもあらゆる形で支援を実施

ワールド・ビジョンは国際NGOであり、国外でも子どもたちにあらゆる支援を実施しています。ワールド・ビジョンの活動の主な柱は、以下の3つです。

  • 緊急人道支援
  • 開発援助
  • アドボカシー

例えば貧困や災害、紛争の影響で飢餓に苦しむ子どもたちへは、いち早く食糧や生活物資を届ける緊急人道支援を実施しています。また開発途上国に対しては開発援助を実施し、子どもたちがより安全で健康に生活できるよう、さまざまなプロジェクトを進めています。

こうした援助では食糧や物資の直接的な支援だけでなく、その土地で必要な技術の共有、人材の育成などにも尽力。そこに住む人々が支援に頼らなくても生活を営んでいけるよう、長期的な目線で支援を行っています。

また、情報の発信や啓発などを訴える、アドボカシー活動を実施。ワールド・ビジョンは国際NGOとして、国連をはじめとする国際社会への情報発信を積極的に行っています。正しい情報や知識を広め、世界全体でより良い社会を作っていけるようにするのが、私たちのミッションです日本国内における支援活動は、これまで培ってきた国内外での経験を生かして実施しています。

寄付で子ども食堂を支援しましょう

ワールド・ビジョン・ジャパンは、国外の子どもだけではなく日本国内の子どもたちも支援しています。私たちの活動に賛同いただける場合は、ぜひ国内子ども支援募金にご協力ください。この募金で集まった支援金は、日本各地の子ども食堂の助成を通じ、子どもたちへの食事や教育、遊びの支援に活用させていただきます。

例えば3,000円のご支援で、無料塾の生徒が使用する教科書を約2冊購入可能です。5,000円ご支援いただければ、お米約10kg分をひとり親世帯に提供できます。1万円のご支援では、子ども食堂で約50食分の食事提供が可能です。

ご協力くださった皆さまには、毎年3月頃にお届けする年次報告書の中で、募金により行われた活動をご報告します。ぜひ私たちと一緒に、子どもたちの健やかな成長を応援しましょう。

参考資料

注1 日本財団: 子どもの貧困対策
注2 PR TIMES: 2022年度 こども食堂全国箇所数発表(2022年12月 速報値)
注3 PR TIMES: 全国40カ所のこども食堂で、おもちゃの貸し出しを通した子どもとのつながりづくり新企画「おもちゃライブラリー」始動
注4 埼玉県こども食堂ネットワーク: 制服バンク

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